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MLB

【スライダーの極意】スイーパー系とジャイロ系 効果的なスライダーの投げ方とは!?



目次
そもそもスライダーとは?
いいスライダーの条件とは?
空振りを奪いやすいスライダーとは?
スライダーと球速の関係性

森本:神事さん、やはり変化球といえば「スライダー」ですよね?

神事:以前好きな球種はスライダーとおしゃってましたけど。

写真1:年度別の球種割合

森本:MLBの年度別投球割合を見てみると、最近増えているボールというのがスライダーになります。多くの投手が投げていると思いますが、色んなスライダーがありますよね。

神事:伊藤智仁さんのスライダーはすごく特徴があったボールでした。一方で「Vスラ」みたいなボールがあったりして、スライダーの定義はすごくバラバラしている印象です。

森本:ということで今回はスライダーについて伺っていきたいと思います。

そもそもスライダーとは?

森本:そもそもスライダーとはどのようなボールなのか教えていただきたいです。

写真2:球種別のイベント割合

神事:多くの投手が投げるスライダーではありますが、空振りの割合というのは32%とかなり空振りを奪える球種というのが分かります。

写真3:球種別のイベント割合2

神事:さらにライナーが少ないというメリットもあり非常に使いやすい球種だと思います。

写真4:MLBの平均的な球種ごとの変化量

森本:ちなみにこちらがメジャーリーグ(MLB)の平均的な(球種の)変化量を並べてみました。スライダーの回転や変化の特徴はどのような所にありますか?

神事:ストレートに関してはバックスピンしながら若干シュートしていくという特徴があります。一方でスライダーはそれより逆方向に曲がっていくのがスライダーの定義になります。その曲がりが大きかったり、小さかったり、または縦に落ちたりとさまざまなバリエーションがあるのがスライダーの特徴だと思います。

森本:かなり自己申告の中でスライダーと言える範囲は広いですよね。

神事:これがスライダーだと言えばスライダーになりますし、「あれ、これカーブじゃね??」という疑問も出てくるのも面白い特徴だなと思います。

森本:それでいうと、アマチュアの投手になるとスライダーがカーブのようになる投手が多いと思いますがどうですか?

神事:スライダーの言葉の定義の中にもスライダーは横に曲げないといけない、という意識が強いと「曲げないと!」という意識からカーブに近いボールになってしまいます。それが、アマチュア投手あるあるだと思います。

いいスライダーの条件とは?

森本:ここからは、いいスライダーと悪いスライダーについて聞いていこうと思いますが、いいスライダーの条件はどんな所だと思いますか?

神事:空振りを奪いやすいボールですが、空振りを奪いやすいスライダーと奪いにくいスライダーがあります。その中で1番影響を受けるのが投げるコースです。これがかなり効きます。

写真5:対右左のスライダーのコース別空振り割合

神事:この画像(写真5)でいうと右打者のアウトコース低め、あとは左打者のインコース低めです。ここに投げると比較的空振りは奪える事になります。しかし、真ん中やインコースのストライクゾーンになると空振りは奪えないという事になります。

森本:先ほど曲げればいいという話がありましたが、どちらかと言えばコースが大事な球種と言えますね。

神事:そうですね。ストレートがシュートしていく一方でシュートしないボールなので、曲げて見せるというのも重要な技術になってきます。そのような意味で右打者のアウトコースに曲げて見せる、左打者のインコースに食い込んでくるように見せるというので投げるコースが効いてくると思います。

森本:これは投手目線でいうと「同じコース」というのがキーワードとしてありますよね。

神事:投げ分けることを考える投手もいますが、右打者も左打者も同じコースに投げれば空振りは奪いやすいということで練習で使えるいいデータだなと思います。

空振りを奪いやすいスライダーとは?

森本:コースの話がありましたが、その中でも球質や変化量の観点から空振りが奪いやすいスライダーを教えてください。

写真6:スライダーの変化と空振りの関係

神事:スイーパーという言葉が流行して横に曲げるのが空振りを奪いやすい球質と言われていますが、まさにその通りで横に大きく曲げたボールは空振りが増えてきます。一方で、ジャイロ回転でスライダーを投げるとボールの横変化というのは非常に少なくなりますがそれでも、早くボールが落ちている「縦スラ」や「Vスラ」と言われるボールになっていても空振りは多くなります。

森本:写真6を見ていて原点付近に曲がっているという表現に違和感を感じる人も多いと思いますが、なぜ変化を感じるのか教えていただけますか?

