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プロ野球

オリックスアルバースの活躍に迫る!前半戦9勝の鍵は速球の「ホップ成分」!?



目次
「遅い」速球が投球の中心
球速は遅いが「ホップする」速球!
オリックス躍進のキーマンとなるか

オリックスに今シーズンから加入した、アンドリュー・アルバースの活躍が止まらない。前半戦を終了してチームトップの9勝、防御率は2.59という成績を残している。オープン戦最終盤まで先発ローテーションを争うなど、シーズン前は意外に期待の低い投手であった。しかし何を隠そう、アルバースは昨シーズンメジャーリーグで5勝をマークした投手なのだ。
今回は昨シーズンのメジャーリーグでの投球から、アルバースの活躍の秘密を探っていきたい。

「遅い」速球が投球の中心

まずは、2017年のアルバースの球種別の球速と投球割合をみていく。球速は全球種でメジャーリーグ平均を下回っていた(表1)。

表1 2017年球種別の球速と投球割合。速球系2球種の球速は平均以下ながら6割以上の投球割合
球種球速
(km/h)
球速
(%)
投球割合
(%)
4シーム142
(150)
100
(100)
25
2シーム141
(148)
99
(99)
40
スライダー126
(136)
89
(91)
19
チェンジアップ127
(135)
90
(90)
カーブ111
(126)
78
(84)

カッコ内はメジャーリーグ平均

特に4シーム、2シームの球速は142キロ、141キロと平均を大きく下回っている。しかしながら、投球割合は両球種あわせて6割以上を記録している。アルバースは球速は遅いにも関わらず、速球系球種を武器としたピッチャーなのだ。
ではアルバースの速球にはどのような秘密が隠されているのだろうか。次に、ボール変化量をみていこう。

球速は遅いが「ホップする」速球!

アルバースの特徴は「遅い速球」だが、それでも打たれないその秘密に迫るために、ボールの変化量をみてみよう。(図1)。

図1 2017年のボール変化量。速球はメジャーリーグ平均(白丸)と比較して非常にホップ成分が大きい

4シーム、2シームの変化量をみると、ホップ成分がとても大きいことがわかる。ホップ成分が大きいと打者がより「ノビ」を感じ、空振りやフライが増える。

参考:「ノビのあるボール」の正体とは?トラックマンデータで解明!

また、一般的には球速とホップ成分には相関関係がある。つまりホップ成分の大きなボールは球速も速い場合が多い。アルバースの投げる4シームは、140キロ台前半にも関わらず、50センチ以上のホップ成分を記録している。そのため打者はミスマッチを感じ、非常に打ちにくいボールとなっているのだ(図2)。

図2 球速とホップ成分の関係。アルバースは平均142キロながら、メジャーリーグ平均を大きく上回るホップ成分を記録

さらに、同じ球種内でも変化量にばらつきがある。アルバースは四球が少なくコントロールがいい。おそらく相手打者の特徴や場面ごとに意図的に球質を変えているのかもしれない。四死球を1つ出すまでにどれくらいの三振を奪えるかを示したK/BB(奪三振÷四死球)では、今シーズンリーグ2位の4.36を記録しており、制球力と空振りを奪う能力を両立させている。
特徴的な球質に加え、打者をみて球質を変える事のできる能力こそアルバース活躍の秘密なのだろう。

オリックス躍進のキーマンとなるか

ここまでアルバースの投球の秘密を探ってきた。これらのデータを見ると、これまでの活躍は順当とすら言えるのかもしれない。オリックスは首位西武と6.5ゲーム差の3位につけており、まだまだ優勝を目指せる位置にいる(7月16日現在)。22年ぶりの悲願の優勝に向けて、前半戦チーム最多勝のアルバースの投球が鍵となるに違いない。

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Baseball Geeks編集部