大谷翔平の先発第3戦を分析!空振りを奪えなかった理由はスプリットにあり!?

一週間前に快投をみせた姿はそこにはなかった。
メジャーデビュー戦、2戦目と目覚ましい投球を見せていた大谷翔平選手(以下敬称略)は、3戦目にして初の敗戦を味わった。

打ち込まれてしまった理由はどこにあったのか。今回は大谷の3戦目の投球を分析していきたい。

移籍後最速の161キロをマーク

まずは大谷の各球種の球速をみてみる。(表1)。1,2戦目の平均値と比較してみよう。

表1 大谷の各球種の球速。4シームは健在もスプリットは1,2戦目に劣る
球種平均球速
(km/h)
最高球速
(km/h)
4シーム156
(156)
161
(160)
スプリット139
(141)
144
(146)
スライダー132
(132)
137
(137)
カーブ117
(118)
117
(122)

カッコ内は1,2戦目の平均値

この日も4シームの球速は健在で、最高球速はメジャー移籍後最速となる161(160.6)キロをマークした。一方で、スプリットの球速は低下した。これは、後述するボール球を見極められた要因のひとつかもしれない。

4シームの「伸び」は過去最大!

次に図1のボール変化量をみてみる。4シームのホップ成分の平均値は44センチと移籍後最も大きかった。(1,2戦目の平均値は41cm)

図1 大谷3戦目のボール変化量。4シームは過去最高のホップ成分を記録した

以前のコラムで紹介したように、元々大谷の4シームは球速が速いため、ホップ成分が大きくなればより空振りを奪いやすい球質となる。そういった観点でみると、実は3戦目も2戦目同様空振りが奪いやすい球質に近づいていたのだ。

参考:大谷翔平、衝撃の2勝目を分析!快投の鍵はダルビッシュ似となったストレートの球質!?

しかしながら、3戦目ではこれまでほど空振りが奪えなかった。変化球のボール変化量をみると、スプリットの落差やスライダーの横変化が小さかった。一球ごとのバラツキも大きく、思うように投球出来なかったことがみてとれる。
これが打ち込まれた理由となったのだろうか?空振り割合とボール割合のデータをみてみる。

大谷の生命線は「変化球」…!?

表2は、主要3球種の空振り割合(スイングしたうち空振りした割合)の変化だ。3戦目ではほとんど空振りを奪えていないことがわかる。

表2 大谷の空振り割合の変化
球種1,2戦目
(%)
3戦目
(%)
全球種467
4シーム335
スプリット700
スライダー2325

最も顕著なのがスプリットで、1,2戦目は70%の確率で空振りを奪ったが3戦目では一球も奪えなかった
さらに、ホップ成分が大きくなったはずの4シームでもほとんど空振りが奪えなかった。その理由をボール割合(投球のうちのボールの割合)から考察する。

表3大谷のボール判定の割合とその変化
球種1,2戦目
(%)
3戦目
(%)
全球種3348
4シーム3535
スプリット3385
スライダー3147

変化球のボール割合が顕著に高まっている。特にスプリットは明らかにボールとわかる投球も多く、空振りを誘うことができなかったのだろう。

また、注目したいのが4シームだ。ボール割合はほとんど変わらなかったにもかかわらず空振り割合は大きく低下した。メジャーリーグの先発投手の平均的な球種の数は約5球種で、大谷は約3球種(3戦目はカーブが一球のみ)とやや少ない。3戦目のように変化球が制球できなくなると、途端に4シームに狙いが絞りやすくなり、空振りを奪うのが困難になってしまうのだ。

参考:「先発タイプ」ってなに?持ち球からその適性を考える

先頭打者本塁打を浴びた場面でも、変化球で勝負しきれずに4シームを打たれてしまった。以前も紹介したように、やはり大谷の武器は160キロの4シームだけでなく、鋭い変化の変化球なのだ。

参考:大谷翔平デビュー戦の全球種をデータで分析!武器は球速160キロの速球だけにあらず!?

大谷さらなる飛躍のために必要なこととは

大谷が今後の取り組むべき対策として、まずは既存の変化球の精度を安定させることに努めるべきだろう。スプリットやスライダーの精度が上がれば、「伸び」が増してきた4シームでも空振りが奪えるようになるだろう。
また長期的にみれば、球種を増やすことも検討するべきかもしれない。ヤンキースの田中将大がメジャー移籍後に2シームの割合を増やしたのも、「打ち取り方」を増やすための工夫であっただろう。大谷の指のマメのように、何らかの形で制御しにくい場面になってもその「引き出しの多さ」でカバーできるのだ。

残念ながらデビュー3連勝とはならなかったものの、まだまだ発展途上の投手だ。
今後さらに進化した投球をみせてくれることを期待しよう。

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