大谷翔平とサイ・ヤング賞投手たちをデータで徹底比較【ストレート編】

投打にわたる活躍で、メジャーリーグでも大きな注目を集めている大谷翔平。「投手」大谷はどれだけすごいのだろうか。
今回は、大谷と日米を代表するエースたちを今シーズンのトラックマンデータから比較し、どのようなボールを投球しているのかを紹介したい。第1弾は「ストレート編」と題して4シームのデータをみていこう。

目次:大谷翔平とサイ・ヤング賞投手データ比較
メジャーを代表するサイ・ヤング賞投手たち
「球速」は大谷翔平がナンバーワン!
サイ・ヤング賞投手との差は「球質」!?

メジャーリーグを代表するエースたち

まずは、今回比較する投手たちを紹介する。以下の3投手は、全員サイ・ヤング賞受賞経験のあるメジャーリーグを代表するエースたちだ。

クレイトン・カーショウ(ドジャース)

サイ・ヤング賞に3度輝いたドジャースのエースで、現役最高左腕との呼び声も高い。投げ下ろすようなフォームから投げる変化の大きなカーブとホップ成分の大きな4シームが特徴。

マックス・シャーザー(ナショナルズ)

2年連続(計3回)サイ・ヤング賞を獲得しているナショナルズのエース。ややサイド気味のフォームから繰り出される150キロ超えの4シームとスライダーを武器に、今シーズンも驚異的なペースで奪三振を積み重ねている。

ジャスティン・バーランダー(アストロズ)

アストロズ初の世界一に大きく貢献した右腕。平均150キロを超える4シームを武器に現在(5/20)両リーグ1位の防御率をマーク。「打者」大谷翔平との初対決では3奪三振を奪った。

これらの選手と大谷、そして田中将大とダルビッシュ有の6人をトラックマンデータで比較していこう。

球速ナンバーワンは大谷翔平!!

まずは4シームの平均球速を比較する。最も速かったのは大谷だった。(表1)

表1 4シーム平均球速比較。大谷は堂々の1位となる156キロを記録
順位名前
(チーム)
平均球速
(km/h)
大谷 翔平
(エンゼルス)
156
バーランダー
(アストロズ)
153
ダルビッシュ 有
(カブス)
151
シャーザー
(ナショナルズ)
151
田中 将大
(ヤンキース)
148
カーショウ
(ドジャース)
146
メジャー平均150

並びは球速順

球速の速さは大谷最大の特徴だ。この球速を誇る先発投手はメジャーでも数少なく、そのポテンシャルは世界一といっても大袈裟ではないだろう。

ストレートの「ノビ」は平均以下??

では次に、ボール変化量を使って4シームの球質をみてみよう。球速では高いポテンシャルをみせた大谷だが、実は打者があまり「ノビ」るように感じない4シームを投球しているのだ(図1)。

図1 4シームのボール変化量比較。日本人投手たちは平均に近い

打者は平均的な変化のボールを見慣れている。そのため平均よりもホップ成分の大きな4シームには「ノビ」るように感じたり、平均よりもシュート成分の大きな4シームに横曲がりを感じたりするのだ。大谷の4シームはこの6名の中ではダルビッシュに近い球質で、ややカット気味に沈むような変化のボールだ。球速が圧倒的であるものの、打者の予想に近い軌道であるため空振りが少ないのかもしれない。
参考:大谷翔平デビュー戦の全球種をデータで分析!武器は球速160キロの速球だけにあらず!?

一方で、メジャーを代表する投手たちは、平均を大きく外れた軌道の4シームを投球している。カーショウやバーランダーはホップ成分が非常に大きな4シームだ。
「野球をやってきて、おそらく打席の中で見た1番速い球じゃないかなと思います」
バーランダーとの対決後に大谷が感じたように、ホップ成分の大きなボールは打者が「ノビ」るように感じ、球速以上の威力を感じるボールなのだ。
参考:アストロズ バーランダーを分析!進化の秘密は150キロ超のストレートの緩急!?

大谷の課題はストレートの球質!?

ここまで球速、ボール変化量のデータから大谷の4シームを比較してきた。
球速の観点ではメジャーを代表する投手たちを大きく上回ったものの、ボール変化量の観点では打者が予想しやすいようなボールであった。

サイ・ヤング賞投手たちとの差はこの4シームの球質にあり、より打者の予想を裏切るようなボールを投球することができれば、これらの投手にひけを取らない投手になるに違いない。
次回は大谷の「変化球」に注目し、メジャーを代表する投手たちと比較していく。「投手」大谷にまだまだ注目だ。

(敬称略)

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