松坂大輔はメジャー時代どんなボールを投げていたのか

中日は松坂が12年ぶりに日本で先発し、巨人は上原がセットアッパーとして登板。4月5日の中日対巨人戦は、ファンにとってまるで10年15年前に戻ったような時間であった。若いスター投手が台頭する今でも、松坂に期待する声は変わらない。

そこで今回は松坂のメジャーリーグ時代2008年のトラッキングデータを紹介する。2008年の松坂は自身最多となる18勝をマークしたシーズンだ。翌春に行われたWBCでは2度目のMVPを獲得し、名実ともに日本のエースであった。

松坂はかつてどんなボールを投げていたのか

図には、松坂の各球種のボール変化量を示した。薄色で表示しているのがそれぞれの球種の2017年のメジャーリーグ平均だ。

メジャーリーグでは、トラックマン導入以前にPITCHf/xと呼ばれる映像解析システムでトラッキングデータを計測していた。それらの一部のデータは、トラックマンで計測されたものに近いデータに変換されている。今回は変換された松坂のボール変化量のデータを紹介する。

図 2008年の松坂のボール変化量(図中薄色は2017年のメジャーリーグ平均)。ホップ成分の大きな4シームやスライダーが特徴的

大きく「伸びる」ストレート

4シームはシュート成分とホップ成分が共に大きく「シュートしながら伸びる」ような球質だ。計測方法が違うため単純比較こそできないが、昨シーズンの日本人メジャーリーガーの中で上原だけがこのホップ成分を上回った
参考:「ダルビッシュ、田中将大、上原浩治のストレートは変化球?」データで分析

ハイブリッドな投手

そして、松坂の特徴は4シームだけではない。スライダーは横曲がりの大きな球質で、変化の大きさはダルビッシュや大谷に近いようなボールだ。ホップ成分は平均的で「真横に滑る」ように感じるだろう。松坂の4シームやチェンジアップはシュート成分が大きい分、右打者にとってはより逃げるように感じたボールかもしれない。
参考:大谷翔平デビュー戦の全球種をデータで分析!武器は球速160キロの速球だけにあらず!?

松坂は多彩な球種を有する総合力の高い投手だった

他の球種にも多く特徴をもち、ゴロも空振りも奪えるハイブリッドな投手だ。メジャー時代は制球に苦しんだ松坂であったが、投球しているボールの質は、現在のメジャーリーガーにもひけをとらないボールだった。

松坂の「リベンジ」なるか

最後に各球種の球速と投球割合をみてみよう。特徴的な球質であった4シームとスライダーが投球の中心となっていた。

表 2008年の松坂の各球種の球速と投球割合。4シームとスライダーで投球割合の70%を越えている
球種平均球速
(km/h)
投球割合
(%)
4シーム14947
2シーム1486
カットボール14316
スライダー13224
チェンジアップ1335
カーブ1232

4シームは先発投手ながら150キロに迫る球速だった。球速が速い変化球や遅い変化球を多彩に組み合わせていたこともわかる。

日本でのトラッキングデータは残念ながら公開されていないため、現在の松坂がどのようなボールを投球しているのかはわからない。
仮に4シームの「伸び」が健在であっても球速が落ちた今は以前ほど空振りを奪うのは難しいだろう。

しかし、多くの経験を経て37歳となった松坂はたくさんの「引き出し」を持った投手になっているに違いない。完全復活した投球を、多くの野球ファンが待ち望んでいる。松坂大輔の「リベンジ」はまだはじまったばかりだ。

(敬称略)

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