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投球理論

【カーブの極意】空振りも見逃しも奪える 魔法の球の投げ方とは?



目次
そもそもカーブとは?
カーブの特徴について
空振りの取れるカーブの特徴
カーブと球速の関係性

森本:突然ですが、カーブで思い浮かぶ投手は誰かいますか?

神事:今中慎二さん。あの突っ立った用なフォームで投げられるカーブは「うぁ~」みたいな感じです。

森本:前回のスプリットの動画の最後にカウントを整えるボールが必要だと話されていたので、メインディッシュの前になりうる前菜のような球種になるんじゃないかと思い今回はカーブについて紹介していきたいと思います。

そもそもカーブとは?

森本:まずはカーブとはどんな球種でしょうか?

写真1:球種別の空振り割合

神事:この球種別イベント割合を見ていただくと、意外にも空振りが多いボールであるという事が分かります。ただ、これに関してはスイングしてきた物に対してどのようなイベントが起こったかということなので、もう1つ別のデータが重要になってきます。

写真2:見逃し割合のデータ

神事:各球種の見逃し割合を示したデータになります。カーブに関しては、対右と対左で共に見逃しの割合が多くなっている事が分かります。ですので、カーブは空振りも多い球種ではありますが、見逃しストライクも取れるという非常においしい球種になっています。

森本:前の回で最強球種と言われたスプリットは見逃しストライクは全然取れてないですね。

神事:やはりボールゾーンに投げて空振りを奪うというのがスプリットの特徴でした。ストライクゾーンでいかにストライクを取っていくかを考えた時にカーブは非常に有効である事が分かります。

カーブの特徴について

森本:カーブの特徴についてお話しいただきましたけど、変化や回転についての特徴は何かありますか?

写真3:球種ごとの変化量

神事:ボールの変化量を見ていただくとストレートはホップしてシュートしてるような傾向がありましたが、カーブはそれとは対象的な所にあるというのが特徴としてあります。カーブはリリースをする時はストレートとは逆向きの回転をかけることで、右投手の場合には左下に曲がって落ちていくという特徴があります。ストレートとの変化の差分が非常に大きいのでストレートを待っている打者からすると1度上がってからストライクゾーンに来るように見える球種になります。打者はストレートを狙っていると1回ボールが上がってくるのでこれは「打たないボール」だと判断をしてしまい見逃しのストライクが増えるメカニズムになっています。

空振りの取れるカーブの特徴

森本:空振りが奪えるカーブには特徴がありますか?

写真4:カーブの球速とゴロの割合

神事:これは球速というものが関係してきます。速いカーブいわゆるパワーカーブといわれるボールはデータを見ると分かるように球速がストレートに近づくと空振りの割合が増えていく事になります。ストレートに対する球速帯が90%付近になると空振りの割合が35%まで上昇し、スプリット並みの空振りが奪える非常に奥深い球種だなと思います。どうしても日本ではカーブは緩急という言葉が出てきてストレートに対して50キロ遅いボールで差をつける事が重要だという風潮もありますが、実際には速いカーブになると空振りが奪えるというのがカーブになります。

カーブと球速の関係性

写真5:2023年MLBでカーブが打たれなかった投手

森本:球速というキーワードを頂きましたが、こちらのデータを見ていただきたいと思います。2023年のカーブが打たれなかった投手を並べています。3投手とも速いというのが特徴でストレートに近い球速帯のカーブを投げていました。一方で日本人のメジャーリーガーを見てみるとあまり速いカーブを投げる投手がいないというのが分かります。

神事:メジャーリーグの平均が80%前後であると考えるとそれを超える球速帯のカーブがパワーカーブと言われるような空振りを奪う特徴があるカーブであると分かります。

写真6:日本人投手のカーブの球速帯

森本:日本人の投手であまり速いカーブを投げる投手がいないというのは何か考えられる理由はありますか?

神事:やはり緩急というイメージが非常に強いと思います。もちろん空振りを奪うよりも見逃しストライクを多く奪うという事に特化しているので使い勝手も良く非常に効果的なカーブだと思います。日本人投手はスライダーやスプリットがあり、他で空振りを奪える球種があるのでストライクゾーンで見逃しを奪えるカーブを投げているという考え方もできます。

森本:速いカーブを投げるコツや握りはありますか?

神事:腕を振らなくてはならないので腕が緩まないのは1つ大事であると思います。ただ腕を早く振ってしまうとボールが早く抜けてしまう事があります。そのためグリップの調整をしなくてはいけません。

写真7:グリップ力を高める握り

神事:手っ取り早いのは人差し指を立てるような形でボールを上に抜けにくくして腕を振ることができる状況を作って投げるナックルカーブのような、球速を早めボールを曲げるテクニックになっています。

森本:どんなリリースをしてカーブを投げるのかを解説いただこうかなと思います。

写真8:縦割れのカーブのリリース

森本:まずこちらが非常に縦の変化が大きく3000回転を超えるカーブを投げる投手のリリースです。

神事:手の甲がキャッチャーの方を向くような形でボールに回転を与えており、トップスピンのかかったボールを投げられます。そのため、縦に大きく曲がるカーブを投げられるのがこのリリースの特徴ですね。

写真8:手の甲を向けないリリース

森本:次の投手はあまりキャッチャーに手の甲を向けずにカーブをリリースしている投手になります。

神事:縦の変化だけでなく横の変化も大きくなるカーブのリリースをしていると思います。

森本:カーブに関しては見逃しを狙うのであれば、縦の変化が大きくても横の変化が大きくても関係はないんですか?

神事:大事なことはストライクゾーンに投げるという事が見逃しストライクを奪う上で重要なので、本人がコントロールしやすいカーブを投げているかが大前提だと思います。

森本:ここまでカーブの役割や投げ方などを解説していただきましたが、改めて良いカーブと悪いカーブのポイント教えていただけますか?

神事:カーブの役割は見逃しストライクを奪うこと、空振りを奪うことの2つあります。その中でも見逃しストライクを奪えるというのはカーブの1番の特徴であると思いますので、きちんと回転をかけてストライクゾーンに投げる事が重要だと思います。ただ「抜く」というイメージが強すぎるとカーブに回転がかからずスローボールになってしまいます。そうなるとストレートとの差分というのはなくなってしまい、打者からするとチャンスボールになってしなってしまいます。なので、回転をかけてストライクゾーンに投げる事が重要になってきます。逆に悪いカーブは抜きすぎて回転をかけられず、ストライクゾーンにも投げられないボールです。カーブはストライクゾーンに投げてこそのボールであると思います。それは一般的に「甘いボール」と思われていますよね。

森本:そうですね。

神事:「甘いボールだからもっとコースに」と言われますが、見逃しストライクを奪うには大きく曲げていれば多少甘くても良いです。カーブはどうしてもコントロールがしにくいボールになっているので、コースは甘くてもいいのでしっかり曲げましょうというのが僕からのメッセージです。

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Baseball Geeks編集部