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【MLB】2021年の前田健太を振り返り!空振りを奪えなくなったチェンジアップ?



目次
完全アウトとゴロの割合はともに低下
変化量には大きな変化はなし!
復帰登板を楽しみに

昨年の9月頭にトミー・ジョン手術を受け、長期の離脱を余儀なくされたツインズ前田健太。2021年シーズンの前田は、21試合(106.1投球回)に登板し、防御率4.66、6勝5敗という成績であった。オープン戦では絶好調で開幕投手に抜擢されるなど、前田への期待は大きかったが、あまり良いとはいえない成績になってしまった。それでも、勝利数と投球回は、ツインズ先発陣ではマイケル・ピネダに次ぐ2番目。今回は、故障を抱えながらも戦った昨シーズンの前田の投球を振り返っていきたい。

完全アウトとゴロの割合はともに低下

まず、リスク管理表をみてみよう(図1)。昨シーズンのリスク管理も悪くはないが、11試合に登板し6勝1敗、防御率2.70と素晴らしい成績を残した2020年シーズンと比べると物足りなさを感じてしまう。外野フライや本塁打の割合がメジャー平均よりもやや多くなっている。それでも、完全アウトの割合や四死球の少なさはメジャー平均を上回っているのはさすがだ。
参考:【2021年】球速アップのメリットとは?データからその重要性を再確認!

図1 リスク管理表。完全アウトの割合はメジャー平均を上回った

次に、平均球速と投球割合をみていく(表1)。平均球速をみると、全ての球種で2020年に比べて球速が低下していた。これは、昨シーズン、リスク管理において外野フライの割合が大きくなってしまった原因の1つかもしれない。投球割合をみると、4シームが25%を超えている。前田はメジャー移籍後、年々4シームの投球割合を減らしていた(2018年は42%、2019は34%)が、昨シーズンは4シームの割合を増やしたようだ。また、開幕戦では多投していた2シームだが、シーズンを通してみてみると減っている。
参考:前田健太・ダルビッシュ有の開幕戦を振り返る!データからみえた課題とは?

表1 各球種の平均球速と投球割合(2020年シーズン→2021年シーズン)

ここで、各球種のボール率・空振り/スイング率・ファール/スイング率をみてみる(表2)。最も注目すべきなのは、空振り/スイング率が全ての球種で下がっていることだろう。特に、2020年シーズンは最大の武器であり、4割以上空振りが奪えていたチェンジアップの空振り率は、15%も低下してしまっている。一方でファール率は9%ほど上昇しており、球速の低下や打者の対策によって、バットに当たるようになってしまったと考えられる。チェンジアップで空振りが取れなくなった結果、4シームの投球割合も増え、成績が悪化してしまったのではないか。
参考:ポストシーズン直前!ツインズ前田健太2020年飛躍の要因を分析!

表2 前田健太の主要3球種の1球ごとの結果(2020年シーズン→2021年シーズン)

2シーム・カーブは投球割合が低いため除く

変化量には大きな変化はなし!

最後に、各球種のボール変化量をみていく(図2・3)。変化量は2020年と大きな差はないことから、成績悪化の原因は変化量以外にあるのだろう。チェンジアップで空振りが奪えなくなったのも、チェンジアップの変化量が変化したわけではなく、4シームの球速が落ちチェンジアップとの球速差が縮まったことが原因かもしれない。

図2 2020年シーズンの前田のボール変化量
図3 2021年シーズンの前田のボール変化量

変化があったのはカーブだ。メジャー平均よりもドロップ成分が大きくなっており、遅く大きな変化をするボールになっている。2019年にもこのようなボールを投げており、元に戻ったようなかたちだろう。

復帰登板を楽しみに

今回は、前田健太の昨シーズンの投球を振り返った。完全復活には、2020年のようにチェンジアップで空振りを多く奪えるようになることが必要だ。そのためにも手術明け、4シームの球速が昨シーズン以前に戻るかが私たちが見るべきポイントなのかもしれない。ツインズは昨年、ア・リーグ中地区最下位と苦しい戦いとなった。急いではいけないが、前田の投げるところを早くみたいものだ。多くの修羅場を潜り抜けてきたベテランがどのような投球をみせてくれるのか、ファンは首を長くして待っている。

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Baseball Geeks編集部