Geeksウェビナーの詳細はこちら

詳細



0 件
トレーニング他

メジャーリーグでも使用されているVBTに迫る!



目次
VBTは今までと何が違う?
VBTのメリットとデメリット
VBTの長所 速度低下カットオフ
神事からの質問 VBT的素振り

今回は野球のウォーミングアップについて迫っていく。現在ネクストベースのパフォーマンスコーチを務めている庄村さんに話を聞いていく。

森本:では早速庄村さんにVBTのトレーニングを紹介していただきたいと思いますが、VBTとはどんなトレーニングですか。

庄村:はい、Velocity-Based Trainingの頭文字をとってVBTと言います(写真1)。日本語では速度基準トレーニングみたいな感じで、バーベルを動かす、挙上する速度を基準として負荷設定を行うトレーニングのことを総称してVBTと言います。
そもそも挙上速度を計測するということ自体がなかなか昔はできなかったので、初めて出てきたのが1990年代後半くらいです。それが2010年以降ぐらいから加速的に色々なデバイスが手に入ることでできるようになったという意味では結構新しいトレーニングかなと思います。

写真1 VBTとは(Youtubeより)

VBTは今までと何が違う?

森本:今ご紹介していただいたVBTなんですけども今までのトレーニングとの違いはどういったものでしょうか?

庄村 :強度の設定を1RMといって、一回ギリギリ持ち上げられる重さ、最大筋力みたいなものを測定してそれに対して例えば90%の重さで何回何セットやりましょう。みたいなものが今まで行われていた伝統的なトレーニングになります。

森本:このVBTの場合はどうなりますか?

庄村挙上速度、いわゆるバーベルを上げた速度に基づいて強度設定をしていくので、今までは何%で何キロ何回だったものから一回一回上げる速度で負荷設定をしていくというものになります。
例えば筋力を上げたければこれくらいの速度でやりましょうとか体を大きくしたい、筋肥大をしたいならこの速度でやりましょうみたいな形でトレーニングの目的に応じてターゲット(狙う速度)を変えてその速度を基準に負荷設定していくのがVBTになります(写真2)。

写真2 従来とVBTトレーニングの違い(Youtubeより)

神事全力でバーベルを上げるんですよね?軽いものをゆっくり上げるという話じゃないですよね?

庄村全力で上げます。基本的には毎回その時の全力でやります。軽いものをゆっくり上げるということをすると全然速度基準のトレーニングにならなくなってしまいます

VBTのメリットとデメリット

庄村:まずVBTは先ほどいった通りデバイスがないとできないです。そのデバイスは近年でこそ比較的安く入手できるようになりましたが、まだ高いのでデバイスがないとできないという意味ではみんなが手に届くようなものではないかなと思います。1RMというのはトレーニングをしていけば筋力は変化していくので、例えば冬のトレーニングが始まる11月に計測した1RMに基づいて3月もその基準でトレーニングをしていると、結局筋力は上がっているのでその時の80%は当時の80%とは違うので直近のステータスを反映できないデメリットがあります。一方で速度基準にすると常に直近のステータスをもとにトレーニングの強度を設定できるというメリットがあります(写真3)。

写真3 従来とVBTの長所・短所について(Youtubeより)

森本:それこそ今日の調子とかで変えることもあるんですか?

庄村:もちろんそうですね。例えば昨日これくらいでできていたものが来週同じようにできるかというと疲れていたり、試合後のトレーニングだとできていたものができなかったりする場合があります。そのような時にその日の最適なトレーニングの負荷設定とかそもそも今日はトレーニングをやめましょうとかにも使えるので単純にトレーニングをするだけではなくて疲労状態に合わせた変化を持たせることができます。

森本シーズン中に取り入れやすいイメージもありますね?

神事先発ピッチャーだと特に中休みとか次の登板に向けてどうやってトレーニングしていくのかというところでもやはり負荷設定は大事だと思っています。そういった意味でも使えるかなと。1RMの測定会は大イベントでその時に怪我をしてしまう人もいるようなイメージがありますがその辺も回避できるというメリットもあるんですかね?

庄村:そうですね。1RMの測定はやはり限界を攻めるので常に怪我とか故障のリスクと隣り合わせです。一方でVBTではいくつかの負荷を使ってその時の速度を測ることができれば推定でその日の1RMを算出できます。そういう意味ではギリギリを攻めなくてもある程度その日の自分の最高値を確認することができるので怪我のリスクなく筋力を測ることも可能になりました。

VBTの長所 速度低下カットオフ

森本:何か長期的な効果も期待できるんですかね?

