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MLB

「大谷のスイーパー」を完全解説!!スイーパーの先に見えるものとは!?



目次
MLB流行の"スイーパー"とは?
大谷の"スイーパー"が持つ効果
実は"スイーパー"は肘に優しい!?
大谷選手へのネクストベースの提言

6/19日現在、本塁打・打点の2冠を筆頭に投打において圧倒的な存在感を出し続けている大谷選手。MLB日本人選手特集の第4弾は大谷選手について取り上げる。今回は投手大谷に焦点を当て、今や大谷選手の代名詞と言っても過言ではない『スイーパー』を中心に深掘りしていく。

MLB流行の"スイーパー"とは?

森本:メジャーリーグの日本人選手をネクストベース的に深掘りしていく4回目になります。今回は大谷翔平投手に着目していきたいと思います。大谷選手は今シーズンも投打に大活躍ですが、いかがですか神事さん。

神事:当たり前のように活躍していくこの大谷翔平選手ですが、もう麻痺しちゃってますね。すごすぎて!何がすごいのかを深堀りし、怒られるかもしれない提言をしていきたいと思います。

森本:今回、大谷投手について紹介していきたいと思います。WBCの活躍も記憶に残っていると思いますが、最後はトラウト選手から。

神事:すごいですね!すごいのが行きましたね。

森本:スイーパーと呼ばれるボールでして、名前には聞くけどよく知らない人も多いんじゃないかなと思いますので、改めてスイーパーについて神事さんに解説して頂きたいなと思います。

神事スイーパーは右ピッチャーで左側に曲がっていくボールで、スライダーよりも横曲がりの大きいボールのことをスイーパーという形で定義されています。このボールの効果ですが、スライダーとちょっとだけ違うのも特徴で、スライダーは空振り割合が多いんですが、このスイーパーに関しても空振り割合は高くなってます。ただし使い方が対右バッターと対左バッターでは若干違っていて、対右バッターですと空振り割合が34%、ただ左バッターになると25%という形です。横曲がりしすぎてしまうので、右ピッチャーだと左バッターに当たってしまう問題もあるので、空振りも減るということにもなります。ただし対左バッターは外から入れて見逃しのストライクを奪うという使い方もできます。ですので対右バッターですと空振りを奪い、対左バッターだと見逃しストライクも奪えるという意味では非常に使い勝手の良い球種ということにもなります。

写真1:球種別空振り割合(YouTubeより)

森本大谷投手は今シーズン約半分、50%ほどスイーパーを投球しているんですけれども、メジャーリーグだと実はまだ4%くらいしか投球されていないみたいですね。

神事:そうですね。4%しか投げられていないので、これだけ曲がりの大きいボールは、あんまり見慣れていないというのはあるかと思いますね。

大谷の"スイーパー"が持つ効果

森本:スイーパーの特徴をお話頂きましたが、大谷投手のスイーパーこちらに限ると何がすごいと言えますか?

神事:スイーパーは横曲がりが大きいというのが特徴でしたが、大谷投手の場合はちょっとバックスピンの要素が入っているところになります。スイーパーですと、この形で横曲がりをするとなるとサイドスピンがかかっていく特徴があります。サイドスピンを増やすようにリリースするため、横曲がりが大きくなります。ですが、大谷翔平投手の場合ですと、若干ホップ成分が残っているのが特徴です。極端にいうと少し上向きの回転を含んだままボールが変化してるというのが、大谷投手のスイーパーの特徴になります。

参考:【2021年】メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~

森本:少し伸びが出るのでポップフライや空振りだったりが増えるということですね。

神事:フォーシームと若干距離が近くなっているということになります。スイーパーのホップ成分がちょっと残っているというところで言うと、フォーシームの軌道にちょっと近くなるのでバッターからするとなかなか見分けがつかないというのも大谷投手のスイーパーの特徴だと思います。

森本:去年から増やしているスイーパですけれども、ツーシームも同様に去年から増やしていると言うのも右バッターの空振りが多い要因の一つなんですかね。

神事:ツーシームを投げることによって右バッターのインコースに食い込んでくるような ボールと言うところで、左右の揺さぶりみたいなところも大谷選手が今やりたいことだと思います。
参考:進化した投手・大谷翔平の新たな武器とは?MVP獲得なるか

実は"スイーパー"は肘に優しい!?

