生まれ月からみるドラフト戦略!日本ハムの特徴とは?

10月25日に行われたプロ野球ドラフト会議(以下、ドラフト)。誰がどの球団に指名されたかということに大きな注目が集まった。前回(10/29記事)は各球団の編成から各球団のドラフト戦略を検討した。
参考:編成からみえてくる各球団のドラフト戦略
生まれ月という観点でみると、早生まれのプロ野球選手の人数は他の生まれ月と比較して相対的に少ないものの、タイトルを獲得する可能性は早生まれのほうが高いというデータがある。生まれ月を考慮して指名選手を決めている球団があるかどうか分からないが、数ある情報の1つとして活用している可能性もある。
そこで、今年のドラフト指名選手の生まれ月分布、および各球団の生まれ月分布からドラフト戦略を探った。

4~6月生まれの高卒選手は近年で最高の23%

2014~2018年のドラフトにおける出身区分別の割合を表1に示す。値は各年のドラフト会議指名全選手を100%としたときの各区分の割合を示している。

表1 直近5年間のドラフト指名選手の生まれ月分布(高校生/大学生)

今年のドラフト会議は、高校生の指名割合が過去5年間の中で最も高かった。中でも4~6月生まれの高校生はドラフト指名選手全体の23%を占めている。直近5年間の値や日本人の生まれ月分布に偏りがないことを考慮すると、今年のドラフト指名は生まれ月に偏りがあると言える。
注目すべきは、各球団のドラフト1位で複数球団から指名のあった根尾、藤原、小園の3選手がいずれも4~6月生まれということだ。
昨年も4~6月生まれの安田、清宮、中村がドラフト1位で指名されているため、ドラフト1位に高校生の4~6月生まれが集中することは特別なことではない。だた、日本人の生まれ月分布に偏りがないことを考えると、今年のドラフト指名は生まれ月に偏りがあると言える。

一方、例年であれば最も割合の高い4~6月生まれの大学生・社会人だが、今年は8%と低く、1~3月生まれの大学生・社会人よりも低かった(図1)。大学生・社会人の割合は全体的に低下しており(表1参照)、特にここ3年間は4~6月生まれの割合が低下し続けている
これらの背景は明らかではないが各球団のドラフト戦略か、選手の育成環境に何らかの要因があるはずであり、来年以降も注視したい。

図1 生まれつき別のドラフト指名者数割合の推移(ドラフト指名全選手を100%としたときの各生まれ月の割合)

二人の早生まれの高卒ドラフト1位に期待

早生まれの割合は高校生で6%、大学生・社会人で12%で例年と同様、他の生まれ月よりも割合は低かった。一方、早生まれ3名がドラフト1位で指名された。そのうち2名が高校生で、甲子園で活躍した吉田(金足農業)が日本ハムに、太田(天理)がオリックスに指名された。
早生まれの高卒ドラフト1位投手といえば、4月1日生まれの桑田(元巨人)がいる。身長があまり高くなく、頭脳的な投球をするところは吉田と重なるところがある
参考:プロ野球での活躍に誕生月の影響あり!?ドラフト前にデータで検証
一方、太田は早生まれがほとんどいないU15侍ジャパンにも選出されており、ジュニア期から注目された選手である。これまで早生まれの高卒ドラフト1位内野手は少なく、高橋周平(中日)、過去には鈴木健(元西武、ヤクルト)などがいる。
今年指名された二人の身体成熟度は分からないが、4~6月生まれの高校生よりも「伸びしろ」は十分にあると推察される。本人も周りも焦らず、長期的な計画に基づいて育成されることを期待したい。

指名選手の生まれ月に特徴がある日本ハム

最後に編成および指名選手から、生まれ月に特徴があるチームを紹介したい。表2は、5年目以下および6年目以上の選手の生まれ月分布を球団別に示している。

表2 生まれ月分布における球団間比較

在籍年数に関わらず、4~6月生まれが多いのが日本ハムである。特に5年目以下の選手では55%が4~6月生まれで、高卒野手に限れば70%が4~6月生まれというデータもあり、大きく偏っていると言える。高卒4~6月生まれの現役野手には、中田、西川、田中賢介、清宮、淺間などがいる。
今回のドラフトで指名した高校生野手の野村(花咲徳栄)、万波(横浜)、柿木(大阪桐蔭)、田宮(成田)は、いずれも4~6月生まれである。一方、5年目以下の早生まれの割合も低くはなく、6年目以上ではパリーグにおいて最も割合が高い。
さらに分析を進めると、特に5年以内に指名した投手に限れば30%が早生まれだということがわかった。今回のドラフトでも吉田(金足農業)、社会人の生田目(日本通運)は早生まれ、大学生の福田(星槎道都大)は早生まれではないが12月生まれで、いずれも投手である。

今回は生まれ月とチーム編成から各球団のドラフト戦略が垣間見ることができた。
データを使ってチームの特徴を明確にすることで、これまでとは違った視点でドラフトを楽しむことができるだろう。選手たちの来年の活躍が楽しみだ。(敬称略)

勝亦陽一(かつまたよういち)
東京農業大学応用生物科学部 准教授。野球の能力に影響する環境要因・生まれ月・競技開始年齢・兄弟構成・練習頻度、などの調査研究等を行っている。中・高校生向けのトレーニング指導や講演(「考えてバッティングをするための科学的アプローチ」等)も多数行っている。
【勝亦氏のプロフィールはこちら】http://yo1walker.wixsite.com/katsumata-yoichi
【勝亦氏のTwitterはこちら】https://twitter.com/Katsumata_Yo

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