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MLB

弱点を克服した大谷翔平はMVP獲得なるか?打者大谷をジャッジと比較



目次
メジャー屈指の打球速度
三振こそ減少したがゴロ割合が増加
自慢のスプリントは健在
2年連続のMVP獲得となるか

メジャーリーグ(以下、メジャー)の年間最優秀選手(以下、MVP)は、日本時間11月18日に発表される。1903年以降初となる投打でダブル規定を達成した大谷翔平は、アーロン・ジャッジ(ヤンキース)とヨーダン・アルバレス(アストロズ)とともにMVPの最終候補に名を連ねた。今シーズンの打者大谷はどのような特徴があったのか、またMVP受賞の可能性はどの程度あるのだろうか。本記事ではトラッキングデータを用いて大谷の打撃成績を分析し、ライバルとされるジャッジとの比較を行う。
参考:2021年打者大谷翔平を分析!キャリアハイの要因は打球角度?

メジャー屈指の打球速度

まずは、大谷翔平の打球速度と打球角度を紹介する(図1)。
大谷の平均打球速度はメジャー平均を大きく上回り、規定打席に到達した選手の中では5位につけている。打球角度はメジャー平均程度であるため、打球速度の速いライナー性の打球を多く打てていることがうかがえる。

図1 メジャー主要打者の打球速度・打球角度

ただし、MVPのライバルであるジャッジはメジャートップの打球速度を記録しており打球角度も大谷より大きいため、バレルゾーンに入る打球はジャッジの方が多くなっている(バレル率はジャッジが27%、大谷が17%)。打球の質という面では、残念ながらジャッジに軍配があがりそうだ。
参考:注目の指標バレルとは?打球速度と打球角度の重要性

三振こそ減少したがゴロ割合が増加

次は被リスク管理表から大谷の打撃内容をみていく(図2)。
今季の大谷は完全アウト(三振+内野フライ)の割合がメジャー平均程度となり、昨シーズンの課題であった三振の多さを克服しているといえる。一方で、ゴロ割合が大幅に増えるなど、打球角度を高めることにやや苦労したようだ。
参考:打者・大谷は189三振!空振りは本当にいけないことなの?

図2 大谷の被リスク管理表(2022年と2021年の比較)

また、ジャッジの被リスク管理能力と比較すると、本塁打割合・四球割合ではジャッジに軍配が上がる。ジャッジは本塁打・四球・出塁率・長打率など多くの指標でリーグトップを記録しており、ずば抜けた成績を残している。

図3 大谷とジャッジの被リスク管理表

自慢のスプリントは健在

では、打者大谷がジャッジよりも優れている点はあるのだろうか。2人のレーダーチャートを図4に示す。
バレル率や打球速度、三振率などはほぼ互角だが、走力では大谷が優れていることがわかる。ジャッジは今季16盗塁と走塁にも精を出したが(大谷は11盗塁)、大谷は三塁打を6本記録(リーグ4位)するなど、スプリントで能力で違いを見せていたといえるだろう。

図4 大谷とジャッジの能力パラメータ

また、このレーダーチャートを比較すると、バレル率や打球速度で大谷はメジャートップクラスの成績を残しており、パラメータ化するとジャッジにも引けを取らない。ジャッジと比較するとやや物足りなく感じてしまうが、大谷がメジャーでも超一流の打者であることは間違いないだろう。

2年連続のMVP獲得となるか

ここまで、様々なデータを下に今季の打者大谷を振り返った。大谷は打者としてもメジャートップクラスの成績を残しているが、ジャッジはそれをさらに上回っていた。今季のMVP争いは、ロジャー・マリスを越える62本塁打を放ったアーロン・ジャッジと、メジャー初となる投打で規定数に到達した大谷翔平、前人未踏の記録を達成した2人が争うハイレベルな戦いとなっている。果たしてどちらが選ばれるのか、明日の結果が待ちきれない。

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Baseball Geeks編集部