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プロ野球

【オリンピック野球:傾向と対策】アメリカ代表デビッド・ロバートソン!ナックルカーブに注目!



目次
高速な3球種を操る
ホップ系カットボールと高速なナックルカーブのコンビネーション
アウトコースと低めを中心に組み立てる
デビッド・ロバートソンをどのように攻略すればよいのか?

ついに明日、金メダルをかけた日本対アメリカの戦いが行われる。日本代表はノックアウトステージ第2ラウンドでアメリカと対戦し、延長戦の末7-6で日本が勝利した。今回は、日本戦で登板し、坂本勇人(読売)・村上宗隆(ヤクルト)から三振を奪ったデビッド・ロバートソンのメジャー在籍時(2018・2019年)のトラッキングデータをもとに分析していく。
参考:【オリンピック野球:傾向と対策】アメリカ代表エドウィン・ジャクソン!高速に動くボールで勝負!

ロバートソンは、2008年から2019年までの11年間メジャーでプレーをし、主に中継ぎとしてヤンキースなどで通算661試合に登板している。ヤンキース時代には、イチロー・黒田博樹・田中将大らの元同僚でもあった。また、現在メジャー殿堂入りしたマリアーノ・リベラとの勝利の方程式が話題であった。2011年には、オールスターに出場。その年のアメリカン・リーグMVPとサイヤング賞で中継ぎ投手として唯一得票を得たことでも有名だ。

高速な3球種を操る

まず、平均球速と投球割合をみていく(表1)。
ロバートソンの持ち球は、カットボール・ナックルカーブ・スライダーの3球種だ。投球の4割ほどをカットボールが占めており、カットボールを軸として投球を組み立てる。
ロバートソンの大きな特徴は、カットボールとナックルカーブの球速がメジャー平均を上回っており、高速なボールであることだ。

表1 各球種の平均球速と投球割合

2018・2019年のデータを使用。カッコ内は2018・2019年のメジャー平均

4シームや2シームの速球系をほとんど投げず、カットボールが基準球となっている。プロ野球ではあまりいないタイプの選手だ。プロ野球でカットボールを基準球としている投手は、サイスニード(ヤクルト)くらいだろう。
参考:ヤクルトの新外国人サイスニードを分析!特異的なカットボールに注目!

ホップ系カットボールと高速なナックルカーブのコンビネーション

次に、ボール変化量をみていく(図1)。
投球の4割を占めるカットボールはホップ成分がメジャー平均よりも非常に大きい。また、4シームのメジャー平均と同等かそれ以上のホップ成分を記録しており、「真っスラ」のような変化をするボールだ。このカットボールは、コービン・バーンズ(ブルワーズ)のカットボールに近い変化をしている。
参考:【MLB2021】FIPから注目投手を紹介!

図1 各球種のボールの変化量

スライダーはメジャー平均よりもスライド成分が大きく、横曲がり型のスライダーだ。また、落差の大きい変化をするときもあるようだ。変化量にバラつきがあり、複数のスライダーを投げ分けている可能性もあるだろう。
ナックルカーブはメジャー平均よりも落差が大きいボールだ。また、ロバートソンのナックルカーブは、とても高速なボールだ。高速なボールは、一般的に変化量があまり大きくならないとされている。高速なうえに変化量が大きいため、打者から空振りを奪いやすいボールとなっている。

アウトコースと低めを中心に組み立てる

次に、対左打者と対右打者でのボール到達位置を比較していく(図2・3)。
左打者に対しては、主にカットボールとナックルカーブの2球種で組み立てている。特にナックルカーブには警戒が必要だ。高速で落差のあるナックルカーブをゾーン内低め・低めボールゾーンへ集めることで空振りを奪っている

右打者に対しては、対左に比べてナックルカーブの割合を減らし、スライダーの割合を増やしている。スライダーとナックルカーブを一般的に空振りが奪いやすいコースであるアウトコース低めのゾーン内外に投球している
左右どちらに対しても、①アウトコース中心、②メジャーのトレンドである高めのボールはなく低め中心であるということがいえそうだ。

図2 対左打者時のボール到達位置
図3 対右打者時のボール到達位置

最後に、リスク管理をみていく(図4)。
対左打者では、完全アウトの割合がメジャー平均を大きく上回っているカットボールを外巻きに使い、ナックルカーブを低めに集めることで多くの空振りや見逃しを奪っていることが要因だと考えられる。
対右打者では、対左よりも真ん中にボールが集まる傾向にあるため、外野へのフライの割合が高くなっている可能性がある。

図4 ロバートソンのリスク管理表

デビッド・ロバートソンをどのように攻略すればよいのか?

今回は、アメリカ代表のデビッド・ロバートソンを紹介した。ロバートソンは、ヤンキースなどでリリーフとして11年間メジャーでプレーした選手だ。アウトコース中心で低めに空振りを狙う投球をしている。そのため、ゾーン管理が重要になってきそうだ。

デビッド・ロバートソンの対策

スライダーとナックルカーブは球速が近く、横に逃げるボールと縦に落ちるボールを投げ分けてくるイメージ。追い込まれるまではカットボール待ちが有効な可能性あり。
カットボールは、左右どちらの打者にも外⾓を中⼼に投球。⽬付は外⾓に、低めを捨てる作戦も有効。
2018・2019年は⾼めのゾーンへの投球が少なく、⽇本的な投球ゾーンだった。低めボールゾーンを⾒極め打者有利のカウントを作っていくこと
【左打者】
・外巻のカットボールと低めボールゾーンへのナックルカーブ
・スライダーはあまりなく、カットボールかナックルカーブの2球種
【右打者】
・アウトコース低めへのボールに注意
・ゾーン管理が重要

デビッド・ロバートソンのプロフィール

David Robertson
1985年4月9日
ヤンキース(2008-2014)ーホワイトソックス(2015-2017)ーヤンキース(2017-2018)ーフィリーズ(2019)
【メジャー通算】661試合 53勝33敗 137セーブ 147ホールド 防御率2.90 

ポストシーズンでのロバートソンの投球

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Baseball Geeks編集部