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プロ野球

【オリンピック野球:傾向と対策】メキシコ代表フェルナンド・サラスを分析!高速チェンジアップが最大の武器



目次
高速チェンジアップが最大の武器
縦振りのフォームから投球される「ノビる」速球
徹底された投球コースから空振り・ゴロを重ねる
フェルナンド・サラスをどのように攻略すればよいのか?

オリンピック本戦初出場となるメキシコ代表。日本との対戦は7月31日12時プレイボールとなっている。

今回は、2013年・2017年のWBC代表にも選出され、2019年までメジャーリーグでプレーしたフェルナンド・サラスを紹介する。中継ぎとして41試合に登板した2018年(ダイアモンドバックス時代)のトラッキングデータを用いて、サラスの特徴と対策について考察していく。
参考:【オリンピック野球】メキシコ代表と注目選手を紹介!メジャー通算317本塁打のゴンザレスに注目!

高速チェンジアップが最大の武器

まずは、各球種の平均球速と投球割合をみる(表1)。
球種は4シーム・チェンジアップ・ナックルカーブの3球種。4シームの投球割合が59%と過半数を占めているものの、4シームの平均球速はやや遅めである。投球割合が高く打ちごろな球速のため、追い込まれるまでは4シームに狙いを絞るのは一つの戦略といえるだろう。

表1 各球種の平均球速と投球割合。4シームが投球の過半数を占める

※2018年のデータを使用。カッコ内は2018年のメジャー平均

速球よりも厄介なのはチェンジアップだろう。速球に対する球速比にして、メジャー平均の3%以上も速い。速球の球速こそ高速でないものの、このようなチェンジアップを投球する投手は珍しく、サラスの最大の武器といっていいだろう。追い込まれてからは、この高速チェンジアップにも注意したいところだ。

縦振りのフォームから投球される「ノビる」速球

次に、各球種のボール変化量をみる(図1)。
速球のホップ成分はメジャー平均を大きく上回っており、いわゆる「ノビる」球質である。一般的に、ホップ成分が大きい速球は空振りが奪いやすい。球質をみる限り、空振りを奪いやすいボールであるといえる。
参考:ホップ成分が大きい速球は空振りを奪いやすいって本当!?

図1 各球種のボールの変化量。速球のホップ成分はメジャー平均を大きく上回る

また、チェンジアップは大きく変化するボールで、空振り・ゴロともに奪いやすいボールである。前述の通り、速球に対する球速比が非常に速く、チェンジアップ攻略がポイントとなりそうだ。

徹底された投球コースから空振り・ゴロを重ねる

次に、対左打者と対右打者でのボール到達位置を比較する。
左打者に対して、速球とチェンジアップがゾーン右側に投球されており、徹底した外角攻めをしていることがわかる。特に、チェンジアップは外角低めを中心に投球されている(図2)。外角低めは打球角度が最も低くなる。後述するが、左打者に対するゴロ割合が高い要因であるといえるだろう。
参考:「外角低め」は本当に安全!? 投球データを分析し見えたものとは

右打者に対しても、チェンジアップが同じくゾーン右側に集められている。また、対左打者よりも速球が高めに投球されている。高めの速球は空振りを奪いやすいことがわかっている。また、高めの速球は低めのチェンジアップとピッチトンネルを構成するうえでも重要である。右打者は、高めの速球と低めのチェンジアップの見極めがポイントとなるだろう。
参考:サイ・ヤング賞候補デグロムを分析!メジャー屈指の高速スライダーで3年連続の受賞へ!

図2 対左打者時のボール到達位置
図3 対右打者時のボール到達位置

最後に、対左打者と対右打者のリスク管理をみる(図4)。
左打者に対しては、ゴロ割合がメジャー平均を大きく上回っている。外角への徹底した投球が、このようなリスク管理の要因であるといえる。外角の球を無理に引っ張ろうとするのではなく、逆らわずにレフト方向に打つ意識が大切となるだろう。

右打者に対しては、完全アウトの割合がメジャー平均を上回っている。高めの速球と内角のチェンジアップを武器に三振を重ねているのだろう。
一方、外野フライとライナーのリスク打球の割合も高くなっている。球速がそれほど高速でない分、高めの速球を捉えられた際にフライ打球となっているのだろう。追い込まれるまでは速球に狙いを絞ることが右打者の攻略のポイントとなるに違いない。
参考:奪三振の重要性とは!勝てる投手のリスク管理能力を分析

図4 サラスのリスク管理表

また、左右どちらの打者に対しても四死球割合がメジャー平均よりも低いことがわかる。制球力の高さからゆえ、徹底したコースへの投げ分けができているのだろう。

フェルナンド・サラスをどのように攻略すればよいのか?

今回は、メキシコ代表のフェルナンド・サラスの特徴を紹介した。 左打者と右打者で、投球スタイルが異なることがわかった。柳田悠岐(ソフトバンク)のように、逆方向に対しても長打が打てる左打者がポイントとなりそうだ。

フェルナンド・サラスの対策

【左打者】
・徹底した外角攻めに注意
・外角の球を逆方向へ
【右打者】
・追い込まれるまでは速球待ち
・2ストライク時のチェンジアップに注意

フェルナンド・サラスのプロフィール

Fernando Salas
1985年5月30日生まれ
【メジャーリーグでの経歴】
カージナルス(2010 - 2013)-エンジェルス(2014 – 2016途)-メッツ(2016途 – 2017途)-エンジェルス(2017途)-ダイアモンドバックス(2018)-フィリーズ(2019)
【メジャー通算成績】
496試合 25勝28敗 防御率3.91

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Baseball Geeks編集部