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プロ野球

西武の新外国人ザック・ニールを分析!活躍の鍵は大きく沈む2シーム!



目次
【チームの外国人事情】主力の退団受け外国人選手の活躍は不可欠
4シームを投球「しない」技巧派投球!
サイドスローのようなボールでゴロ量産!?
QS量産でチームに貢献できるか!
ザック・二―ル。マリナーズへ移籍した菊池雄星投手の穴埋めとして期待されている。写真はWikimedia Commons より(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Zach_Neal_2016.jpg)

リーグ優勝を果たした西武は、悲願の日本一に向けて新たな助っ人を補強した。元ドジャースのザック・ニールである。今回は、2018年のメジャーでの投球を分析し、ニールの投球をトラックマンデータから紹介していきたい。
参考:【2019年】新外国人投手を徹底解剖!

【チームの外国人事情】主力の退団受け外国人選手の活躍は不可欠

菊池雄星、浅村栄斗と投打中心選手が移籍し、リーグ連覇には代替選手の活躍が不可欠だ。4つの外国人枠を争う中で、順当にいけば野手は実績あるメヒアが当確。残る3枠をマーティン、カスティーヨ、ヒースらと争うだろう。長年先発陣の中心であった菊池が抜け、先発としてニールにかかる期待は大きい。

4シームを投球「しない」技巧派投球!

では、ここから2018年のトラックマンデータを使ってニールの投球をみていこう。まず、各球種の球速と投球割合を見ていく(表1)。

表1 球速と投球割合。球速は平均以下も2シームの投球割合は半数を超える
球種 平均球速
(km/h)
平均球速
(%)
投球割合
(%)
2シーム145.3
(148)
100.0
(100)
60
(19)
カーブ121.2
(126)
83.4
(85)
6
(5)
カットボール139.6
(143)
96.0
(96)
20
(8)
チェンジアップ136.6
(136)
94.0
(91)
13
(10)

2018年シーズンのデータを分析。カッコ内はメジャー平均

注目は、4シームを投球しない事である。全体の投球数こそ少ないが、2シームを主体としてピッチングを構成していることが分かる。

また、全ての球種において平均若しくは平均以下の球速であり、打者を圧倒していくスタイルではない。
2シームを中心に、ゴロで打者を打ち取っていくタイプであろう。球速で勝負する投手ではないため、自分のボールを丁寧にコントロールできるかがポイントの一つかもしれない。

サイドスローのようなボールでゴロ量産!?

次に各球種のボール変化量からニールのボールの特徴を見ていく。
投球の中心である2シームはメジャー平均よりも大きく「沈む」ボールだ。シュート成分も大きくまるでサイドスローの投手が投げるような2シームである(図1)。

図1 各球種のボール変化量。2シームは横に沈むボールになっており、またカットボールはホップ成分が高い。
※2018年シーズンのデータを分析。灰色丸は各球種のメジャー平均

また、カットボールは2シームよりもホップ成分が大きい打者は相対的に「伸びる」ように感じるカットボールであろう。
チェンジアップは投球こそ少ないものの、2シームと似た変化を見せる。上手く使えば「奥行」が使える有効なボールとなるかもしれない。

表2 各球種の変化量。カーブの変化量が平均に比べ少なく、カットボールは横変化がほぼない。
球種球速
(%)
回転数
(rpm)
横変化
(cm)
縦変化
(cm)
2シーム100.0
(100)
2174
(2142)
40.6
(37)
10.0
(24)
カーブ83.4
(85)
2300
(2494)
-7.8
(-24)
-10.4
(-23)
カットボール96.0
(96)
2316
(2348)
-0.4
(-6)
20.2
(21)
チェンジアップ94.0
(91)
1581
(1775)
39.4
(34)
15.8
(18)

2018年シーズンのデータを分析。カッコ内はメジャー平均

日本では珍しい4シームを投げない投手であり、大きく沈む2シームを中心にゴロを量産する投手となるだろう。フライボール革命が浸透しているメジャーリーグと違い、日本はすくい上げるようなスイングでアプローチする打者は多くない。丁寧に低めにコントロール出来れば、先発として多くのイニングを消化できるかもしれない。

QS量産でチームに貢献できるか!

ここまでニールの投球をトラックマンデータから分析してきたが、丁寧にゴロを打たせるような投球スタイルであることがわかった。
ニールの2シームは打者の手元で大きく沈むような変化であり、低めに集めることが出来れば打者はバットの上っ面で叩いてゴロを量産することができるだろう。

チェンジアップをどう使うかがポイント?!

しかし、球速自体はメジャー平均以下であり圧倒できるタイプではない。持ち球の特性を活かす上でも低めへの制球はポイントとなるだろう。また、2018年は投球が少なかったチェンジアップをどのように使えるかもポイントかもしれない。2シーム、カットボールの「動く」ボールに加え「奥行」も使えると、打者にとって厄介な投手となるだろう。
参考:真っ向勝負は時代遅れ?球種別のイベントの特徴!

【動画】ザック・ニール投手の投球映像。ゴロを量産していく投球スタイルに注目!

浅村栄斗が抜けてなお西武の強力打線は健在だ。圧倒する投球こそなくとも、ゴロを量産しQS(クオリティースタート)を達成し続けることが出来れば多くの勝ち星を重ねられるかもしれない。

ザック・ニール プロフィール

1988年11月9日生まれ、31歳、右投右打
マーリンズ10-アスレチックス16-ドジャース18-西武19
メジャー登板成績
2018年 1試合 0勝0敗(メジャー通算2勝4敗)

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Baseball Geeks編集部