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プロ野球

読売の新外国人アンドリースを分析!コースの隅をつくコントロールに注目



目次
多彩な球種を投げ分けてゴロを量産する
圧倒的なコントロールが武器
悩める読売先発陣の救世主となれるか

昨シーズン3位に終わった読売。シーズンを通して先発投手不足に苦しみ、終盤には10連敗を喫するなど勢いが徐々に落ちていく1年となってしまった。2022年シーズンは投手力を改善すべく、ドラフトでは即戦力投手を積極的に指名。また、メジャーで50試合の先発登板経験があるマット・アンドリースを補強した。今回は、アンドリースのメジャー時代の投球をトラッキングデータから分析していく。

アンドリースは昨シーズン、レッドソックスとマリナーズで計34試合に登板(0先発)して2勝3敗1S、防御率5.21という結果を残している。ここ3シーズンは主に中継ぎでの登板がメインなようだ。2020年にはエンゼルスに所属、大谷と投手リレーをした経験もあり、記憶に残っているファンもいることだろう。
参考:【ドラフト特集2021】セ・リーグ各球団の現状とドラフトを振り返り!

多彩な球種を投げ分けてゴロを量産する

まず、平均球速と投球割合をみていく(表1)。4シームの球速はメジャー平均をやや下回っているが、プロ野球では速い部類だ。投球割合をみると4シームとチェンジアップが投球の中心となっている。主に先発投手を務めていた2015-2018年はスライダーも投げており、実に6球種を投球するようだ。多彩な変化球を投げ分ける器用さが特徴といえよう。

表1 アンドリースの各球種の平均球速と投球割合。

2021年シーズンのデータを分析。カッコ内はメジャー平均

続いて、ボールの変化量をみていく(図1)。4シームは、メジャー平均よりもホップ成分が大きく、空振りを奪いやすいボールになっている。特徴的なのはチェンジアップ。シュート成分が極めて小さく、カットボールに近い変化量をしている。平均的なチェンジアップだと思って打ちにいくと、芯を外され凡打になる可能性が高いボールとなっている。ツーシーム・カーブ・カットボールも平均よりも少し落ちるボールとなっているので、ゴロを量産しやすい球質となっている。

図1 アンドリースの各球種のボール変化量。

圧倒的なコントロールが武器

リスク管理表をみると、メジャー平均よりも完全アウトの割合が低く、その分ゴロの割合が高くなっている(図2)。平均よりも落ちる変化球を武器に、ゴロを奪うのが得意なようだ。また、四死球割合がメジャー平均よりも低い点も特徴である。コントロールに自信のある投手といえよう。

図2 アンドリースの2021年のリスク管理表

特にカーブとチェンジアップの制球力は一級品だ(図3,4:赤い部分が投球割合が高い)。カーブは右打者のアウトコース低めに、チェンジアップはストライクゾーンの低めを中心に投球することができている。日本のボールやマウンドにうまく適応することができれば、自慢の制球を武器に投手有利なカウントを作り出すことができるだろう。

図3 ボール到達地点:カーブ
図4 ボール到達地点:チェンジアップ

悩める読売先発陣の救世主となれるか

今回は、読売に入団が決まったアンドリースの投球をみてきた。プロ野球では速い球速・多彩な変化球・コースをつく制球力と、投球腕は異なるものの広島に在籍したクリス・ジョンソン投手を思い起こさせる投手であった。ジョージ・アリアス氏をはじめとする球団スタッフとアメリカでミニキャンプを行い、来日に向けて準備を進めていくようだ。来日して早速大活躍という展開も十分に考えられる。悩める先発陣の救世主になれるか注目だ。

マット・アンドリース

Matthew Lee Andriese
1989年8月28日生まれ(32歳)、右投右打
レイズ(2015-2018)ーダイヤモンドバックス(2018-2019)ーエンゼルス(2020)ーレッドソックス(2021)ーマリナーズ(2021)ー読売(2022)
【メジャー通算成績】217試合(50先発) 28勝37敗8S 防御率4.63

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Baseball Geek編集部