大谷翔平とサイ・ヤング賞投手たちをデータで徹底比較【変化球編】

メジャーリーグで大活躍をみせている大谷翔平。今回も「投手大谷はどれくらいすごいのか」を探るため、大谷と日米のエースのボールを比較していこう。第1弾の「ストレート編」に続き、今回は「変化球編」と題して大谷の武器であるスプリットとスライダーの2球種をトラックマンデータから比較した。

目次:大谷翔平とサイ・ヤング賞投手データ比較
魔球スプリットの落差は田中に匹敵!
スライダーは球速がカギ?
大谷は球速が速い変化球投手!?
ストレート編のおさらい

・「球速」は先発投手として圧倒的
・一方、打者が「ノビ」ないように感じる球質
・「球質」の改善がカギ
参考:大谷翔平とサイ・ヤング賞投手たちをデータで徹底比較【ストレート編】

魔球スプリットの落差は田中に匹敵!

では、ここから変化球をみていく。
まずは、大谷の武器であるスプリットのデータを比較する。図1は、各投手のスプリット(シャーザーはチェンジアップ)のボール変化量をみたものだ。名前の後ろの%は、4シームとその球種の球速の比(球速割合)を示す。高ければ高いほど4シームに近い球速での投球となる。

図1 スプリット(チェンジアップ)の球速割合と変化量比較。大谷はシュート成分が小さく、真縦に沈むようなボール

※シャーザーはチェンジアップ

大谷、田中将大のスプリットはメジャーリーグ平均と比べて落差が非常に大きかった。
また、田中の球速割合をみると94%と非常に高い。4シームに見えて急激に沈むように錯覚するボールだ。
シャーザーはチェンジアップであるが、変化や球速割合はスプリットに近く、大谷や田中のスプリットより大きな落差であった。「来ない」チェンジアップというより「落ちる」チェンジアップで、空振りを狙えるボールだろう。

大谷のスプリットは球速割合こそやや平均を下回るものの、落差が非常に大きく田中に匹敵する変化だった。さらに、シュート成分が少ないのが特徴で、4シームに近い軌道で真縦に大きく落ちるようなボールだ。田中やシャーザーといった投手たちに劣らない決め球といえるだろう。

スライダーは球速がカギ?

続いて、スライダーのデータをみていこう。スプリット同様変化量と球速割合を比較していく(図2)。

図2 スライダーの球速割合と変化量比較。大谷は横変化が最も大きいものの、球速割合は非常に低い

大谷のスライダーはダルビッシュに似た変化で、横変化は最も大きかった。一方で、球速割合は他の投手と比べて非常に低かった。4シームとの球速差が大きく横変化が大きな大谷のスライダーは、投げた瞬間に一度3塁側に膨らむような軌道になりやすい。打者からすると他の球種との見分けがつきやすくなってしまう弱点もあるのだ。
逆に、カーショウのスライダーは横変化が小さくホップ成分が大きい。さらに球速割合が95%と非常に高いため、ギリギリまで4シームと同じ球種に見えるのだ。このようにスライダーは横変化の大きさだけでなく、球速とのバランスも非常に大切なのだ。

大谷のスライダーの大きな横変化は魅力の一つだ。球速が少しでも4シームに近づけられれば、スライダーだけでなく他のボールも活かせるような球種となるかもしれない。

大谷は球速が速い変化球投手!?

大谷と日米エースの比較を【ストレート編】、【変化球編】にわたって紹介してきた。
大谷の4シームは球速が圧倒的だ。その球速に注目が集まりがちだが、意外にも球質は平均的なものであった。
一方、変化球はスプリット、スライダーともにサイ・ヤング賞投手たちに劣らない大きな変化量をみせ、変化球が武器といっても過言ではないくらいのボールを有していた。

変化球の観点でいえば、それぞれの球種の球速が4シームに近づき、「途中までどの球種かわからない」ような投球術を身につけることができれば、さらにハイレベルな投手になるに違いない。
課題とともに感じる投手大谷の大きな可能性にこれからも注目していきたい。

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