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【必見!】野球肘を改善する!



目次
野球肘とは
成長期の野球ヒジ① 内側障害
成長期の野球ヒジ② 外側障害
野球ヒジの原因と対策
野球ヒジのセルフチェック

今回のテーマは野球肘についてだ。野球をやっていれば一度は聞いたことがある「野球肘」とは一体どのような障害なのか。今回は広島大学大学院の医歯薬保健学研究科を卒業し、理学療法士の資格も持つ橋本留緒(ネクストベースコンディショニングコーチ)に話を聞き、その症状や予防、改善策を紹介していく。

野球肘とは

森本:今日は野球肘、特に成長期の選手に絞っていきたいと思います。成長期の選手の野球肘の特徴という話を橋本さんに伺いたいと思います。まず、野球肘はよく聞くところだと思いますけど、そもそも野球肘って何ですか。

橋本 野球肘とは、投球したことによって起きる肘障害の総称ですね。野球肘の中で多いのが肘の内側の内側障害。そして小学生とかに多いのは外側障害。あとは肘の後ろの後方障害や、痛みと痺れが出たりする神経障害。この4つが多いですね。

写真1:肘の障害(YouTubeより)

森本:原因としてはどういうことで引き起こされるんですか。

橋本 :外側と内側は同じ原因で、投球の時に前腕が外に引っ張られる力(外反ストレス)が原因になってきます。この外反ストレスがかかると内側は筋肉や靭帯が引っ張られるような牽引の力がかかって、外側は骨と骨がぶつかる圧迫のストレスがかかり、障害が発生してしまいます。

写真2:外反ストレス(YouTubeより)

森本:神事さんにお伺いしたいんですけども、ピッチングフォームで言うと、どの時にかかりやすいとかってあるんですか。

神事肩関節が一番外旋した状態の局面でこの内反トルク(=外反ストレス)が大きくなるということがわかっています。腕がこっち側(投げる方向)に加速する直前で内側が引き伸ばされ、外側の骨と骨がぶつかることでその内側と外側のストレスが出てきて肘を怪我してしまうというのがメカニズムです。

神事:これは横軸が時間で、縦軸が先ほど出てきた外反ストレスというものです。動作分析上だと内反トルクという形で計算されるものになっています。この内反トルクが最大を迎えるのがMER(肩関節最大外旋)で、この時にピークを迎えるというところが特徴です。内反トルクが大きいピッチャーは球が速い傾向にあります。逆に言うと小さいピッチャーというのはボールに作用する力が小さくなるので、球速が遅くなりがちということにもなります。

写真3:内反トルクと時間の関係(YouTubeより)

森本:今回成長期というキーワードがありますけれども、彼ら彼女たちの特徴みたいなものは何かあるんですか。

橋本 :小学生・中学生の場合、背が伸びている時には軟骨が未熟なので筋肉とか靭帯というよりは、骨とか軟骨の損傷を受けやすいです。基本的にスポーツ障害というのは、一番体の中で弱いところが障害を受けやすいので、成長期の場合は骨、軟骨の障害が多いと言われています。

森本:高校生以上とかアスリートになってくると、また変わってくるんですかね。

橋本 :高校生以上の場合、骨はしっかりと成長してきて筋肉も硬く強くなっているので、(肘の場合)トミージョン手術をするような内側の靭帯というところに負荷が増えていきます。

成長期の野球ヒジ① 内側障害

森本:まず肘の内側の障害の方から伺いたいと思います。こちらはどういう症状になりますか。

橋本 内側上顆という骨が出っ張っているところに筋肉がたくさんついているんですけども、投げる時に筋肉がこの骨を引っ張っていくような形で力が働くと、軟骨が弱いので引き剥がされてしまって、徐々に痛みが出るのが内側上顆障害です。逆に明らかにこの1球で痛くなってバシッとやりましたというのは、裂離骨折という風に言われています。

写真4:内側上顆障害と裂離骨折(YouTubeより)

森本:どういう風に治療は進んでいくんですか

橋本内側上顆障害の場合は、安静にしてその後リハビリなどをして、徐々に投球強度を上げていって復帰ということが多いです。裂離骨折も基本的に安静の期間がちょっと長くて、他は同じパターンを辿ることが多いんですけど、明らかに骨が転移していたりすると手術をすることも稀にあります。

成長期の野球ヒジ② 外側障害

森本:続いて肘の外側の障害ですね。こちらも聞いていきたいと思いますが、症状とかは変わりますかね。

橋本 :そうですね。離断性骨軟骨炎といわれるものなんですけど、内側の障害に比べてかなり発声の頻度は低くなっていて、100人に1〜3人ぐらいの割合です。全体で野球選手の1%か3%ぐらいがかかるというふうに言われています。初期の頃は痛みが全くなくて、進行してくるとやっと痛みが出てくるということが特徴です。

