投球理論

奪三振の重要性とは!勝てる投手のリスク管理能力を分析

指導現場や野球観戦の際に、どんな指標を用いて投手の能力を評価しているだろうか。これまで投手の評価には、勝利数・勝率・防御率といったの指標が使われる場面が多く、新聞やテレビでも防御率順に並ぶ投手を目にする。ただし、これらの指標は本当に投手の能力を評価できているのだろうか

例えば、防御率には投手の能力だけではコントロールできない要因が含まれる。打ち取った打球が運悪く安打になり失点することで防御率が悪化したり、味方の援護が少なく勝ち星が伸びないこともある。

それでは、投手の本当の能力を評価するためにはどのようなデータを用いればよいのだろうか。今回は、投手の「リスク」という考え方を紹介する。

最も失点のリスクが低い奪三振

投手が打者と対戦すると、奪三振・内野フライ・ゴロ・外野フライ・ライナー・四死球・本塁打のいずれかのイベントが発生する。そして、これらのイベントはそれぞれアウトになる確率が異なる(図1)。
例えば、奪三振はほぼ確実にアウトを奪うことができる一方、本塁打はアウトにはならず必ず失点が生じてしまう

図1 各イベントのリスク。イベントごとにアウトになる確率が異なる

これらの中で、奪三振・四死球・本塁打は投手と打者の対戦結果のみで決定されるため、運の要素を特に受けにくい。そのため、奪三振が多く四死球・本塁打が少ない投手は失点のリスクが少ないといえる。

セイバーメトリクスにFIPという指標がある。これは奪三振・四死球・本塁打から投手を評価する指標で、運の要素を省いた投手の能力を評価することを目的としている。
参考:防御率に代わる投手の評価指標FIPとは!

メジャーを代表する投手のリスク軽減方法

繰り返しになるが、奪三振が多い投手はそれだけで失点のリスクを下げることができる。しかし、三振を奪うことができなくても、どのような打球を打たせるかで失点のリスクを下げる方法もある

打球が打たれた時を比較すると、ゴロは76%の確率でアウトが見込め、長打も少ない。一方、外野フライになると長打の確率が増え、ライナーに至っては37%の確率でしかアウトを奪うことができない。実際に、メジャーを代表する投手のリスク管理表をみてみよう(図2)。

図2 メジャーを代表する投手のリスク管理表。奪三振、ゴロあるいは両方の割合が高い

昨シーズンのサイヤング賞であるバーランダーは奪三振(内野フライを含む完全アウト)の割合がかなり高い。バットに当てさせない投球でリスクを抑えている。一方、最優秀防御率を獲得したリュ・ヒョンジュンは、奪三振こそ少ないもののゴロを量産して失点のリスクを下げている投手の代表例である。また、この奪三振とゴロの割合がともに高い投手を「ハイブリッド型」と呼び、カーショウなどが該当する。

このように好投手と呼ばれる投手たちは、三振を奪う、あるいはゴロを量産することで失点のリスクを下げているのである。

アマチュア選手も取得可能なデータで投球スタイルを確認!

今回は、投手のリスクという考え方を紹介した。このリスクは、スコアブックのデータから計算することが可能である。アマチュア選手においても、このリスクを確認することで自身がどのようなタイプの投手なのか把握すること、今後どのようなボールを磨いていけばよいのかを明らかにすることができるのではないだろうか。

Baseball Geeks 編集部