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MLB

ポストシーズン直前!ツインズ前田健太2020年飛躍の要因を分析!



目次
4シームは投げ過ぎず、変化球が中心の投球!
精度が増したチェンジアップで空振りを量産!
ワールドシリーズ出場をかけた戦いにも注目!

今シーズン、新天地で開幕を迎えた前田健太はエース級の活躍をみせた。11試合に登板し6勝1敗、防御率2.70と申し分ない成績で、まさに飛躍のシーズンだったといえる。さらに明日のポストシーズン初戦では先発登板することが決まっており、移籍1年目にもかかわらずチームからの絶大な信頼を勝ち取ったといえる。

そこで今回は、今シーズンの前田健太の投球をトラッキングデータから分析することで、ポストシーズンでの注目ポイントを探る。
参考:前田健太の好投の秘訣!惜しくもノーノーを逃した試合を分析!

4シームは投げ過ぎず、変化球が中心の投球!

まず初めに各球種の球速をみると、ほとんどの球種の球速が下がっていることがわかる(表1)。4シームの球速は元々メジャー平均(150km/h)を下回っていたが、今シーズンはさらに低速になった。通常4シームの球速が速いことは打者を打ち取るために大きなアドバンテージになるが、前田の活躍の要因は球速以外にあるのかもしれない

表1 各球種の球速と投球割合の比較(昨シーズン→今シーズン)

4シームの投球割合をみると、昨シーズンは3割以上投球していたにもかかわらず、今シーズンは2割を下回っている(図1)。一方、チェンジアップとスライダーの割合は増加しており、投球の中心として使われていることがわかる。特にチェンジアップは、奪空振り率が39%とかなり高い水準を満たしているボールで、この割合を増やしたことが今シーズンの好成績に繋がったと考えられる。また、4シーム中心の投球スタイルが主流である中、前田のように複数の球種をバランスよく投球する投手は打者にとっては的を絞りづらく攻略が難しいだろう

図1 昨シーズンと今シーズンの各球種の投球割合

精度が増したチェンジアップで空振りを量産!

最後に、各球種の変化量をみていく(図2・3)。最大の特徴は、今シーズン最も投球割合が多かったスライダーである。昨シーズンと同様、横の変化量のばらつきがかなり大きい。カットボールのように、小さく速く曲がるボールと大きくゆっくり曲がるボールを対戦打者や状況によって投げ分けている可能性が高い。このような投げ分けができると、ひとつの球種でゴロも空振りも狙える。これは、長いイニングを消化しなければならない先発投手にとって重要な素質である

図2 昨シーズンのボール変化量
図3 今シーズンのボール変化量

また、最大の武器であるチェンジアップの精度は年々増している。昨シーズンもメジャー平均以上の落ち幅であったが、今シーズンはさらに約ボール1個分落差が増した。さらに、チェンジアップでの空振りは大半がボールゾーンで、球質だけでなく制球力にも磨きがかかっている(図4)。

図4 今シーズンのチェンジアップの投球到達位置

ワールドシリーズ出場をかけた戦いにも注目!

ここまで、今シーズンの前田健太の投球をみてきた。4シームは平均球速を下回っているにもかかわらず、特異な球種を織り交ぜた投球スタイルで見事に新天地のファンの期待に応えた。明日からのポストシーズンでもレギュラーシーズンと変わらぬ活躍で、チームをワールドシリーズ出場に導くことができるのか注目していきたい。

ポストシーズンでは前田健太のココに注目!

①4シームだけに頼らない投球スタイル!
②変幻自在に投げ分けるスライダー!
③落差抜群、低めのチェンジアップ!

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Baseball Geeks編集部