Geeksウェビナーの詳細はこちら

詳細



0 件
プロ野球

平良海馬コラボ【後編】平良選手にとってデータとは!?



目次
平良投手が重視してきたデータ
ピッチングバイオメカニクスとは?
平良さんの凄いところは
あなたにとってデータとは

シーズンが開幕し、今季の展望に胸躍らせる日が続く中、今回は昨シーズン61試合に登板し、最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。そして、今シーズンより先発に転向し、3登板・2勝・防御率1.89・21奪三振(4/19現在)と好成績を残している平良海馬投手を迎え対談を行った。

平良投手が重視してきたデータ

森本平良さんが今まで重視してきたデータ、「こういうことを目指してやってきたよ」みたいなものってありますか?

平良自分の球種によってどんなイベントが起きるのかというのを重視していましたね。
参考:奪三振の重要性とは!勝てる投手のリスク管理能力を分析

森本:空振りだったりファールだったりゴロ、そういうものを増やすために、「こういう変化にしていこう」・「スピードを上げよう」ということをやってきたんですね。

森本:例えば動作分析だったり、ピッチデザイン、この辺のキーワードがいくつか出てきていましたけれど、改めて狙いと効果みたいなところをお話してもらっていいですか?

神事:僕たちはピッチングバイオメカニクスという形で呼んでいます。ピッチングバイオメカニクスに関しては「ボール速度の向上」と「怪我の予防」この2つを目的としています。
身体にエネルギーが流れていく様子を可視化また数値化していく中で、「どこでこのエネルギーロスが起こるのか」、そして「どこで肘肩の負担が大きくなるのか」をデータとして評価して、いわゆる「理にかなったフォームって何なのですか」を狙いとしてやっています。

ピッチングバイオメカニクスとは?

神事:ピッチングバイオメカニクスに関しては、良いフォームを作り上げ、それをどういうふうにトレーニングに繋げていくのかというところの評価をしていくものになります。
また、ピッチデザインに関しては、「球種の獲得」0から1を作ること、「今ある球種を良い形にチューニングしていくこと」、この2つがピッチデザインの目的ということになります。
ピッチデザインは、このイベントをできるだけ良いイベントで終わらせたいので、そのためにはボールの軌道を良い軌道で投げたい、回転数と回転軸の方向、またはボールをどこに投げるのか、それを何パーセント配分させるのか。そういうものを全部調整していきながら、自分の良いイベントで打ち取るというところを狙いとしてやっていく方法ですね。

森本:バイオメカニクスとピッチデザインというところでお話聞いて参りましたが、時期とか頻度みたいなものはそれぞれ推奨は変わっていくんですか?

神事:ピッチングバイオメカニクスには、シーズン終わった直後ぐらいに来てもらって、どういうようなフォームで投げれたのか、またトレーニングの処方みたいなところまで行います。そのトレーニングの処方が済んだらトレーニングしてもらって、またバイオメカニクスをするというのは一番良いことかなと思います。
ピッチデザインもオフシーズン、今シーズンの振り返りをしていく中、またそしてそれをトレーニングというところで「オフシーズンどういうことやってったら良いのか」というところ、これもピッチングバイオメカニクスと非常に近いところありますが、シーズン中であっても、やっぱりピッチデザインというのは大事なところだと思います。
例えば、「ちょっと感覚が変わってきちゃったんだけど」とか、「スプリットが落ちなくなってきたんだけど」みたいなところの疑問というものを僕たちに言ってもらえれば、上手く調理していくということになります。

平良さんの凄いところは

森本:それぞれの「効果」と「狙い」をお話していただきましたが、このバイオメカニクスの方からいきましょう。平良さんの特徴だったり優れたところはありますか?

神事:ここでも40名ぐらいプロ選手を取ってきた中ですごいなと思うのは、骨盤から胸郭のエネルギー伝達量が非常に多いということになります。
簡単に言うと「体幹が強い」ということなんですけど、でもそれを「速く動かす」というようなことがすごく大事になるんですよね。
そういうところって何かやっているトレーニングってあるんですか?

平良:特にないですね正直。

(菊池)雄星さんと自主トレした時も、体幹の対決みたいのしたんですけど、全然足元にも及ばないぐらいで、体幹が弱いというふうに自覚してるので、そんなに強いという意識はないですね。

神事大きな力を発揮するということよりも、速く動かせるというのが平良さんの身体の特徴なのかなとは思います。

そもそものエネルギーの量も大きいので、ちゃんと「後ろ足で蹴りましょう」とか、あと前足でバッと止まる、これ平良さんのフォームの特徴で前足がガッと止まっていくというようなイメージがあるんですけど、そういうのは意識とかあるんですか?

