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ヤクルトの新外国人投手イノーアを分析!シュート系の速球が特徴

投手陣の再建が急務のヤクルトにボルティモア・オリオールズのガブリエル・イノーア投手の加入が決定した。今回はイノーアのメジャー時代の投球を分析していく。
参考:日ハムの新外国人投手バーヘイゲンを分析!高速2シームとパワーカーブが特徴!

ヤクルトの新外国人投手イノーアの特徴
4シーム・2シーム・スライダーをバランスよく投球!
全球種シュート成分の大きい変化量!
2シームに似た変化のチェンジアップ!

4シーム・2シーム・スライダーをバランスよく投球!

まずはイノーアの各球種の球速と投球割合をみていこう。持ち球は5球種で、4シーム・2シーム・スライダーが投球の8割以上を占めており、似たような割合で投げ分けている(表1)。
球速は2シームの方が4シームよりもわずかに速いものの、投球割合は4シームの方が高くなっている。

表1 2019年シーズンの球種別の球速と投球割合。投球の軸は4シームと2シーム、そしてスライダーである
球種球速
(km/h)
球速
(%)
投球割合
(%)
4シーム150.4
(150)
99.9
(100)
31.1
2シーム150.6
(150)
100
(100)
24.9
チェンジアップ138.3
(136)
91.8
(91)
13.7
スライダー135.3
(136)
89.8
(91)
28
カーブ128.6
(127)
85.4
(85)
2.3

2019年シーズンのデータを分析。カッコ内はメジャー平均

4シーム・2シームはともに平均球速が150キロを超えており、投球割合の半分以上を速球で組み立てていく本格派右腕であると言えるだろう。
一方で昨シーズンは36試合の登板(うち先発13試合)でリーグワースト15以内にランクインするほど被本塁打が多い(29本)。この成績は狭い神宮球場をホーム球場とするチームにとってはやや不安材料かもしれない。しかし、イノーアのボールは日本では速球派に分類されるため、メジャー時代同様に被本塁打数が多くなるかどうかは制球次第であろう。
参考:速球は最も飛ぶボール? 球種別で見られる打球特性とは

全球種シュート成分の大きい変化量!

次に、各球種のボール変化量からボールの特徴を見ていく(図)。
注目すべきはシュート方向への変化量である。

図 各球種のボール変化量。全球種でメジャー平均よりもシュート成分の変化量が大きい
※2019年シーズンのデータを分析

イノーアの4シームはシュート成分が大きく、シュート系の球質といえるだろう。また、2シームはそこから更にシュートが大きくなる球質で、非常に珍しい変化のボールかもしれない。

2シームに似た変化のチェンジアップ!

図を見ると、2シームとチェンジアップの変化量が似ていることがわかる

表2 各球種の変化量と回転数。2シームはチェンジアップと縦横の変化量が似た数値である
球種球速
(%)
回転数
(rpm)
横変化
(cm)
縦変化
(cm)
4シーム99.9
(100)
2049
(2287)
33.2
(19)
30.8
(40)
2シーム100
(100)
2028
(2156)
44.3
(38)
19.6
(23)
チェンジアップ91.8
(91)
2007
(1807)
43.9
(34)
21.3
(18)
スライダー89.8
(91)
2280
(2428)
-6.3
(-14)
2.9
(5)
カーブ85.4
(85)
2306
(2528)
-16.2
(-23)
-7.4
(-24)

2019年シーズンのデータを分析。カッコ内はメジャー平均

2シームとチェンジアップは球速には10キロ以上の差がある。特異な変化に加えて、打者のタイミングを外すボールとして機能すれば活躍も期待できるだろう
また、メジャー時代に投球割合が2番目に高かったスライダーは、縦方向の変化量が小さく、打者の視点からは横に滑るように見える。シュート系のボールが多いタイプであるため、逃げるように感じ空振りを奪えるボールになるかもしれない。

昨シーズン活躍したあの助っ人がお手本...!?

イノーアと同様に2シームとチェンジアップの変化量が似ているという特徴を持っている投手で、日本に来て大活躍した助っ人がいる。埼玉西武ライオンズのザック・ニール投手である。昨年度の分析記事では、ニールの活躍のポイントはチェンジアップの使い方にあると予測したが、それが見事に的中する結果となった。
参考:西武の新外国人ザック・ニールを分析!活躍の鍵は大きく沈む2シーム!
その要因として、アッパースイングの打者が多いメジャーリーグではすくい上げられていた小さな変化のボールが、日本ではゴロを奪うボールとして機能したことが挙げられる。イノーアもニール同様、シュート回転する4シームに2シーム・スライダーを組み合わせた動くボールに、「奥行」を生み出すチェンジアップを効果的に使えば、日本で大ブレイクするかもしれない。イノーアの投球術に注目だ。

動画:イノーアのメジャー時代の投球。チェンジアップでヤンキースのジャッジから三振を奪っていた

まとめ:ヤクルトの新外国人投手イノーアの特徴
投球の中心は4シーム・2シーム・スライダーの3球種
全球種シュート成分の大きい変化量
2シームに似た変化量のチェンジアップが成功のカギ!

ガブリエル・イノーアのプロフィール

ガブリエル・イノーア Gabriel Ynoa
1993年5月26日生まれ、26歳、右投げ右打ち
メッツ2016-オリオールズ2017-ヤクルト2020
メジャー通算成績
55試合 4勝13敗 防御率5.39(2016~2019)

Baseball Geeks 編集部