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プロ野球

ヤクルトの新外国人コールとスアレスを分析!セリーグ、日本シリーズ連覇へ!!



目次
複数の高速なボールを操るコール!
ゴロ量産を狙うスアレス!
セリーグ連覇、そして日本一連覇へ

2021年リーグ優勝、日本一を果たしたヤクルト。リーグと日本シリーズの連覇を狙うチームに、新たに外国人投手2人の加入が決定し、すでに来日している。
そこで今回は、ヤクルトへ入団が決まっているA.J.・コールとアンドリュー・スアレスのメジャー時代の投球をトラッキングデータから分析していく。
参考:ロッテの新外国人ゲレーロを分析!最速167キロの豪速球は火を吹くか!?

コールは2021年、ブルージェイズで中継ぎとして6試合に登板して1セーブ、防御率1.13を記録した。2018年から2020年は複数の球団で主戦級リリーバーとして20試合以上投げた投手だ。
スアレスは最後にメジャー登板した年は2020年となる。2020年は、6試合にリリーフ登板して防御率3.72であった。2018年は、先発として29試合登板しており、2021年はKBO(韓国プロ野球)で22試合先発し、10勝をあげており先発とリリーフともに経験のある投手だ。

複数の高速なボールを操るコール!

まず、平均球速と投球割合をみていく(表1)。4シームの球速は、メジャー平均と同じ値であり速いボールだ。投球割合をみると4シームが4割を占めており、投球の軸となっている。4シームのほかに、カットボール・スライダー・カーブをそれぞれバランス良く投球している。カーブを除いた各球種で、メジャー平均を超える平均球速を持ったボールを投球しており、プロ野球では高速なボールを投げる部類の投手となりそうだ。

表1 コールの各球種の平均球速と投球割合

※2021年のデータを使用。カッコ内はメジャー平均

続いて、ボール変化量をみていく(図1)。投球の中心である4シームは、メジャー平均よりもホップ成分が大きい「伸びる」ようなボールとなっている。ホップ成分が大きいボールは空振りを奪いやすいボールだ。カットボールとスライダーは、変化量的に近いボールで横曲がりの小さな変化をする。特に、スライダーは思ったよりも曲がってこないボールだ。この2球種は球速差が8キロあり、変化量も近いためタイミングをずらして空振りやゴロを狙っていきたい。
次に投球割合が高いカーブは、メジャー平均のカーブよりも変化の小さい縦スラのようなボールだ。
参考:【2021年】メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~

図1 コールの各球種のボール変化量

リスク管理表をみると、メジャー平均よりもゴロ割合が低く、外野フライ割合が高くなっている(図2)。投球割合の4割を占める4シームがホップ成分の大きいボールであるため、甘いコースに投げてしまうと長打になりやすい。なので投球コースに注意していきたい。

図2 コールの2021年のリスク管理表
A.J.・コール

A.J. Cole
1992年生まれ1月5日 右投右打
ナショナルズ(2015-2018)ーヤンキース(2018)ーインディアンス(現ガーディアンズ2019)ーブルージェイズ(2020-2021)ーヤクルト(2022)
【メジャー通算】109試合 14勝10敗 4セーブ 3ホールド 防御率4.51

ゴロ量産を狙うスアレス!

続いて、スアレスについてみていく。平均球速をみると、速球系の球速はメジャー平均を下回っている(表2)。ただし、プロ野球においては速い部類になる。
投球割合をみると、スアレスは、4シームを3割程度に抑え、スライダー・チェンジアップとともにバランス良く投球している。近年のメジャーのトレンドである速球系の投球割合を減らしてその他の球種の割合を増やす投球スタイルであることがわかる。メジャー全体のデータから速球系は、長打のリスクが高いことがわかっており、リスク管理をするうえで投球割合が重要となっている。
参考:【2021年】4シームはリスクが高い?最新データから球種別の特性を探る

表2 スアレスの各球種の平均球速と投球割合

※2020年のデータを使用。カッコ内はメジャー平均

次に、変化量をみていく(図3)。4シームは、メジャー平均よりもややシュートしながら垂れるようなボールだ。空振りを奪っていくというよりは、ゴロを打たせるタイプなようだ。また、4シーム・2シーム・チェンジアップは非常に変化量が近いボールとなっており、ピッチトンネルを構成しやすい。2シームは、4シームよりも垂れるようなボールでゴロを狙い、チェンジアップは速球系との球速差で空振り・ゴロともに狙えるボールだ。バッターに対してボールを少しずらしていくような投球で勝負するタイプの投手のようだ。

図3 スアレスの各球種のボール変化量

スライダーは、いわゆる縦スラといわれる落差のあるボールだ。スアレスの場合、空振りを奪っていくうえで重要なボールとなるだろう。左打者のアウトロー(右打者のインロー)へ制球できるかがカギとなりそうだ。

最後にリスク管理表をみていく(図4)。メジャー平均よりも完全アウト割合が低く、ゴロ割合・外野フライ割合が高くなっている。空振りを多くとれないためゴロやフライが多くなってしまっている。
スアレスは、空振りを多く奪えるかどうかでプロ野球での成績が大きく変わってきそうだ

図4 スアレスのリスク管理表
アンドリュー・スアレス

Andrew Suarez
1992年9月11日生まれ 左投左打
サンフランシスコ・ジャイアンツ(2018-2020)ーLG(KBO2021)ーヤクルト(2022)
【メジャー通算】56試合 7勝15敗 防御率4.66

セリーグ連覇、そして日本一連覇へ

今回は、ヤクルトに入団が決まった2人の新外国人投手のメジャー時代の投球をみてきた。ヤクルトは2021年からチームのメンバーは大きく変わっていない。新外国人投手の加入によって新たな化学変化を起こすことができるのか大注目だ。

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Baseball Geeks編集部