「新時代の野球データ論」 が7/16に発売!吉田正尚のインタビューを先行公開

Baseball Geeksが手掛ける、最先端のデータとスポーツ科学を駆使した書籍「新時代の野球データ論 フライボール革命のメカニズム 」が7月16日に発売。今回は、この本にも掲載されているオリックス吉田正尚選手のインタビューの一部をご紹介する。
書籍の予約はこちら「新時代の野球データ論 フライボール革命のメカニズム」

一流打者が語る最新打撃理論とデータとの向き合い方

身長173センチ、プロ野球選手としては”小柄”な体躯ながら、2019年5月22日現在、プロ入りから4年連続でシーズン2ケタを本塁打を記録しているオリックス・バッファローズの主砲・吉田正尚。球界を代表する若きスラッガーは近年流行する「フライボール革命」をどうとらえ、最新のデータ・野球理論とどう向き合っているのかー。
今回は、データ活用について赤裸々に語ってもらった。

オリックス吉田正尚選手はデータをどう活用しているのか?

ー近年ではトラックマンの普及などで野球におけるあらゆる動作、プレーがデータ化=数値化できるようになってきています。日本球界のトップカテゴリであるプロ野球でプレーするひとりとして、近年の傾向をどうとらえていますか。

吉田 これまではプレーする選手も、それを教える指導者も「感覚」でしか話せなかったことが、はっきりと数字として出せるようになったのは大きな変化だと思います。自分が取り組んできた練習の成果や「これは良い」と思ったことを数字として見せてもらえると自信にもつながります。感覚とデータが一致するかしないかで、比較もしやすくなりましたし、「確認作業」がより明確にできるようになりました。

ー野球界の「総データ化」により、球界には次々と新たな理論も生まれています。その代表例が、メジャーリーグを中心に日本球界も少しずつ浸透してきている「フライボール革命」です。

吉田 僕自身は、子供のころから「良いスイングは、本塁打になるスイング」と考えてやってきたので、その意識は変わりません。ただ、長打を打つことの効果が以前よりも認知されてきたな、という印象は受けています。

ーそれによって、現場レベルの練習や指導にも変化は生まれているのでしょうか。

吉田 それは、人それぞれなんじゃないですかね。変わったもの、変わらないものはどちらもあるのではないでしょうか。ただ、プロ野球よりも例えば、高校野球の方が、影響が大きいと思います。

ーそれは、なぜでしょう。

吉田 特に高校野球では「転がせばなんとかなる」という言葉が今も根強く残っている気がします。ゴロをアウトにするためには打球を「捕る」「送球する」「捕る」の3プロセスが必要ですが、フライの場合は「捕る」の1プロセスで済む。当然、相手がミスをする確率はフライよりもゴロの方が高くなります。プロの野手は滅多にエラーしてくれませんが、高校ではまだまだゴロを打つことの利点はあるのかなと。トーナメントとリーグ戦の違いも大きいですよね。負けたら終わりの高校野球では「なんとしてでも勝つ」ことがより求められる。そうなると、どうしても勝つために確率の高い方を選ばざるを得ない。ただ、フライボール革命という言葉が出てきて「勝つためにはフライを打って長打を狙った方が効率的」という新しい常識が生まれつつある。今までのセオリーとは真逆ですから、これから指導や戦い方などが大きく変わる可能性はあると思います。

ーとはいえ、高校野球界ではまだまだ「ゴロを転がせ」という考え方が主流です。

吉田 そこは理解できます。いきなり今までとは正反対の理論を取り入れろ、というのは無理がありますし。例えば、今までは特に左の小柄な選手だったりすると、「バットを短く持って逆方向に転がせ」という指導が当たり前でした。それは今も根強い。ただ、チームが勝つためにはその方がいいのかもしれませんが、長い目で選手「個人」のことを考えたらどうなのかな、という思いはあります。

ー体が小さい、左打者だからという理由だけで「転がせ」という画一的な指導をするのは違うと。

吉田 決めつけが一番怖いんですよね。例えばメジャーリーグだとそういうのもあまりないじゃないですか。身長が低くても強いスイングをして長打を打てる選手はたくさんいる。日本はどうしても「こういう選手は、こうするのが正解」という形にとらわれがちというか……。それこそ、「感覚」だけで指導してきたわけじゃないですか。

ー吉田選手自身、過去にそういう「決めつけ」での指導を受けたことはありますか。

吉田 幸運なことに、一度もないんです。僕もプロとしては小さい方ですけど(身長173センチ)、これまでの野球人生で「逆方向へ打て」「転がせ」といった指導を受けた記憶はありません。

ーもし、そういう指導を受けていたら、野球人生も変わっていたかもしれない。

吉田 小学校からずっと「遠くへ飛ばす」ことを考えてやってきたので、どこかで確率や勝つことを考えてスタイルを変えていたら、小さくまとまってしまっていたかもしれないですね。

ー直接的な指導がなかったとはいえ、なぜそこまで「遠くへ飛ばす」ことを意識し続けることができたのでしょう。

吉田 シンプルに、楽しいからです(笑)。体が大きな選手にも負けたくないというか、そもそも負ける気もしなかったですし。自分がやれること、やりたいことを続けただけという感覚です。

この続きは書籍でご覧ください!

Baseball Geeks編集部 (著) 神事努 (監修) 

最先端のデータとスポーツ科学を駆使した「新しい野球の教科書」を、プロ野球選手・関係者注目のWebメディア「Baseball Geeks(ベースボールギークス)」が書き下ろし!
指導に役立つ情報や上達のヒントを始め、野球の真実が詰まった一冊。
「上から叩くな! 新しいスイング理論」「ノビのあるボールの正体とは?」「ピッチングは何歳で教えたら良いの?」など、野球界でよく聞く理論や定説を科学的に分析し検証。
侍ジャパンの若き主砲オリックス・バファローズ吉田正尚選手やシアトルマリナーズ菊池雄星投手へのスペシャルインタビューを敢行し、データとどのように向き合い、試合や練習でどう活用しているかその思いや事実を語ってもらった。
プロアマ問わずさらなる高みを目指す選手や指導者、野球を伝える解説者やマスメディアの方々、そして何より野球を愛するファンの皆様へ、上達のヒントや指導に役立つ情報、新しい野球の見方を届けられることを願っている。

Featured Posts