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サイ・ヤング賞受賞なるか!ダルビッシュ有の大躍進の秘訣に迫る!



目次
カットボールを中心に多彩な球種を投球!
速球の球質向上と複数のカットが活躍の要因!
日本人投手初のサイ・ヤング賞受賞なるか

新型コロナウイルスの影響のため、今シーズンのメジャーリーグ(以下、メジャー)は60試合という異例の短縮スケジュールで幕を閉じた。また、レギュラーシーズン終了後すぐにポストシーズンが始まっており、ワールドシリーズ出場をかけた熾烈な争いが繰り広げられている。

そんな中、カブスに所属するダルビッシュ有は明日のマーリンズ戦での先発が予想されている。今シーズン、サイ・ヤング賞候補にノミネートされる程の活躍をみせているだけに多くの野球ファンがその投球に注目しているはずだ。今回は、今シーズンのダルビッシュ躍進の秘訣を昨シーズンの投球データと比較することで分析していく。

カットボールを中心に多彩な球種を投球!

まずは、各球種の球速についてみていこう(表1)。
4シームやスプリットなどの高速系のボールの球速が上昇している反面、スライダーやカーブといった低速系のボールの球速は低下していた。昨シーズンよりも緩急をつけた投球が好成績に繋がったのかもしれない。

表1 各球種の球速と投球割合の比較(昨シーズン→今シーズン)

また、今シーズンの投球割合をみるとカットボールが全投球の4割以上を占めており、投球の中心になっていることがわかる(図1)。メジャー平均よりも圧倒的に投球割合が高く、自身でも得意としているボールなのだろう。昨シーズンよりもカットボールの投球割合を大幅に増加させたことも、今シーズンの大躍進における重要なポイントである。
参考:2020年MLB日本人投手を分析!多彩な球種のダルビッシュ・球速1位大谷の投球スタイルとは?

図1 昨シーズンと今シーズンの各球種の投球割合

速球の球質向上と複数のカットが活躍の要因!

では続いて、各球種のボール変化量についてみていこう(図2・3)。
4シームについてみると、ホップ成分・シュート成分ともに増加したことがわかる。球速の上昇だけでなくホップ成分が増加したことで、昨シーズン25.5%だった4シームの空振り率は今シーズンは37.8%まで上昇した。このことは、メジャー歴代でも高い奪三振率を支える一つの要因であるといえ、まさにサイ・ヤング賞を獲得するにふさわしい成績である
参考:ホップ成分が大きい速球は空振りを奪いやすいって本当!?

図2 昨シーズンのボール変化量
図3 今シーズンのボール変化量

また、今シーズン最も投球割合の高いカットボールの変化量に注目すると、ボール変化量の幅が非常に大きいことがわかる。投球されたカットボールのうち大半は大きく変化するボールであったが、それに加え高速で小さく変化するボールなど、複数のカットボールを投げ分けているようにもみえる。一つの球種で空振りもゴロも奪うことができ、まさに最も自信のあるボールといっていいだろう。

ダルビッシュの真骨頂といえば大きく横に曲がるブーメラン系のスライダーだが、その威力は今シーズンも健在だ。特に右打者に対しては大きく逃げていくようなボールで、攻略が困難なボールである。実際、今シーズンの右打者に対するスライダーは38%と高い空振り率を記録している。その他にも、ダルビッシュは数多くの球種を投球している。打者にとっては球種を絞ることが難しく、対策を立てづらいだろう。
参考:メジャーリーガーの平均的なボールって?

日本人投手初のサイ・ヤング賞受賞なるか

ここまで、今シーズンのダルビッシュの投球データをみてきた。
12試合の登板で8勝を挙げ、日本人投手初となる最多勝のタイトルを獲得した。リーグ4位の93奪三振も記録しており、まさに大活躍といったシーズンだった。日本人投手初の「サイ・ヤング賞」受賞の可能性も大いにある。明日のポストシーズンでも好投をみせ、チームをワールドシリーズ出場へと導いてくれることを期待したい。

Baseball Geeks編集部