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プロ野球

【プロ野球】益田がシーズン記録を更新!大波乱の「引分王」争いを振り返る!



目次
引分王、益田直也は引分成功率も高い
シーズン引き分け記録を益田・杉浦・三嶋が更新
歴代記録通算記録は、引き続き山口俊が保持
マイナーな記録「引分」を楽しむ

2021年のプロ野球は引き分けについての話題が尽きない1年だった。延長戦なしの特別ルールが採用された2021シーズン、歴代最多となる計102試合が引き分けに終わり、引き分け数による複雑な順位の変化やサヨナラ引分という特殊な状況も発生した。本記事ではそんな引き分けの中でも、投手に記録にされる「引分」という指標について注目し、大波乱となったシーズン引分記録や通算引分記録について紹介していく。

参考:【プロ野球】今季は投手記録「引分」に注目!石山・松井が歴代記録を更新か!

引分王、益田直也は引分成功率も高い

皆さんは「引分」という記録をご存知だろうか。勝利投手や敗北投手と同様に責任投手の一つで、引き分けになった試合で最後にマウンドに立っていた両軍の投手に記録される。引き分けが話題になった2021年シーズンではどの程度の引分が記録されたのだろうか。まずは、2021年シーズンの引分ランキングをみていく(表1)。引分王はロッテの守護神である益田直也で、パ・リーグのセーブ王とあわせて2冠となった。他にもセ・リーグセーブ王のスアレスや新人特別賞を受賞した栗林良吏など、各チームの抑え投手が名を連ねるランキングとなった。

表1 引分数ランキング(2021シーズン)

ロッテは今シーズン19引き分けを記録したが、ほぼ全てを益田が記録していることがわかる。引分は抑え投手が打たれて同点に追いつかれた場合でも記録されるが、益田は打たれて引分がついたのは1度のみ、同点で登板して負けがついたのも1度のみと高い引分成功率をほこった。引分の価値が高かった今シーズンで大事な役割を果たしたといえるだろう。

惜しむらくは引分はホールドと異なり表彰項目として採用されていないことだ。多くの引分はホールドの条件(※注)を満たしているが、引分が記録された場合ホールドは記録されない。つまり、引分によってホールドを損したと考えることができる。益田を例に出せば、18引分のうち17試合がホールドの条件を満たしており、17ホールド逃したと考えることもできる。もし17ホールド加算されれば、益田はホールド通算記録10位から7位にランクアップする。このように、引き分けのルール変更が通算記録や連続記録に影響を与える場合もある。

ホールドの条件には自チームの最終守備イニングの3アウト目を取った投手(交代完了投手)ではないこと、つまり最後に投げていた投手でないことが含まれている。ここでは9回で試合終了にならず10回以降も試合が続く場合、引分ではなくホールドが記録されていたという意味で用いた。

シーズン引き分け記録を益田・杉浦・三嶋が更新

では、引分はシーズンでどの程度記録されるだろうか。シーズンでの引き分け記録をみていく(表2)。これまでの記録は藤川球児が2012年に11引分だったが、益田が大きく更新するという結果になった。
参考:【プロ野球】得点圏でも失点を許さない!ピンチに強い投手ランキング

表2 シーズン引分数ランキング

1995年以降の引分を対象。2021年に10引き分けを記録した5名は省略。

また、上記のランキングは2011年・2012年・2021年の記録で占められている。これらのシーズンに共通する点は、延長戦に関する特別ルールが施行され、12回を待たずに引き分けが成立したということだ。社会情勢に関わるルール変更は、引分という指標に与える影響が大きいことがわかる。2022年シーズンも引き続き感染症対策ルールが施行されることが予想されるが、選手起用や指標がどう変化するかに注目だ。

またこのランキングには杉浦や山口といった優勝とは縁が遠かったチームの抑え投手も含まれている。勝利が少ないチームではセーブ機会自体が減ってしまうので、そのような投手を評価する上でも引分は有用な指標とも考えられる。例えば、2011年の山口俊は「セーブ+引分」が両リーグで最多であり、クローザーと呼ぶにふさわしい活躍だったと捉えられる。

歴代記録通算記録は、引き続き山口俊が保持

では最後に、歴代通算の引分記録を確認していく(表3)。NPBBIPで提供されている1995年以降の記録であることに注意いただきたい。歴代1位は山口俊、2位は藤川球児、3位に益田直也が名を連ねた。益田は今シーズン引分を積み重ねたものの、通算記録には手が届かなかったようだ。

表3 通算引分数ランキング

太字は現役選手。1995年以降の引分を対象

山口俊の引分は主に横浜で抑え投手をしていた時代に積み上げたものだが、巨人に移籍してからもロングリリーフで引分を記録しており、今後も記録更新の可能性は十分考えられる。益田、三嶋、石山らとの熾烈な通算記録争いに今後も注目だ。
参考:2020年の山口俊の投球を分析!データからみえた特徴的な投球術とは!

マイナーな記録「引分」を楽しむ

今回は引分という投手記録に焦点を当て、救援投手の評価について考えた。取り沙汰されることが少ない記録であるが、試合を終わらせるという重要な役割であり、実力のある投手が多く記録していることがわかった。9回打ち切りというルールが追加されるだけで、選手起用や記録が大きく変化するというのは興味深い。打ち切りルールが2022年も続くのであれば、どうか引分という記録が評価されることを願ってやまない。

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Baseball Geeks編集部