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MLB

前田健太2017年分析 ~飛躍のポイントは4シームのホップ成分?~



目次
前田健太 各球種の球速と投球割合
前田健太 各球種の回転数とボールの変化量
飛躍のポイントは4シームのホップ成分?

キーワード:前田健太、メジャーリーグ、2017、2018、ポストシーズン、球種、回転数、4シーム、ストレート、スライダー、ボール変化量

MLB挑戦2年目は前田健太投手(以下、前田投手)にとって激動の一年でした。
昨シーズンMLB挑戦1年目ながら16勝をマークしました。今シーズンはローテーションの中心として期待されましたが、昨シーズンよりも成績を落とし、ポストシーズンでは救援投手に配置転換されました。

しかし、いざポストシーズンに入ると、前田投手は大活躍をみせます。救援投手として安定感のある投球をみせると、ワールドシリーズでは切り札的存在として起用されました。ポストシーズンは最終的に10回2/3を投球し1失点と、素晴らしい活躍でした。

今回は、前田投手の今シーズンの投球を振り返るとともに、ポストシーズンでの活躍の要因を考察し、来シーズン更なる飛躍のヒントを探っていきます。

前田健太 各球種の球速と投球割合

先発向きの投球割合

まずは前田投手今シーズンの各球速の球速と投球割合をみてみます【表1】。
表1をみると、各球種の球速はMLB平均(表中カッコ内)を下回っていることがわかります。

表1 レギュラーシーズン 各球種の球速と投球割合
球種平均球速
(km/h)
平均球速
(%)
投球割合
(%)
4シーム148
(150)
10033
2シーム146
(148)
9810
カットボール141
(142)
959
スライダー135
(136)
9124
チェンジアップ135
(135)
9110
カーブ121
(126)
8214

カッコ内はMLB平均値

しかし投球割合をみると、それぞれの球種をバランスよく投球しています。速球派ではないものの多くの球種を操る器用さがうかがえ、先発投手向きといえるのかもしれません。
参考:「先発タイプ」ってなに?持ち球からその適性を考える。

前田健太 各球種の回転数とボールの変化量

ホップ成分の大きなスライダー

続いては、前田投手のボール変化量を見てみます【表2】。
前田投手のボールの中で最も特徴的なのは、スライダーです。
参考:メジャーリーグで投球される球質の特徴~ボール変化量とは~

表2 レギュラーシーズン 各球種の回転数とボール変化量
球種回転数
(rpm)
縦変化
(cm)
横変化
(cm)
4シーム2323
(2255)
46
(43)
23
(22)
2シーム2177
(2150)
34
(28)
34
(37)
カットボール2284
(2333)
29
(24)
2
(-4)
スライダー2401
(2362)
25
(9)
-6
(-12)
チェンジアップ1847
(1770)
29
(23)
32
(33)
カーブ2446
(2489)
-27
(-19)
-20
(-22)

カッコ内はMLB平均値

前田投手のスライダーは、回転が多くホップ成分の大きないわゆる「浮きスラ系」のスライダーとなっています。打者が予想しているよりも浮き上がりながらスライドするため、空振りやフライを狙える球質となっています。

タイミングの合わないスライダー

また、前田投手が2017年に投球した全投球の変化量をプロットしてみます【図1】。
ここでもスライダーに大きな秘密が隠されていました。

図1 レギュラーシーズンのボール変化量

図1をみると、スライダーとカットボールが似た位置にあります。少しわかりづらいため、両球種だけをそれぞれ抜き出してみます【図2、3】。

図2 スライダーのボール変化量
図3 カットボールのボール変化量

図2と図3を比べると、先述したようにスライダーは、カットボールと似た変化量であり、球速差は約6km/hもあります(表1参照)。これを距離に換算してみると、カットボールがホームベースに到達した時、スライダーはまだ約82cmも手前にあるのです。同じ軌道に見えて、ボールが来ない。打者からするとタイミングを合わせるのが非常に難しいボールと言えるでしょう。

飛躍のポイントは4シームのホップ成分?

ポストシーズンでは救援投手として大活躍をみせた前田投手ですが、レギュラーシーズンと大きく差がみられたのが、4シームでした【表3】。

表3 4シーム ポストシーズン比較
シーズン球速
(km/h)
縦変化
(cm)
横変化
(cm)
2017年シーズン1484623
ポストシーズン1514625
2016年シーズン1464922

変化量は球場毎の誤差を独自に補正

シーズンでは平均以下であった4シームの球速が、ポストシーズンではMLB平均を上回っています。おそらく救援投手として短いイニングの投球であったため全力で投球した結果、4シームの球速が大きく向上し、好投につながったのでしょう。

しかしドジャースのロバーツ監督は、来シーズンは前田投手を先発投手で起用すると明言しました。再び先発に戻った時に、ポストシーズンのような全力投球を続けるのは容易ではありません。イニングが進み、疲労で球速が低下すると、打ち込まれる可能性もあるでしょう。

そこで、球速ではなくボールの変化量をみてみましょう。2016年の4シームは、2017年よりもホップ成分が大きかったことがわかります。2017年は球速こそ高まったものの、ホップ成分が低下してしまいました。つまり、前田投手の飛躍するポイントは、「4シームのホップ成分」にあるのではないでしょうか。
参考:「ダルビッシュ、田中将大、上原浩治のストレートは変化球?」データで分析

MLBではフライボール革命の大流行もあり、ホームランが急増しています。アッパースイングでフライを狙う打者にはホップの大きな4シームが非常に有効であり、ポストシーズンのように球速を高めなくとも、4シームの球質を改善することで、より大きな活躍が期待できるでしょう。

ベースボールギークスでは、2018シーズンの前田投手の投球も分析していきます。皆さんも応援の際には前田投手の「4シーム」に注目してみてはいかがでしょうか。

※本稿でのボール変化量は球場毎の誤差を独自に補正

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ベースボールギークス編集部