平良速い球を投げようとすると勝手に左足の着地が強く踏ん張るような感覚はありますね。

神事:重心の速度も足着く瞬間だと3メートル毎秒というのがひとつ基準で、平良さんはそれを超えているんですけど、どうしてもフォームのイメージとして回転させて投げようと思う人多い中で、並進の速度出すってすごく大事なんですけど、そこら辺も意識はあるんですか?

平良:いや、あんまりないですね。
でも、歩幅がちょっと広くなればなるほど左足の刺さり具合みたいなのも結構強くなっている感覚はありますね。

神事:「刺さる」というのはまさにその通りで力のベクトルもフォースプレートあるので見えるんですけど、ひとりだけよくわかんない方向に向くんですよね。めっちゃ後ろ向くんですよ。

写真1:平良投手の投球動作(YouTubeより)

神事:あと、特徴的なところでいうと、上腕から前腕へのエネルギーの伝達も非常に良い状態になっていて、コントロール良いイメージあるんですけど、そこら辺はどうですか?

平良:フォアボールは年々減ってきているので、コントロールはたしかに良くなってきているとは思いますね。やっぱり同じ球種を同じコースに投げるということがコントロールが良くなっているのかなと思いますね。アウトコースインコースとかじゃなくて、高めとか同じところにポンと投げる練習をずっとやっていますね。

森本:コントロールって結構抽象的なところもあるかなと思っていて。フォアボールを減らす手段としては、平良さんも言ってくれたみたいに空振り取れたりとか早いカウントでゴロ打ったらフォアボールは減ったりするので、そういう効果が出ているかもしれないですね

神事:ぼやっと狙うんですか?

平良:そうですね。高めにぼやっとですね。
強打者だからインコースを突くとかじゃなくて、高めでいいからぼやっと投げるみたいな。低めだとちょっと下外れたら振らないですし、高めだとちょっと上に行っても振ってくれるので。その辺が年々フォアボールが減ってきている要因かなと思います。
それも全部、指摘いただいてやっているだけなので。

神事:「どこら辺狙ったらいいですか?」と言って僕たち「ぼやっとここら辺でいいんじゃない」

平良「キャッチャーの頭ぐらいでいい」

森本:いまの話プレイヤーの人にとってもすごいヒントになるような話だったかなと思いますが。

平良:明日からでもできますね。
フォーシームを高めにとりあえず投げまくるという。

森本:それでいうとピッチデザインのデータに関しても、平良さんがいろいろと一部公開してくださっていて、ハイスピードカメラの映像だったりとか、ツーシームの変化量なんかも戦略上出しちゃっていいのかという。

平良:めっちゃコメント来ましたよ。「攻略されるぞ」みたいな。

神事平良さんがすごいなと思うのは、とりあえずやってみるというところと、あと野球界いろいろと難しいものもあるじゃないですか。
上下関係とか過去の言われてきたこととか。そういう意味ではすごく主体的に「自分に必要なものは何なのか」一生懸命考えてそれを採用し、そうじゃないものをできるだけ抑えながらも周りとの調和も考えながらというのは物凄く感じました。
やってみると面白いなということがたくさんあるんですよね。やっぱ上達するってめちゃくちゃおもしろいことで、それが平良さんのエネルギーなんじゃないかなと。
そういう意味では、アマチュアの人も上手くなるおもしろさを優先して野球やってほしいなと思いました。

あなたにとってデータとは

森本:最後の質問として、「あなたにとってデータとは?」

平良データとは「地図」です。

写真2:平良投手の対談の様子(youtubeより)

神事:それはどういうことですか?

平良例えば新しいことに挑戦してぐちゃぐちゃになって迷っても、データを貯めることで行きたいところに導いてくれる、というのがデータなのかなと思いました。
カッコつけました(笑)

神事「先人たちが工夫してきた術」だと思います。それを僕たちは使わない手はなくて、科学的にいろいろやってきて、またそれをデータとして導いてきたことを鵜呑みにするわけじゃないけど、一回やってみて自分に合うかどうかを確かめていくということはすごく大事だと思います。
自分が生きていったって大した年数じゃないけど、これまでにやってきてくれた人たちがいろんなデータ残してくれてるので、「それをちゃんと使っていきましょうよ」というのは、先人たちへのリスペクトも込めて、また未来に続く子どもたちも含めて、僕たちがデータを継承していかないとけないなと思っています。

森本:全3回に渡りまして長々とお付き合いいただきましてありがとうございました。

本当に貴重なお話も多くて、これからプロ野球を目指すような子供たちにとってもすごく貴重なお話だったかなと思っております。

平良投手、今日はありがとうございました。

平良:ありがとうございました。

神事:先発頑張ってください!

スタンダードプランに登録無料すると

記事の続きや、コメントを読むことができます。

Baseball Geeks編集部