森本:大谷投手のリリースのデータを見てみると、スイーパを投げる時にも少し腕が下がるといいますか、リリースの位置が低いのが特徴ですけれども、いわゆる一般的に肘が下がると肘に負担がかかるようなことも言われたりしていますが、こちらについてはどうお考えですか?

神事:動作分析をしてみると肘に一番負担のかかるボールはやっぱりストレート・フォーシームが一番負担がかかります。なぜかというとボールに対して大きな力を加えなければいけないので、その分だけ肘に負担がかかるということです。またスイーパーですと肘が若干伸びますので、そうすると肘への負担というのも少し軽くなります。そういう意味では肘を手術した大谷投手からすると、このスイーパーというのは使い勝手がいいだけじゃなくて肘にも優しいボールじゃないかなと思いますね

森本:ピッチャーもやりながらバッターもやりながらというかなり過酷な中戦っている上ではスイーパーは活躍だけじゃなくて自分の体を守る上でも非常に重要な役割ということですね。

写真2:大谷投手の各球種別平均値(YouTubeより)

神事:でも50%もスイーパー投げて、かつフォームも横から投げてて、これ怒られませんか普通。

森本:同じフォームで投げろとか。まっすぐが投げれるまで変化球の練習しちゃダメだとか。言われてましたけど。

神事:なかなか常識的じゃないけど、メジャーで今一番大活躍をしているわけですから常識を疑わないといけないですね。

大谷選手へのネクストベースの提言

森本:まさにトレンドというか、新しい球種が出てきただけじゃなく、いろんな使い方だったり、投球・ピッチングスタイル自体も新しい流れが来るかもしれないですね。というような大谷投手の凄さを紹介してまいりましたが、更なる進化と非常に欲張りなところですけれども、より進化するための提言があれば。

神事:提言としては、「今のうちにスプリットの練習をしておけ」です。なぜかというと、スイーパーは今のトレンドです。つまりトレンドという言葉からするとやっぱりバッターは 慣れていきます。そうなるとスイーパーがどんどん使えなくなっていくということがいつか起こるだろうと。今スイーパーは見慣れていないボールでありますが、これが大谷翔平投手のスタンダードの球種だということがバッターが分かれば、それに対して対応・適用していくということは想像できます。となったときに今のうちに今ある球種、他の球種を磨いていくことはとても大事で、その中でもやっぱり空振り取れるのはスプリット・フォークボールですので、今のうちにこのボールを磨いておくというのは一つこの先長く活躍していく意味では大事かなと思って思い切った提言をさせてもらいました。

写真3:大谷投手への提言(YouTubeより)

森本:大谷投手のスプリットの質とか課題とか、そういったものって具体的に何かあるんですか?

神事ボールの変化量というところで言うと、非常にいい変化量をしていますのでそう言う意味では落ちてはいるというところです。ただボールをどこに落とすのか。また、大きな問題はやはりスイーパーとのフォームの違いです。腕を下げて投げるスイーパー、腕を落として投げるツーシームの中でやっぱり上から叩くことによってフォークボールを落とそうとするところもありますので、そういう意味では若干やろうとすることが変わってくるということになってきます。ですから大谷投手の中でいうと多分全然違うボールを投げてることになりますので、そういう意味では今のうちにちょっとずつ、もちろん練習してるんでしょうけど、将来的にこの割合がもう少し増えていくというのが僕の予想にもなります。

森本:それこそメジャーリーグにチャレンジした頃はフォーク・スプリットで非常に三振を奪ってましたけども、今シーズンここまで1球種別を見てみるとスプリットは一番ボール球が多いというところもありますので、落とし方はいいからどうやって落とすのか?フォームの問題じゃないかなというところがありました。というところで4回に渡りまして、メジャーリーグの日本人選手について活躍だったりトピックスを紹介してまいりましたが、ぜひ選手たちの応援も込めて何かメッセージはありますか?
参考:【大谷翔平の今シーズンを大予想!【第3回:スプリット学】

神事:メジャーリーグ行ってやっぱ活躍した選手とか特徴ある選手がメジャー挑戦してる。そういう意味では、自分の生き方というかメジャーでの活躍の仕方というのは自身わかっているかと思います。ただそれが相手が出てきたりとか、そういうことで混乱してしまったりとか、また長く過酷なシーズンというところもあってなかなかパフォーマンスができない部分もあるかもですが、コンディショニングには気をつけて頑張ってほしいなと思います。そしてオフはぜひ市川のラボの方に来て頂けると良いかなと。またここに来ていただくというのもね、期待したいところではありますので、ゲストで是非皆さんお待ちしております。

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