Geeksウェビナーの詳細はこちら

詳細



0 件
プロ野球

ヤクルト村上宗隆をレジェンド選手と比較!4年目に求められる成績とは?



目次
高卒3年目では清原和博が本塁打でトップ!
昨季の村上宗隆はOPSでトップの成績を記録!
名選手たちに並ぶために求められる4年目の成績とは?

2年連続最下位からの脱出を目指すヤクルトは、このオフシーズンに大きな補強を行った。特に注目は、メジャー通算77発のサンタナと同24発のオスナの獲得だろう。新型コロナウイルスの影響で来日予定が決まっていないのは気がかりだが、得点力は間違いなくアップするはずだ。

しかし打線の中心に座るのは2人の外国人選手ではない。高卒4年目のシーズンを迎える村上宗隆である。昨シーズンの村上は球団の日本人選手としては初めて全試合4番で出場。そのなかで打率.307(424打数130安打)、28本塁打、86打点と文句のない成績を残した。打撃三冠のタイトル獲得はならなかったものの、史上最年少で最高出塁率の栄冠を手にしている。

その村上の数字が取り上げられるとき、よく比較されるのが中西太(西鉄)と清原和博(西武)である。中西は20歳のシーズンに本塁打王を獲得した怪童。一方の清原は史上最年少となる21歳9ヶ月で100号本塁打を達成したスーパースター。ともに高卒1年目から主力としてチームを引っ張ってきた。
今回は、そんな偉大なふたりと村上の数字を比較してみたい。

高卒3年目では清原和博が本塁打でトップ!

中西、清原、そして村上の高卒3年目までの通算成績は下記のようになる(表1)。中西と清原は1年目から主力級の成績を残していたこともあり、3年目までの数字では、村上が少し劣っているようにみえる。とくに本塁打のような積み上げ系のスタッツは、2年目から戦力となった村上は1年分の不利があり差は顕著だ。1年目から31本塁打を放った清原と村上には3年間で26本もの差がある。

表1 高卒3年目までの通算成績。清原が本塁打数やOPSでトップ

また、稼働年数の影響を受けにくい打率や出塁率、長打率といったスタッツでも村上はふたりに届いていない。とはいえ、OPSは一般的に優秀とされる0.900に到達しており、高卒3年目までの通算成績としては、文句のつけようがない数字である。

昨季の村上宗隆はOPSでトップの成績を記録!

しかし1年目から3年目におけるそれぞれの数字を見ると、中西と清原のふたりと村上は大きく異なっていることがわかる(表2)。中西と清原のふたりは1年目から好成績を残してきた。

表2 3年目までの各シーズンの成績。村上は3年目に高い値を記録している

一方の村上は、1年目はほぼ稼働していない。そして1年目から2年目、そして2年目から3年目に大きな飛躍を遂げている。打率、出塁率、長打率の3項目を毎年向上させているが、これは中西と清原にはなかったことだ。2年目から3年目にかけては出塁率について.095、長打率について.104のアップがあった。そのおかげでOPSはリーグを代表する証でもある「1」を超えた。ちなみに昨シーズンOPSが「1」を超えたのは、村上と柳田悠岐(ソフトバンク/1.071)のふたりだけ。そのことからも村上の凄さがよくわかるだろう。

名選手たちに並ぶために求められる4年目の成績とは?

前述したように3年目を終えた時点における村上の数字は、清原と中西には及ばない。しかし、4年目となる今シーズンの成績次第では、偉大なふたりに追いつく可能性も十分にある(表3)。

現時点で通算65本塁打の村上が、本塁打数でふたりに追いつき、追い越すことは現実的ではない。しかし、打率や出塁率、長打率、そしてOPSに関しては手の届くところにある。村上が今シーズンも昨年同様に全試合4番で出場したと仮定すると、600打席前後となる。その上で昨年、一昨年の数字から下記のような数字を残すことができれば通算でも同程度の数字となる。

表3 4年目のシーズン成績。村上については推定値

もちろん簡単ではないが、不可能な数字ではないだろう。長打率.622は少しハードルが高いように見えるかもしれない。しかし、打率.307(492打数151安打)で計算すると35二塁打、3三塁打、38本塁打で届く数字だ。昨シーズンの村上は424打数で30二塁打、2三塁打、28本塁打だった。本塁打がやや足りないが、2019年シーズンは511打数で36本塁打だったことを考えると十分に到達可能だろう。
この仮の成績を残したときの4年目までの通算成績を比較すると下記のようになる。

表4 4年目までの通算成績。村上については推定値

打率と本塁打数は若干劣るものの、出塁率、長打率、OPSは遜色ない数字に落ち着くことがわかる。はたして村上は、中西や清原に並ぶような成績を残すことができるだろうか。それともさらなる進化を遂げ、これ以上の成績となるのだろうか。若き主砲の今シーズンに注目が集まる。

OPSを使った打者成績の比較

本記事では、OPSを用いて村上をレジェンド選手たちの成績と比較した。OPSは「出塁率+長打率」で算出される打撃指標である。打率や本塁打数に比べて得点との相関がかなり高いため、打者を評価するうえで有用な指標といえる。具体的には、「1」を越えると球界トップクラスの打者と評価されることが多い。算出方法が簡単なため、スコアブックさえあれば計算可能である点もOPSの魅力である。

OPSに関するプロ野球のシーズン記録は、王貞治の1.293(1974年)、21世紀に絞るとウラディミール・バレンティンの1.234(2013年)。成長著しい村上が、これらの偉大な記録にどこまで近づけるのか注目だ。
参考:打者の評価指標OPSとは!

スタンダードプランに登録無料すると

記事の続きや、コメントを読むことができます。

勝田聡/Baseball Geeks 編集部