神事:ストレートはシュートしているので打者はシュートしてくる軌道を頭の中で予想して打席に立つので、右打者の場合アウトコースにくる少しの変化のスライダーでも大きく曲がってくるスライダーに見えたり、スイーパー系のボールになるとさらに変化を感じてバットで追いかけてしまうことが起こります。なので、あまり曲がっていなくてもコースに投げることができれば曲がっているように見せられます。

スライダーと球速の関係性

森本:今のお話でストレートがあるから曲がりを感じやすいという事で変化量と球速差の関係性はありますか?

写真7:球速と変化量の関係性

神事:こちらのグラフ(写真7)を見ていただくとホップ成分の残っているスライダーではかなり球速が速くなります。これを多くの投手はカットボールと呼んでいます。逆に曲がりが縦に大きくなってくるとカーブというボールに近くなり球速はあまり出ないようになります。

写真8:球速と空振りの関係

神事:実はスライダーは遅すぎても空振りは奪えませんし、速すぎても空振りが奪えないということが分かっています。

写真9:空振りを奪いやすい球速帯

神事:1番空振りを奪いやすい球速帯もありストレート(速球)に対して90%~91%ぐらいが1番空振りを奪える形になっています。練習するときにもどのように曲がっているのか知るにはトラッキングの機器がないと難しいですが、スピードガンを投球中に使っていれば現在のスライダーは速すぎるのか、遅すぎるのかを知ることができるという意味でもこのデータは非常に重要になってきます。

森本:実際に投球映像を見ていきたいと思います。

写真10:スイーパーを投げる投手のリリース

森本:こちらの投手はスイーパーのような横の変化の大きい投手になります。スイーパーを投げる時のポイントなどはありますか?

神事:1つはリリースの位置が低いという事です。ボールに横回転をかけるフォームになっているのが特徴だと思います。大谷翔平選手もスイーパーを投げるときには腕の位置を少し下げているので投げやすい腕の位置はあると思います。

写真11:スイーパーのリリース

神事:腕を立てる形で横回転を与えているのも1つ特徴としてあります。上から被せるようにして投げてしまうとジャイロ回転がかかってしまうのでサイドスピンを強くしてリリースしているのが特徴としてあります。

森本:握りとしてはツーシームのような握りをしていますが横に曲がるのはリリースに特徴があるんですね。

写真12:エラーが起きているスライダー

森本:次の投手ですが、よくあるエラーで変化量が大きく球速が遅くなってしまうパターンですね。

神事:カーブみたいですね。

森本:どのような所がカーブに見えましたか?

神事:指がボールの後ろ側をこすっていて、トップスピンがかかってしまっています。なので球速が出にくい特徴になっています。

森本:一方でこのような事例もあります。

写真14:曲がりの小さいスライダーのリリース

森本:こちらは変化が小さいスライダーになっています。

神事:スライダーとして空振りが奪いにくい回転軸の方向をしていると考えられます。少し回転の軸を傾けてジャイロ方向に回転させるピッチデザインが必要になってくると思います。

森本:ここまで色々な話を伺いましたが、改めてスライダーを投げる上でのポイントはありますか?

神事:スライダーを投げるうえで大事なのはコントロールになりますが、自分が投げたいスライダーがジャイロ系なのかスイーパー系なのかという所は球質によってやることは違うのでそれを理解した上で練習を始める必要はあると思います。ただスイーパー系というのは腕が少し下がるというのもあるのでオーバースローの投手の場合、合わないことも出てきます。なので自分が投げたいスライダーにはどのような特徴があるのかを知った上で練習するのが重要だと思います。

森本:アマチュア選手のあるあるでの話にもありましたよね。

神事:そうですね。カーブに近くなっている投手が多いのでそれを少し変えるだけで急激に空振りが奪えるようになるので、自分の投げているスライダーの改善は自分のパフォーマンスに直結する球種だと思います。

森本:覚えやすいスライダーとかはあったりしますか?

神事:やはりジャイロ系のスライダーの方が覚えやすいと思います。ネクストベースでもピッチデザインであっという間にジャイロスライダーを覚えさせることが毎日のように起こっているので是非来ていただきたいなと思います。

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Baseball Geeks編集部