【動画あり】ロッテの新外国人ボルシンガーを分析!注目は伸びるカットボール!
キーワード:新外国人、2018、ロッテ、マリーンズ、球種、変化球、球速、回転数、変化量、データ、Mike Bolsinger、マイク・ボルシンガー
昨シーズン最下位に沈んだロッテは、井口新監督が就任。高卒ルーキーを1軍キャンプに抜擢するなど再建ムードが漂っている。
そんな中、球団が新たに獲得したのがマイク・ボルシンガーだ。メジャー通算8勝右腕に懸ける期待は他球団の比ではない。
今回は、新外国人投手分析第6弾として、ボルシンガーの2017年のメジャーリーグでの投球を紹介したい。
ボルシンガーはどんな球種を持っているのか
カットボールが投球の中心
カットボールが投球の中心となっている珍しいタイプの投手だ。投球割合はカットボールやカーブが多く、次いでスライダー、4シームとなっている(図1)。
最も投球の多いカットボールは、4シームの球速とほぼ同じ球速で投球される。打者からすると同じ球種に見えて手元で変化するように感じるボールだ。
また、対4シーム比である平均球速(%)が、89%と高速なカーブも特徴だ。日本では高速なカーブを操る投手が少なく、武器となる球種かもしれない(表1)。
球種 | 平均球速 (km/h) | 平均球速 (%) | 投球割合 (%) |
---|---|---|---|
4シーム | 145 (150) | 100 (100) | 14 |
カットボール | 143 (142) | 99 (95) | 35 |
スライダー | 130 (136) | 90 (91) | 15 |
チェンジアップ | 133 (135) | 92 (90) | 3 |
カーブ | 128 (126) | 89 (84) | 33 |
カッコ内はメジャーリーグ平均
一方で、課題は4シーム自体の球速だ。平均球速は新外国人の中でも3番目に遅く、メジャーリーグ平均を大きく下回った。そのため対4シーム比の平均球速(%)では高値であった変化球も、それぞれの平均球速(km/h)でみると平均的な球速になってしまっている。
ボルシンガーのボールはどれくらい曲がるのか
多くのタイプのボールを投げ分ける
ボルシンガーは、ボールの球質にも特徴を持つ。4シームはホップ成分が小さく、シュート成分が多い球質だ。
最大の特徴はカットボールの変化量だ。ほとんど横変化がなく、真上に伸びていくような球質となっている。また、4シームよりもカットボールのホップ成分が大きな投手は珍しく、打者は見慣れないボールだ。(表2)。
球種 | 回転数 (rpm) | 縦変化 (cm) | 横変化 (cm) |
---|---|---|---|
4シーム | 2109 (2255) | 34 (43) | 29 (22) |
カットボール | 2119 (2150) | 43 (24) | 3 (-4) |
スライダー | 2492 (2362) | -1 (9) | -22 (-12) |
チェンジアップ | 1573 (1770) | 29 (23) | 26 (33) |
カーブ | 2399 (2489) | -26 (-19) | -9 (-22) |
カッコ内はメジャーリーグ平均
このようにボルシンガーは球種一つをみても特徴を持つが、持ち球の組み合わせも面白い(図2)。
参考:メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~
一般的に、変化の方向は投球腕の振りに依存しやすい。例えばソフトバンクサファテ投手のような縦に振り下ろすフォームの投手は、縦のライン(図2でいう黄や緑がプロットされる位置)の変化をみせる持ち球が多い。
しかしボルシンガーは、縦のラインに変化をみせるカットボール、カーブ(図中黄と緑)と、横のラインに変化をみせる4シーム、スライダー(図中赤と橙)のように、それぞれ違うタイプのボールを投球する。イメージするなら、オーバースローの投手とサイドスローの投手のそれぞれのボールを両方有している投手なのだ。
異彩な球質で、劣る球速をカバーできれば、様々な打ち取り方が出来る投手に大化けするかもしれない。
ボルシンガーはどんな成績を残すのか
ボルシンガーは、ボールの変化量に特徴をもつ投手だ。
真上に伸びるようなカットボールや高速に落ちるカーブ、真横に滑るスライダーは単独でも武器となる上、多彩な打ち取り方が出来る投手だ。
一方で、メジャーリーグでネックとなっていたのはやはり球速だろう。変化量が大きいボールでも、球速が遅いと打者は対応しやすくなってしまう。メジャーリーグほど平均球速が高くない日本において、どれだけ通用するのか注目の投手かもしれない。
【動画】球速こそ劣るが、特徴的な球質のボールを投球する
メジャーリーグは年々球速が高速化していると言われている。
球速が遅い投手は埋もれていく可能性があり、ボルシンガーのように球速は速くなくとも球質に特徴を持つ投手は、今後の新外国人投手獲得のヒントとなるだろう。
ボルシンガーの日本での投球に今後も注目だ。
ボルシンガーのプロフィール
・1988年1月29日生まれ(30歳)
・右投右打 背番号86
・アリゾナ・ダイヤモンドバックス (2014)、ロサンゼルス・ドジャース (2015 - 2016)、トロント・ブルージェイズ (2017)、千葉ロッテマリーンズ(2018 - )
・2017年メジャー成績0勝3敗(メジャー通算成績8勝19敗)
Baseball Geeks編集部