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プロ野球

西武の新外国人エンスとスミスを分析!メジャークラスの2人に期待!



目次
高い完全アウト割合を誇るディートリック・エンス!
伸びる4シームが投球の軸のバーチ・スミス!
若手投手が多いなか、存在感をだせるか!

2021年、リーグ最下位に終わった西武。ドラフトで隅田知一郎(西日本工大)、佐藤隼輔(筑波大)と注目大学生左腕2人を獲得し、長年の課題である投手陣の補強を行った。また、新外国人選手の投手を3人補強し、パ・リーグ優勝を狙う。
そこで今回は、西武への入団が決まっている投手3人のうち、メジャー経験のあるディートリック・エンス、バーチ・スミスのメジャー時代の投球をトラッキングデータから分析していく。
参考:西武の開幕投手・髙橋光成は「疎さの自覚」をデータを使って乗り越える

エンスは2021年、レイズで9試合に登板して2セーブ、防御率2.82。AAAでは、19試合(11先発)、8勝2敗という結果を残している。昨シーズンが2017年以来4年ぶりのメジャー登板となった。
スミスは昨シーズン、アスレチックスで中継ぎとして31試合に登板、防御率5.40であった。大谷翔平(エンゼルス)とは、同地区(ア・リーグ西地区)であったため、何度か対戦経験がある。
参考:広島の新外国人アンダーソンとターリーを分析!タイプの異なる2人に期待!

高い完全アウト割合を誇るディートリック・エンス!

まずはエンスからだ。平均球速と投球割合からみていく(表1)。
4シームの平均球速は、メジャー平均並みでプロ野球のなかでは速い部類となる。その他の球種の球速はメジャー平均よりも遅い値となっている。投球割合をみると、4シームとカットボールの2球種がほとんどを占めており、速球系が軸となる投手である。

表1 エンスの各球種の平均球速と投球割合

2021年のデータを使用。カッコ内はメジャー平均

続いて、ボールの変化量をみていく(図1)。4シームは、メジャー平均よりもホップ成分が大きく、シュート成分が小さい真っスラ系で伸びる球質となっている。カットボールは、メジャー平均のカットボールとスライダーの中間球のようなボールとなっており、縦に落ちるようなカットボールだ。このカットボールは被打率.171(2021年)を記録し、エンスの武器となっているボールだ。

図1 エンスの各球種のボール変化量

また、メジャーであまり投球していないチェンジアップがプロ野球でカギとなりそうだ。速い球速帯でメジャー平均よりもホップ成分の大きいボールとなっており、いわゆる「来ない系」と呼ばれる奥行きで勝負するボールだ。
速球系の投球割合がほとんどを占めているため、このチェンジアップを投げることや新球種を習得することで打者を打ち取っていきたい。

リスク管理表をみると、メジャー平均よりも完全アウトの割合が大きく上回っている(図2)。また、外野フライ割合も大きく上回っている。エンスの被打球インベントの割合では、フライが50%を占めておりゴロを打たせるというよりも三振かフライの投手である。一方、四死球の割合がメジャー平均よりも低いため四死球率がリーグワーストの西武投手陣の中でストロングポイントとしていきたい。

図2 エンスの2021年のリスク管理表
ディートリック・エンス

Dietrich Enns
1991年3月16日生まれ 左投左打
ツインズ(2017)ーレイズ(2021)ー西武(2022)
【メジャー通算】11試合(1先発) 2勝0敗2セーブ 防御率3.42

伸びる4シームが投球の軸のバーチ・スミス!

次にスミスについて、平均球速と投球割合からみていく(表2)。
スミスは、4シームが投球の約70%を占めており投球の中心だ。各球種の平均球速は、メジャー平均と同じくらいかやや遅いボールとなっている。

表2 スミスの各球種の平均球速と投球割合

2021年のデータを使用。カッコ内はメジャー平均

次に、ボール変化量をみていく(図3)。4シームは、球質のバラつきが大きくなってしまっている。メジャー平均よりホップ成分が大きく、伸びるようなボールになっている。高めに投げることで空振りを奪っていきたい

図3 スミスの2021年のボール変化量

チェンジアップも非常に球質にバラつきのあるボールだ。メジャー平均よりもホップ成分が大きく、落ちずに伸びてくるような球質で4シームとの球速差で勝負する「来ない系」の奥行き型チェンジアップだ。変化量が4シームと近く、球速帯の遅い4シームのようなボールになっている。このチェンジアップは、4シームとのピッチトンネルを構成しやすいボールとなっている
投球割合が4シームの次に高いカーブは、大きく縦に落ちるボールだ。

リスク管理表をみると、完全アウトの割合がメジャー平均を大きく下回っており、外野フライの割合が大きく上回っている(図4)。投球割合のほとんどを4シームが占めており、打者に的を絞られやすいことや4シーム以外のボールの平均球速があまり高くないことが原因だと考えられる

図4 スミスの2021年のリスク管理
バーチ・スミス

Burch Smith
1990年4月12日生まれ 右投右打
パドレス(2013)ーロイヤルズ(2018)ーブルワーズ(2019)ージャイアンツ(2019)ーアスレチックス(2020-2021)ー西武(2022)
【メジャー通算】102試合 5勝11敗 防御率6.03

若手投手が多いなか、存在感をだせるか!

今回は、西武に入団の決まった2人の新外国人投手のメジャー時代の投球をみてきた。西武は、投手陣の強化が長年の課題である。2021年、髙橋光成を筆頭に松本航・今井達也ら若手投手が台頭している。ドラフトでは、即戦力を獲得し、ファンの期待は高まっている。2022年の西武は、外国人選手がごっそり変わる。新外国人選手の来日は未定であるが、今回紹介した2選手含め、新たに加わる新外国人選手がどのような活躍をするのか楽しみだ。

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Baseball Geeks編集部