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MLB

ポストシーズン直前!田中将大の2020年をデータで振り返る



目次
3球種を中心とした投球スタイルは今年も健在
4シーム・スプリットの投球コースがポイント
本調子とはいかずも期待が持てる投球データ

メジャーリーグ(以下、メジャー)では、レギュラーシーズン終了後すぐにワールドシリーズ出場をかけた戦いが始まっている。ヤンキース・田中将大は明日のレイズ戦での先発が予想されている。前回は10月1日のインディアンス戦に先発し、チームは10対9で勝利したものの、田中自身は5回途中6失点と本来の投球とはいかなかった。

今回は、今シーズンの田中将大の投球をトラッキングデータより分析していき、次回の登板での注目ポイントを探っていきたい。

3球種を中心とした投球スタイルは今年も健在

まずは、各球種の球速についてみてみよう(表1)。
4シームはメジャー平均(150キロ)を下回っているものの、昨シーズンよりもわずかに球速が上がっている。さらに、最大の武器であるスプリットの球速比はメジャー平均(91%)を大きく上回っており、メジャー7年目となる今シーズンも衰えることを知らない。

表1 各球種の球速と投球割合の比較(昨シーズン→今シーズン)

投球割合をみると、ほとんどの球種で昨シーズンから大きな変化はみられない(図1)。最も多く投球されているスライダーを中心に、4シームとスプリットの3球種を織り交ぜた投球スタイルは今年も健在だ。4シームを主体に投球を組み立てる投手が多い中、複数の球種をバランスよく組み合わせることで、打者は球種の判断が難しくなるだろう
参考:2020年MLB日本人投手を分析!多彩な球種のダルビッシュ・球速1位大谷の投球スタイルとは?

図1 昨シーズンと今シーズンの各球種の投球割合

4シーム・スプリットの投球コースがポイント

続いて、各球種の変化量をみていこう(図2・3)。
田中の代名詞であるスプリットは、昨シーズンと比較して落差が小さくなっていた。それにもかかわらず、空振り率は昨シーズンの17.7%から21.2%まで上昇していた。通常、高速で小さく変化するボールは空振りよりもゴロを奪いやすい。その中において、なぜ落差が小さくなった田中のスプリットは高い空振り率を記録することができたのだろうか。
参考:奪三振の重要性とは!勝てる投手のリスク管理能力を分析

図2 昨シーズンのボール変化量
図3 今シーズンのボール変化量

その要因のひとつに投球コースが考えられる。今シーズンの投球コースに着目すると、田中は4シームを高めに、スプリットを低めにそれぞれ投げ分けていることがわかる(図4)。多くの投手は4シームを含む全ての球種を低めに制球しようとする傾向にあるが、これでは打者の目付けは下がってしまう。

図4 今シーズンの4シームとスプリットの投球到達位置

しかし、田中のように4シームと落ちる系のボールを高低のコースに投げ分けることは、打者の目付けを上げるだけでなく、いわゆるピッチトンネルを構成した投球にもつながる。このように、各球種の投球するコースを徹底することによって高い空振り率を記録することができたといえるだろう。

本調子とはいかずも期待が持てる投球データ

今回は、今シーズンの田中将大の投球データについてみてきた。
開幕直前に頭部にボールが直撃するというアクシデントに見舞われたが、無事にシーズンを通して投げ切ることができた。10試合の登板で3勝3敗と満足のいく結果とはいえないが、データを見る限り今後の活躍にもまだまだ大きな期待が持てる。田中の生命線であるスプリットが低めに、4シームを高めに投球できるかが明日の登板でのポイントとなるだろう

今年でヤンキースとの7年大型契約が終了し、来シーズンの去就も気になるとこだが、まずはワールドシリーズへとチームを導いてくれることに期待したい。

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Baseball Geeks編集部