打撃理論

打者の評価指標OPSとは!

これまでは、打者の評価をする際に"打率"を用いることが多かったのではないだろうか。プロ野球の中継画面や新聞記事などでも、打率順に並んでいることをよく目にする。
しかしながら、本当に打率だけで打者を評価できているのだろうか?今回は、打者を評価するデータを紹介していきたい。

OPSは打率よりも得点と関係!

まず、どのようにして打者を評価するべきだろうか。野球はより多くの点を重ねたチームが勝利するいうルールである。
つまり、打者がやるべきことは得点を奪うこと。そのため、得点にどれくらい寄与しているかにスポットをあてて打者の能力を探っていきたい。

まずは打率と得点の関係を示す(図1左)。打率が上がるにつれて平均得点が増加している。
続いて、OPSという指標と得点の関係について見てみよう(図1右)。OPSと得点の関係を見ると、こちらもOPSが上がるにつれて右肩上がりに上昇していることがわかる

図1 打率と得点の関係(左)およびOPSと得点の関係(右)

さらに、この2つを並べてみると打率よりもOPSのほうが得点との相関が高いということになる。つまり、打率よりもOPSは打者を評価するうえで有用であるといえる。

OPSは"本当の打者の価値"を評価!

先走って得点との関係を見てきたが、ここでOPSという指標について説明する。OPS(On-base Plus Slugging)とは、出塁率と長打率を足した指標である。
出塁率(アウトにならない率)、そして長打率(多くの塁を奪う率)を足したものであり、"打率"よりも長打をしっかりと評価できるといえる。

図2 OPS(On-base Plus Slugging)の定義

2019年の個人別ランキングを見てみる(表1)。鈴木選手や坂本選手のように打率も高くOPSも高い選手ばかりではなく、西武ライオンズの山川穂高選手のように打率こそ低くともOPSが非常に高く、実は得点に貢献しているような選手も存在する。
これまで打率で評価していたところでは浮き彫りにならなかった本当の打者の価値ということがOPSを使うことによってわかるようになるといえるだろう。

表1 NPB個人別OPSランキング
選手名チーム打率OPS
1鈴木 誠也広島0.335 1.018
2坂本 勇人巨人0.312 0.971
3山田 哲人ヤクルト0.271 0.961
4グラシアルソフトバンク0.319 0.960
5森 友哉西武0.330 0.959
6吉田 正尚オリックス0.322 0.956
7ブラッシュ楽天0.261 0.936
8バレンティンヤクルト0.2800.917
9山川 穂高西武0.256 0.912

簡易的に打者の評価が可能に

今回は、打者を評価する上で有用な指標を紹介した。このように、データを使うことで選手の本当の能力や貢献を評価できるようになる。

さらに、本日紹介したデータはスコアブックから取得できるデータである。つまり、プロや大学・社会人のように、データ測定者や精密機器がなくてもスコアブックさえあればOPSを取得することが可能である。
今後は打率ではなくこのOPSに注目してみていただけると、また違った面白さがわかるのではないだろうか。
参考:野球のデータ分析者に求められるスキルとは何か?

森本 崚太(もりもと りょうた)

株式会社ネクストベース・アナリスト。 トラッキングデータをはじめとした野球データの解析を担当。 プロ野球球団および選手にフィードバックやコンサルティング。菊池雄星投手ほかプロ・アマ多数の投手の球質測定やピッチデザインの支援も行う。昨年7月発売の「新時代の野球データ論」では記事執筆も担当。