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MLB

鈴木誠也が移籍したカブスってどんなチーム?投打の注目選手を紹介!



目次
カブスってどんなチーム?
カブスの投打のキーマンを分析!
再建を目指すカブスで主力となれるか!

日本の4番が満を持して海を渡った。ロックアウトの影響で交渉が長引いたが、無事シカゴ・カブスへの入団を果たした鈴木誠也。オープン戦では、初めこそ10打数無安打と苦戦していたが、2本の本塁打を放つなど徐々に調子を上げており、高い適応力をみせている。今回は、鈴木が所属するカブスというチーム、そして同チームの投打のキーマンを紹介していく。

カブスってどんなチーム?

カブスはリグレー・フィールドを本拠地とするナ・リーグ中地区に属する球団だ。ダルビッシュ有(パドレス)をはじめ、現在でもプロ野球でプレーしている福留孝介や和田毅など、9人の日本人選手が過去に所属していたため、日本人にとってはなじみ深い球団かもしれない。

直近5年の地区順位をみると、2017・2020年と2度の優勝を果たしている(図1)。また、2016年にはワールドチャンピオンにも輝いており、メジャー屈指の強豪チームであった。なお、カブスは1908年にワールドチャンピオンとなった後、2016年まで実に107年ものその座から遠ざかっていたことで有名だ。これは、「ビリー・ゴートの呪い」といわれている。

図1 カブスの直近5年の地区順位。昨シーズンは4位に沈んだ

2020年オフから2021年にかけて、アンソニー・リゾ(ヤンキース)やクレイグ・キンブレル(ドジャース)など、主力選手を相次いで放出したことで戦力は大幅ダウンしている。昨シーズンは4位に沈んでおり、チーム再建の真っ只中だ

昨シーズンの地区順位表をみると、首位であったブルワーズと2位のカージナルスが安定した成績を残していた(表1)。ブルワーズは、平均失点が一番少ないことからも分かるように投手力の高いチームだ。昨シーズンにサイヤング賞を獲得したコービン・バーンズをはじめ、セットアッパーにデビン・ウィリアムズ、抑えにジョシュ・ヘイダーと、好投手を鈴木が攻略していけるのか注目だ。2位のカージナルスは、昨シーズンに5選手がゴールドグラブ賞に選出された堅守のチームであり、今シーズンも戦力は揃っている。
参考:田中将大の活躍の秘密は”ボール球”?選手の評価指標「チェイスレート」とは

表1 昨シーズンのナ・リーグ中地区の順位表。ブルワーズとカージナルスの2強となっている

カブスは昨シーズン、平均得点はリーグ4位、失点はリーグワーストと投打ともに低迷していた。ここからは、2シーズン振りの地区優勝を目指すうえで重要となる投打のキーマンを紹介していく。

カブスの投打のキーマンを分析!

打たせてとるマーカス・ストローマン!

投手の注目選手は、今シーズンにメッツから移籍してきたマーカス・ストローマンだ。身長173センチとメジャーで最も小柄な投手でありながら、昨シーズンは33試合に先発し10勝13敗、防御率3.02の成績を残した右腕だ。

まず、各球種の平均球速と投球割合についてみる(表2)。ストローマンの最大の特徴は、4シームではなく2シームを投球の主体としていることだろう。球速はメジャーでは決して速い部類とは言えないが、カットボール・スプリット・スライダーをバランス良く投球することで打者を翻弄しているようだ。また、変化球の球速比が高く、ピッチトンネルを構成しやすくなっている。
参考:マリナーズ菊池雄星の新球種の創り方!感覚とデータが融合する最先端の「ピッチデザイン」とは

表2 ストローマンの各球種の平均球速と投球割合。2シームの割合が最も高い

ここで、各球種の変化量についてみる(図2)。4シーム・2シーム・カットボールは、いずれもメジャー平均よりもホップ成分が小さい。また、4シームと2シームはシュート成分もメジャー平均よりも小さく、メジャー平均と大きく異なる変化量となっている。いわゆる、打者が見慣れていない「平均から逸脱」したボールであり、ゴロを打たせやすい球質といえるだろう。最も投球割合の高い2シームは、メジャー平均のスプリットのようなボールだ。スライダーは、スライド成分がメジャー平均よりも大きく、右打者からは非常に空振りを奪いやすいボールだ。

図2 ストローマンの各球種のボール変化量。

球速は決して速くないものの、メジャー平均から逸脱した球質のボールを投げることでゴロの山を築くストローマン。昨年開幕投手を務め14勝をあげたカイル・ヘンドリックス、12勝をあげレッズから移籍してきたウェイド・マイリーらと共に、チームを牽引する投球に期待だ。
参考:【2021年】メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~

マーカス・ストローマン

Marcus Stroman
1991年5月1日生まれ 右投右打
ブルージェイズ(2014ー2019)ーメッツ(2019ー2021)ーカブス(2022ー)
【MLB通算成績】179試合(173先発) 61勝60敗 防御率3.63
【受賞歴】ゴルドグラブ賞:投手部門(2017)、WBC最優秀選手(2017)

三振しないニック・マドリガル!

野手の注目選手は、昨シーズン7月にキンブレルとのトレードでホワイトソックスから移籍したニック・マドリガルだ。右足ハムストリングス断裂による手術の影響で、昨シーズンはカブスでの出場はなかったが、54試合で打率0.305という成績を残している。

昨シーズンの被リスク管理表をみると、完全アウトの割合が極端に少なく、ゴロの割合がとても多いのが分かる(図3)。なんといっても、「三振をしない」ことがマドリガルの特徴だ。昨シーズン215打席に立ったうち、三振はわずか17個であった。

図3 マドリガルのリスク管理表。ゴロが極端に多い。

最後に、コース別の打球速度・角度についてみる(図4・5)。多くのコースでメジャー平均ほどの打球速度を記録していたが、外角低めの打球速度がやや低くなっている。また、リスク管理でゴロ割合が高いことをみても分かるように、ほぼ全てのコースで打球角度が低くなっている。バレルゾーンに入る打球を量産できるタイプではないが、今年はさらに三振の少ない打撃をみせてくれるのか、楽しみだ。
参考:注目の指標バレルとは?打球速度と打球角度の重要性

図4 マドリガルのコース別の打球速度(カッコ内はメジャー平均。単位はkm/h)
図5 マドリガルのコース別の打球角度(カッコ内はメジャー平均。単位は°)
ニック・マドリガル

Nicklaus Madrigal
1997年3月5日生まれ 右投右打
ホワイトソックス(2020-2021)ーカブス(2021ー)
【MLB通算】83試合 打率.317 OPS.764 2本塁打

再建を目指すカブスで主力となれるか!

今回は、鈴木が所属するカブスと注目選手についてみてきた。再建中というチーム事情もあり、鈴木への期待は大きい。昨シーズン投打で大活躍をみせた大谷翔平とは、1994年生まれの同級生。日本時代と同様に変化を恐れないスタイルで、どのような成績を残してくれるのか、胸が膨らむ。

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Baseball Geeks編集部