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プロ野球

【オリンピック野球:傾向と対策】メキシコ代表オリバー・ペレス!メジャー通算696試合登板の鉄腕サウスポー!



目次
投球の軸は2シームとスライダー
2シーム・スライダーはいずれも大きな変化!
少ない球種でも抑える老獪な投球術
オリバー・ペレスをどのように攻略すればよいのか?

開幕戦でドミニカ共和国代表を相手に劇的なサヨナラ勝ちを飾った侍ジャパン。次の相手はメキシコ代表だ。そのメキシコ代表の中で、メジャー通算登板試合が群を抜いているのが、オリバー・ペレスである。2002年の初登板から積み上げてきた登板試合は実に696試合にのぼる。今回はそんなペレスの投球を昨シーズンのトラッキングデータを使って分析していく。

ペレスは、これまでに開催されたWBCすべてにメキシコ代表として出場している。国際試合での経験も豊富なチームの大黒柱とも呼ぶべき存在であろう。今シーズンは5試合に登板したところでチームをDFAとなり、現在はメキシカン・リーグのティフアナ・ブルズに所属している。
参考:【オリンピック野球】メキシコ代表と注目選手を紹介!メジャー通算317本塁打のゴンザレスに注目!

投球の軸は2シームとスライダー

まず、平均球速と投球割合をみていく(表1)。
球種は3種類と決して多いとはいえず、どの球速もメジャー平均を下回っている。スライダーは速球に対する球速比もメジャー平均を下回っており、球速で勝負するタイプではないといえるだろう。

表1 各球種の平均球速と投球割合。2シームとスライダーが投球の大半を占める

※2020年のデータを使用。カッコ内は2020年のメジャー平均

投球割合についてみると、投球の中心は2シームとスライダーで、それぞれ4割ほど投球している。4シームも投球しているものの、投球割合は非常に低い。ほぼ2球種で長年にわたって活躍してきたというところを考慮すると、これら2球種に大きな特徴があるといえるだろう。

2シーム・スライダーはいずれも大きな変化!

それでは気になるボール変化量をみていく(図1)。
2シームはシュート成分がメジャー平均よりも大きい。また、スライダーについてもスライド成分がメジャー平均よりも大きい。スリークォーターから投球されるスライダーは、シュート成分の大きな速球や2シームの影響もあり、打者の目線からは大きく横に曲がって見えるだろう
参考:「変化量」からみるボールの特性とは?トラッキングデータを指導に活かそう

図1 各球種のボールの変化量。2シームのシュート成分・スライダーのスライド成分はいずれもメジャー平均よりも大きい

少ない球種でも抑える老獪な投球術

次に、対左打者と対右打者でのボール到達位置を比較していく(図2・3)。
左打者に対しては、2シームとスライダーの投球が多い(図2)。また、スライダーはコース内に限ると外角に多く投球されていることがわかる。スリークォーターのスライダーは、左打者にとってはいわゆる「背中からくる」ように感じるボールであるだろう。
右打者に対しては、対左打者よりも4シームの投球を増やしていることがわかる(図3)。また、2シームは外角低めにはあまり投球しておらず、代わりにそのコースにはスライダーが多い。外巻きのスライダーに警戒が必要だ
参考:【オリンピック野球:傾向と対策】ドミニカ共和国代表ジャンボ・ディアス!武器は、メジャー平均を大きく上回る球速!

図2 対左打者時のボール到達位置
図3 対右打者時のボール到達位置

最後に、リスク管理をみてみる(図4)。左打者に対しては、完全アウトの割合がメジャー平均を大きく下回っており、ゴロ・外野への打球が多かったことがわかる。スライダーの変化量が大きいものの、三振は多く奪えていなかったようだ。
右打者に対しては、完全アウトの割合がメジャー平均を上回っている。外から入ってくるスライダーを武器に三振を重ねているのかもしれない。

図4 ペレスのリスク管理表

また、対右左どちらも外野への打球が多いのにも関わらず被本塁打が0である要因として、投球フォームや間合いを変えた「老獪な投球術」が挙げられる。打者のタイミングをうまく外す、データには見えない投球術というところにも注意が必要である。

オリバーペレスの投球。記念すべきメジャー初奪三振はイチローから奪っている

オリバー・ペレスをどのように攻略すればよいのか?

今回は、メキシコ代表のオリバー・ペレスを紹介した。実績十分のリリーフ左腕は、ここぞという場面での登板が予想される。基本的には2シーム・スライダーの2球種のみの組み立てだが、いずれも変化量が特徴的である。球速が速くないものの、タイミングを変えた投球術に注意が必要である。吉田正尚(オリックス)や村上宗隆(ヤクルト)など、あまり足を上げずにタイミングをとって長打が打てる打者がポイントになりそうだ。

オリバー・ペレスの対策

【左打者】
・右打者よりも狙い球が絞りやすい!
・外角のスライダーをゴロにしないように注意!
・間合いを変えた投球術に注意!

【右打者】
・対左打者よりも4シームの投球割合が多い
・2シームは高めor内角中心の攻め!
・外から巻いてくる外角のスライダーに警戒!
・間合いを変えた投球術に注意!

オリバー・ペレスのプロフィール

Oliver Perez
1981年8月15日生まれ
パドレス(2002-2003)―パイレーツ(2003-2006)―メッツ(2006-2010)―マリナーズ(2012-2013)―ダイヤモンドバックス(2014-2015)―アストロズ(2015)―ナショナルズ(2016-2017)―インディアンス(2018-2021)

【メジャー通算成績】
696試合 73勝93敗5セーブ 防御率4.34

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Baseball Geeks編集部