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プロ野球

パ・リーグの新外国人投手コットンとティノコを分析!縦変化と横変化、両者の特徴に注目



目次
打者を惑わすほどのノビをみせるストレート!
日本には存在しない新モデル
次回はパ・リーグ打者編!

ついにプロ野球が幕を開けたが、注目をしたいのは新外国人の活躍である。パ・リーグには新たに6名の新外国人投手が入団をした。そのうち5名が昨年、メジャー登板経験があるという強者揃いである。今回はその中でもオリックスバファローズのジャレル・コットン西武ライオンズのヘスス・ティノコに注目したい。

打者を惑わすほどのノビをみせるストレート!

森本:コットン投手はアメリカ出身のピッチャーで、去年は30試合メジャーで登板しました。データではどういった点が面白いポイントでしょうか?

神事ストレートの球速ボールの変化量、特に縦変化に特徴が現れています(表1)。球速は149.2キロあり日本の平均的な投手よりはちょっと速いですが、いわゆる外国人投手のゴリゴリストレートで押していく感じではないというのがデータとしてあります。ボールが伸びていきますので空振りが増える、またはファウルになってくれるということでストライクカウントが稼ぎやすいです。結果的に他の球種、チェンジアップも投げますので最終的に空振りを奪ってくれるだろうというところで、非常にリスクの少ない打ち取り方だと思います。

参考: ホップ成分が大きい速球は空振りを奪いやすいって本当!?

表1 コットンの各球種の平均球速と投球割合(カッコ内はメジャー平均)

神事:さらにボールの変化量というところを見るとホップ成分が非常に大きいところが彼の特徴となっています(図1)。コットン投手の縦の変化が48センチで、メジャー平均と比べるとボール1個分上に伸びています。一般的には回転数が高いというところが特徴なんですが、それだけでなくボールの回転効率も非常に高くなっています。99%というデータが出ていて、かなり綺麗なバックスピンで回転の効率が良くボールが伸びていくというのがストレートの特徴となっています。

参考:【2021年】メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~

図1 コットンの各球種のボール変化量

森本:球速が149.2キロと新外国人の中で一番低速ではあるのですが、ホップ成分は一番高いということで、この両者の関係性というのはどのようになるのでしょうか?

神事バッターの見え方が変わることがあります。バッターは平均的なボールを見慣れているため、ボール一個分というところがバッターからは伸びて感じる、何か差し込まれる、球が速いのではないかという違和感につながっているというところがあります。今回このような投手にバッターがどう反応するかというのも注目かなと思います。

森本:こういった投手を獲得する狙いみたいなものでいうと、どういったところに期待したいんですかね?

神事:そうですね、ショートイニングでしっかり抑えていきましょうというところ。空振りを奪えるので、イニングの途中から来ても空振りを奪いたい時に奪ってくれるというところでも期待できる点はあると思います。

日本には存在しない新モデル

森本:続いて紹介したいピッチャーが西武ライオンズが獲得したティノコ投手になります。彼はショートアームと呼ばれるような少し独特なフォームから繰り出される速球が武器というところですけれども、彼の注目ポイントは何かありますか?

参考:平良海馬コラボ【前編】平良投手がデータで驚きの進化!?

神事:そのショートアームが少し野手投げっぽい感じでありますが、平均球速は速く155キロとなっています。

神事:球種の割合を見ると、先ほどのコットン投手と同様に2球種で勝負するというのも特徴です(表2)。フォーシームをあまり投げずに、ツーシームとスライダーで80%を超えている。コットン投手のストレートで空振りを奪うのとは異なり、別の打ち取り方をしていくというところが彼の面白い点だと思います。

参考:サイ・ヤング賞候補アルカンタラを分析!総合力の高いイニングイーター

表2 ティノコの各球種の平均球速と投球割合(カッコ内はメジャー平均)

森本:縦で揺さぶるコットン投手と比べてティノコ投手は左右ワイドにコースを使って打ち取るということですね?

神事:そうですね、ティノコ投手のシュートの成分は41センチでボール2個分くらいシュートしてくれます(図2)。逆にスライダーも左側に6センチ曲がっているので、この左右の差だけでも50センチ近く、横で勝負していくのが彼の特徴です。

図2 ティノコの各球種のボール変化量

森本:役割としてはセットアッパー、勝ち試合で投げるようなピッチャーとして期待してもいいということでしょうか?

神事:そうですね、ティノコ投手は比較的完成度の高い日本にはいないタイプのピッチャーです。ちょっと前のメジャーリーグで、ツーシームで球数を減らしたりゴロを打ち取ったりするピッチャーがいた中で、なかなかアメリカでもこのようなピッチャーが少なくなってきています。そういう人が日本で活躍できる環境であるというのは面白い部分ではありますね。

神事:さらにボールの変化がどれくらいあるのかというところはピッチャーにとってかなり生命線になります。どういうふうに打ち取っていくのかというのがこの変化量から見えてくるので、若干打ち取り方の異なる2人のピッチャーが自分が打ち取りたい方法で打ち取れているのかどうかにも注目してもらうともっと野球の表現が豊かになるかなと思います。

次回はパ・リーグ打者編!

今回は、新外国人選手のパ・リーグ投手編をお送りした。これからの2選手の活躍に注目していきたい。次回はパ・リーグの新外国人野手7人の中で注目の2人について深掘りしていく。

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Baseball Geeks編集部