庄村:VBTではメリットの一つに速度低下カットオフ「Velocity Loss Cut Off」という指標・基準値のようなものがあります(写真4)。例えば10回やるといったら1回目からだんだん速度が疲れて落ちてくるのが一般的な形になるのですが、その一番元気で上げた最初の1回目から何%低下した時点でやめましょうみたいな感じです。
かなり追い込むトレーニングでは、例えば最初に1m毎秒で挙げたらそこからどんどん低下し、最後が0.5m毎秒でしか上がらなかったらこれは50%の速度低下があるという感じです。追い込みすぎて良いことと追い込みすぎると悪いことというのが近年の研究で分かってきているので一般的には筋力とかパワーとかを高めたい時には追い込みすぎないほうが良いということが言われています。

写真4 速度低下カットオフについて(Youtubeより)

庄村:一つ研究を紹介します。これは今までの伝統的な何%で何回何セットやりましょうというトレーニングとVBTで実際に速度を測ってこれは速度低下カットオフが20%なので最初の速度より20%低下した時点でやめるトレーニングです。週2回6週間のトレーニングを行なっていろんな種目の筋力がどのように変わってきたかを見た研究です。VBTの方が従来のトレーニングよりも筋力の向上が大きく見られた種目が多かったということですね(写真5)。もう一個興味深いのが、何キロ何回上げたかとかトレーニングの量自体はVBTの方が少なかった。つまりたくさんやっていないのにたくさん筋力が向上した結果になりました

写真5 従来とVBTについての研究結果(Youtubeより)

神事からの質問 VBT的素振り

神事:素振りあるじゃないですか。素振りをダラダラやったらパワー発揮が不得意になるという事ですよね。VBT的素振りがあるはずです。スイング速度を速くしたいのか、形を正確に取りたいのか難しい選択になると思います。素振りを1日で1000本振るとなると、回すだけになってしまう。その意味では身体そのものが慣れてしまい力発揮が不得意になってくる可能性もあるわけですよね。

庄村:もちろんそうですね。出身の大学が順天堂大学で駅伝が強い大学なんですが、同じ研究室に体力を計測する機械があり、長距離ではもう本当に大学レベルではかなりトップの子が立ち幅跳びをやるとふざけているくらいスローモーションなんですよね。だから長距離の選手たちは逆に遅筋繊維化していて速く体を動かすことが苦手な体になっていくので、そういうことも起こり得るかなと思いますね。

森本最新のトレーニングVBTについて紹介していただきましたが神事さん、庄村さんの話を受けていかがでしたか?

神事:働き方改革じゃないですけど、やればやった分だけ実になるという訳ではないところが非常に面白いなとは思いました。機械がないといけないというところもありましたけど、例えばランニングだとタイムを使って強度を設定する場面も多いと思います。30m走をやる時に何秒以内に走りなさいよと言ってストップウォッチをトレーニングコーチが押した場合に何%以下になるとトレーニング打ち切りみたいな使い方もできるんじゃないかと思ったんですけどその辺はどうですか?

庄村:はい、おそらくそういう汎用性はよくあると思っていて、特にジャンプとかダッシュみたいな特に動きが速くなればなるほど20%よりもっと小さいカットオフでやめないと、全力で走ることをしたいのに全力で走れないくらい疲れている中でやっても結局は足が速くなったりしないんでもう全力出せないと感じたらやめるとか極端な話それぐらいでも全然いいと思います。

神事:こういうのが分かってきて研究の成果が活用できるようになってくればそれを使わない手はないかなと思いますね。

森本:そうですね、走り込みを否定するだけじゃなくて対策が出てきたのは凄く価値のあることだと思いましたね。

今日は最新のトレーニングVBTを庄村さんにご紹介いただきました。このVBTのトレーニングもネクストベースアスリートラボにはたくさん機器も揃っていますので、庄村さんのトレーニングを受けたい方はぜひご連絡いただけたらと思います。

今回はVBTトレーニングについてご紹介しました。様々なメリットのある最新トレーニングを体験しにぜひネクストベースアスリートラボにお越しいただければと思います。

スタンダードプランに登録無料すると

記事の続きや、コメントを読むことができます。

Baseball Geeks編集部