写真5:離断性骨軟骨炎(YouTubeより)

森本:この治療はどういう感じで進んでいくんですか

橋本 :本当に初期に見つかった場合には最低でも3ヶ月ぐらい安静にして、だんだん骨がくっついてくるタイミングでちょっと投げていきましょうという話になることが多いです。長い選手だと1年間投球禁止になるパターンもありますし、それでもくっつかない場合は手術してくっつけていくっていうこともあります。見つかった段階で進んでしまっていたら、もうその時点で手術となるパターンも結構あります。

森本:じゃあ怪我になりやすいのは肘の内側だけど、なった時に症状が重いのが肘の外側って感じですね

野球ヒジの原因と対策

森本:球数制限を大会とかチーム内で設けていたりするチームもあるんですけれども、球数制限についてはどう思いますか。

神事:肘を怪我する原因は3つあると考えていて、1つ目が肘の特徴。例えば緩い人だと肘を痛めやすいというのはあると思います。2つ目が投球のフォーム。フォームが悪いと肘を痛めやすいです。そして3つ目がやはりボールの投げすぎ。そういった意味では投球数を制限することによって予防ができるんじゃないかなと思います。この3つの原因のうちの1つがそれ(球数制限)に当たるというところで予防をすることにつながるとは思いますけど、根本的な解決って考えるとこの2つの部分をもう少し考えなきゃいけないかなというのは僕が思っているところです。

森本:なるほど。先ほどフォームが悪いというコメントありましたけど、肘に負担がかかりやすいフォーム、かかりにくいフォームっていうのはどういう特徴があるんですか。

神事:ボールの速度が速いとその分だけ肘のストレス大きくなりがちだというところで言うと、ボールを加速する時に肘の曲がらない方向を使って投げるような動きをするとスムーズに肘が曲がらないので直で靭帯に負担が来てしまうというのは1つの悪いフォームの特徴です。肘をちょっと前に出す形で肘の伸展みたいな動きをうまく出しながらボールを加速してあげると、この内側だけじゃなくて進展方向の貢献みたいなことができるのでボールの速度を落とさずに肘を守ることができるんじゃないかなと思ってます。

森本:肘の緩みとかそういったところを防ぐ方法って何かあったりするんですか。

橋本 :肘の緩みとなってくると元々先天的に緩いとか、小学生の時に内側障害をしていると緩くなりやすいと言われてるのでそこが1つリスクかなと思います。ただ靭帯だけじゃなくて肘の内側は筋肉もかなりついてくるので、しっかり筋肉で緩みを止めるような力が強くなってくると肘が緩くてもそこでしっかり止めることはできるようになります。

野球ヒジのセルフチェック

森本:選手がセルフチェックできるポイントみたいなものがあれば教えていただいてもいいですか。

橋本 :ミルキングテストと言われるのがあるんですけど、自分で投げる方の手の親指を反対の手で外側から握って、右投げだったら右側(外側)に向けて引っ張ってあげて痛みが出るかというところだったりとか、あとはお父さんとかお母さんに後ろに引っ張ってもらって痛みが出るかっていうところがチェックのポイントになります。これで痛い選手は投げても大体痛いのでそこが一番のチェックかなと思います。あとは単純に毎日肘を伸ばしたり曲げたりして硬くなってないかっていう確認はしてほしいなと思います。投げすぎてたりすると筋肉が硬くなって片っぽだけ伸びないとか片方だけつかないっていうことが起きてしまうので、そこが1つ投げすぎのチェックになります。

写真6:セルフチェックの方法(YouTubeより)

森本:今日はこの成長期の選手の野球肘の特徴というところを聞いてきましたけれども神事さんは今日の話を受けていかがでしたか。

神事痛くても投げなきゃいけないっていう状況を指導者は作っちゃいけないというのが前提としてあって、子供たちが痛いと言える関係性とか環境みたいなことを作っていくのが下支えとしてあって今日のこういう話なのかなと思いましたね。

橋本 :投げなきゃ強くならないところは多少あるんですけど、それは無理して作るべきではないかなと思います。投げる以外でトレーニングできるところだったりとか安全な範囲で投げる。そして試合の中でしっかり投げきれる体を作っていくのが一番大事だと思います。

森本:今日の話を聞いたり、セルフチェックしたりする中でなんか気になるなとか違和感があるなという選手はラボで橋本さんもお待ちしております。チェックがてらに来ていただけたらと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

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Baseball Geeks編集部