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プロ野球

巨人の新外国人クックを分析!最大の武器は150キロ超の垂れるストレート!



目次
【チームの外国人事情】リーグ屈指の選手層
150キロの速球が中心!
高速「垂れまっすぐ」と、落ちるスライダーが武器!
救援陣の救世主になれるか
アスレチックス時代(2011年~2015年)のクック(写真:Wikimedia Commons)

リーグ3連覇中の広島から丸佳浩を獲得し日本一奪還を誓う巨人は、オールスター出場経験も持つメジャーリーガーを獲得した。元マリナーズのライアン・クックは原新政権のもとクローザーとして期待されている。
今回は、2018年のメジャーでの投球を分析し、クックの投球をトラックマンデータから紹介していきたい。
参考:【2019年】新外国人投手を徹底解剖!トラックマンデータでみる速球1位は!?

【チームの外国人事情】リーグ屈指の選手層

巨人は、リーグでも屈指の外国人選手たちをそろえる。野手では本塁打王経験者のゲレーロ、昨季メジャー20本塁打のビヤヌエバを中心に二遊間を守れるマルティネスらが鎬を削る。投手は昨季ブレイクのメルセデスに実績十分のマシソン、短期間ながら大活躍をみせたヤングマンに一時クローザーも務めたアダメスも控える。
クックは、そんな中で救援陣の中心として活躍を期待されている。
参考:巨人・ヤングマンのメジャー時代の球質データ

150キロの速球が中心!

では、ここから2018年のトラックマンデータを使ってクックの投球をみていきたい。まず、各球種の球速と投球割合を見ていく(表1)。

表1 球種別の球速と投球割合。7割近くの割合で速球系の球種を投球
球種球速
(km/h)
球速
(%)
投球割合
(%)
4シーム151.7
(150)
99.8
(100)
57
2シーム152.0
(148)
100
(100)
10
スライダー136.3
(136)
89.7
(90)
27
チェンジアップ142.7
(136)
93.8
(94)
5

投球割合をみると4シームが半数以上を占めており、2シームと併せると7割近くの割合が速球系の球種となっている。救援投手であるため、少ない球種でどんどん勝負してくる投手といって良いだろう。

また、球速をみると4シームの球速は平均150キロを超える。2シームは4シーム以上の球速もを記録しており非常に高速なボールを中心に組み立ててくる投手だ。
スライダーは平均やや低速なボール、チェンジアップは高速な変化球であった。スライダーは3割近くの投球割合を記録しており、速球に次ぐ武器である球種であろう。

では、続いてそれぞれの球種がどんな球質であるのかをみていきたい。

高速「垂れまっすぐ」と、落ちるスライダーが武器!

投球の中心である4シームはホップ成分が小さいという特徴を持つ。150キロを超える球速ながら平均よりも「垂れる」ため、打者はボールの上っ面を叩いてゴロを量産するだろう。同じく速球系球種である2シームも非常に「垂れる」球質で、こちらはシュート成分も大きく、もはやサイドスローの投手のような2シームである(図1)。

図1 各球種のボール変化量。2シームは高速に大きく沈むボール。スライダーは縦変化が大きい特徴

また、スライダーは変化が非常に大きい。特に縦変化が大きく、カーブに近い変化である。球速はスライダーの平均に近いため、メジャーで流行をみせる「パワーカーブ」のようなボールだ。パワーカーブは高速かつ大きく落ちるため、打者に向かう入射角度は大きくなりやすい。角度をつけてボールを捉えるのが難しく、こちらもやはりゴロや空振りを狙えるボールだろう。

課題を挙げるとするとチェンジアップの精度か。昨シーズンは、一球毎の変化量のばらつきも大きく投球割合も低かった。クックのスライダーは変化が非常に大きく、打者は4シームとの見分けがつけやすい。4シームに近い軌道で来る変化球を一つ投球できると、速球系球種もスライダーもさらに威力を増すだろう。

表2 各球種のボール変化量。スライダーはメジャー平均よりも大きく沈む変化
球種球速
(%)
回転数
(rpm)
横変化
(cm)
縦変化
(cm)
4シーム99.8
(100)
2136
(2263)
21.4
(19)
36.4
(40)
2シーム100
(100)
2075
(2142)
42.4
(37)
17.6
(24)
スライダー89.7
(90)
2948
(2394)
-17.3
(-14)
-13.1
(5)
チェンジアップ93.8
(94)
1505
(1754)
34.2
(34)
17.1
(18)

基本的にはゴロを打たせる投手といえるが、速球系球種の平均球速は日本では高速な投手である。速球系球種で空振りを奪うような投球できれば、決め球であるスライダーも威力を増し、三振も増えてくるかもしれない。

救援陣の救世主になれるか

ここまでクックの投球をトラックマンデータから分析してきたが、独特な「垂れる」速球やスライダーを武器にゴロを打たせるような投球スタイルであることがわかった。大崩れはしづらく、安定した投球を見せてくれる投手だろう。

また、4シームや2シームはメジャー平均に迫るほどの球速であり、日本では高速である。それらのボールで空振りを奪うような投球が出来ればスライダーも威力を増し、ゴロも三振も奪える救援投手として大きな活躍を見込めるだろう。4シームの球速、そしてチェンジアップの精度がポイントとなるかもしれない。

【動画】クックのメジャー時代の投球

巨人は現在4年連続で優勝を逃し、チームは大きな改革を行った。名将復帰に主砲獲得とファンの期待は日に日に高まる。クックが中心選手として救援陣を建て直すことができれば、日本一奪還もみえてくる。
文字通り打者を料理するような投球を楽しみにしたいと思う。

ライアン・クック プロフィール

1987年6月30日生まれ、32歳、右投右打
ダイアモンドバックス11-アスレチックス12-レッドソックス15途-マリナーズ18-巨人19
2018年19試合 2勝1敗 (メジャー通算15勝13負17セーブ)

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Baseball Geeks編集部