大谷翔平の今シーズンを大予想！【第2回：初球打ち学】

連日、2021年のスポーツ界を賑わせたエンゼルス・大谷翔平選手。
投手としてチームトップの9勝をマークしながら、打者としてリーグ3位の46本塁打を放つなど、日本人選手としては史上初となる満票投票で、イチロー氏以来2人目となるリーグMVPに輝く活躍をみせた。シーズン開幕前から、今シーズンの活躍に注目が集まっていることだろう。

そんな大谷翔平の凄さや今シーズンの展望を紹介するスポーツサイエンスバラエティ番組「Next Baseball Academy 大谷翔平学」が、毎週日曜日よる11時から「ひかりTV」にて絶賛放送中！
4回にわたり、打者大谷・投手大谷の今シーズンの活躍を予想していく。

「Next Baseball Academy 大谷翔平学」に関する番組詳細はコチラ！

Baseball Geeksでも4回にわたり、二刀流・大谷翔平の凄さを「トラッキングデータ」から分析し、今シーズンも活躍できる要因について紹介する。
第2弾として、「大谷翔平の初球打ち」について分析する。
参考：大谷翔平の今シーズンを大予想！【第1回：ホームラン学】

まず、大谷の初球打率と本塁打数についてみていく（表1）。
2021年の初球打率は0.371と、2020年よりも非常に高くなっていた。大谷の2021年の打率は0.269であり、1割以上高くなっている。また、本塁打も8本と非常に多く、初球から積極的に仕掛けていることが考えられる。ここからは、初球の重要性についてみていきたい。

ここで、カウントごとの平均打球速度・打球角度をみてみる（表2）。
表2をみると、ストライクカウントが増加すると打球速度が低下し、ボールカウントが増加すると打球速度が上昇する傾向にあることがわかる。さらに、追い込まれるカウントでは投手は決め球を投げてくるため、空振りを奪われる可能性も高くなる。そのため、ファーストストライクを打つことは非常に重要であるといえる。
参考：初球の入りは大切！？カウントによる打者・投手への影響

大谷のカウントごとの打球速度をみてみると、「3-1」という打者有利なカウントの次に初球の打球速度が速くなっている。前述の通り、ストライクカウントが増加すると打球速度は低下する。投手としては、なんとしてでも初球ストライクを取りたいところである。大谷の初球打球速度はメジャー平均を上回っている。これこそが、大谷が初球に強く本塁打を増加させることができた要因の一つであるといえるだろう。

続いて、コース別の初球平均打球速度をみていく（図1）。
図1をみると、ど真ん中のコースの打球速度が圧倒的に高くなっている。メジャー平均と比べて20キロも速いという驚異的な速さだ。このコースの初球本塁打も4本となっており、初球でも甘い球がきたら見逃さず確実に捉えられているといえる。
参考：アウトコースは安全？投球されたコース別の打球特性

打球速度が速くなると長打が増加することがわかっている。特に、本塁打は150km/hを超えたあたりから急激に増加している。二塁打や三塁打も、この地点を境に発生割合が増える。大谷の初球平均打球速度をみると、ほぼすべてのコースで150km/h付近となっている。

前述の通り、ストライクが先行すると打球速度は低下する。ストライクを取りにくる初球のスイング率が高まることが、今シーズンの活躍につながるだろう。初球から積極的に仕掛けていくのか、初球本塁打が増加するのかに注目したい。
参考：注目の指標バレルとは？打球速度と打球角度の重要性

二刀流・大谷翔平選手の凄さに迫る、スポーツデータ解析を活用したスポーツサイエンスバラエティ番組「Next Baseball Academy 大谷翔平学」が、ひかりTVにて2022年2月20日（日）より独占配信されており、第2回が2月27日（日）23時より放送される。

本番組は、大谷翔平選手の活躍の要因を最新の野球科学に基づいた解析データを用いて授業形式で解析し、科学で野球を学ぶ新しい形のスポーツ番組だ。Baseball Geeksを運営する株式会社ネクストベースがデータ提供をしており、本記事のようなデータから非常にマニアックなデータを用いて、大谷選手の類まれなる能力を紐解いていく。

ぜひご覧いただき、マニアックな講義を楽しんでいただきたい。