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MLB

【スプリットの極意】圧倒的に空振り奪う 最強球種の投げ方とは?



目次
そもそもスプリットとは?
スプリットの変化量の特徴
いいスプリットの特徴とは?
スプリットの変化の特徴
スプリットと速度の関係性

森本:神事さんはスプリットが好きと仰っていましたが、なぜ好きになったんですか?

神事:まず挟んで投げるという発想はすごくないですか?ウニを最初に食べた人もすごいと思います。初めてボールを挟んで投げたという人もリスペクトしています。とても夢のある球種だと思います。

森本:ということで今回は神事回ですね。スプリットに着目して良いスプリット、悪いスプリットについて教えていただきたいなと思います。

そもそもスプリットとは?

森本:まずはスプリットとはどんな特徴のあるボールですか?

写真1:球種別の空振り割合

神事:写真1の空振り割合を見ていただくとスプリットが34%で他の球種と比べても格段に
空振りの割合が多いのが特徴です。ストレートの倍、空振りが取れているのも特徴です。

写真2:球種別のゴロの割合

神事:ゴロにもなりやすいボールになっています。

写真3:球種別のその他の割合

神事:またライナーにもなりにくく、フライにもなりにくいボールです。そのような意味では、最強球種スプリットです。

スプリットの変化量の特徴

森本:スプリットはボールを挟むことが名前の語源になっていると思いますが、球種別の変化量のグラフを見てスプリットの特徴を教えていただけますか?

写真4:球種別の平均の変化量

神事:ストレートの下方向にスプリットがある事が分かります。これがどのような事かといいますと、ストレートよりもボールの回転数が低かったり回転の軸がジャイロに近かったりという事で変化量が抑えられています。横軸0がボールが変化せずに打者に到達するという事を考えると、それよりも上の位置にスプリットがあるという意味では少しバックスピンしているのがこのスプリットの特徴ではあります。ストレートの真下にあるという事で打者からすると「ストレートが来た」という所からボールが落ちて空振りが奪えるというのもこの球種の特徴だと思います。

森本:ストレートを基準に見ていると落ちたように感じてしまうという事ですね。

いいスプリットの特徴とは?

森本:先ほど最強球種というお話がありましたが、その中でも良いスプリットとはどのような特徴がありますか?

神事:スライダーの回でもお話しましたが、投げるコースが空振りを奪う上で大きく影響しています。

写真5:対左右のスプリットの空振り割合

神事:こちらのデータを見ていただくとストライクゾーンよりも低い所に投げられたボールに関してはより空振りが多いと分かります。キャッチャーが取れるかどうかもスプリットを投げやすい、投げにくいに影響するかと思います。

森本:ちなみに神事さんはブロッキング得意でしたか?

神事:僕はうまいですよ。

森本:コツはありますか?

神事:引くように止めることです。これ話したら長いですよ。

スプリットの変化の特徴

森本:スプリットはどんな変化の特徴がありますか?

写真6:変化量と空振りの関係

神事:こちらの写真6をご覧ください。赤は空振りが多いことを表しています。横軸0が重力通りに変化するという事でしたが、これよりも下にあるボールというのはかなり特徴的なボールでもあり空振りも多いボールになっています。

写真7:変化量でみるボールの回転方向

神事:横軸0より上にあるボールはバックスピンでしたがこの下にあるボールはトップスピンがかかっているボールになります。上から投げるにもかかわらずトップスピンをかけられるというのが空振りを奪う意味では非常に重要になってきます。

森本:トップスピンしていないボールであっても落差が大きいボールは空振りは奪えますか?

神事:ストレートの真下に落とすという事が空振りを奪う点では重要です。ストレートよりもより低い到達点であれば、それに伴って空振りも増えていきます。

スプリットと速度の関係性

森本:ストレートとの差のお話をしていただきましたが、球速の面でいいスプリットの特徴はありますか?

神事:実は速いスプリットというのは空振りが奪いにくいことが分かっています。

写真8:球速とゴロ関係

神事:ストレートとの球速帯の割合が96%ぐらいですと非常に空振りが奪いにくいですが、ゴロにはなりやすいです。ツーシームのような振る舞いをする形になります。球速が落ちていくとそれに合わせて空振りも増えていく事になります。ストレートに対して90~92%の球速であると空振りも奪えつつゴロの割合も増えていきます。

森本:そして日本人メジャーリーガーのスプリットの特徴も見ていただきたいと思います。

写真9:千賀滉大投手の球種ごと変化量

森本:こちらお化けフォークでお馴染みの千賀投手に関しては、落差が非常に大きいことが分かります。

写真10:千賀投手の球種別のデータ

神事:まさに空振りを奪いやすいボールの回転をしているので空振りが多いです。球速にも着目してもらうと87%ですので、ストレートに対して遅くかつよく落ちるスプリットになります。打者目線からするとよく落ちている上にボールがなかなかこないので空振りが奪えるという事になります。

写真11:山本由伸投手の球種ごとの変化量

森本:次に今年からメジャーリーグに挑戦している山本由伸投手です。

写真12:山本投手の球種別のデータ

神事:落差としては比較的ある方だと思います。しかし、ストレートに対する球速が94%と少し速くゴロになってくれるという意味ではいいですが、ファールになってくる場合も増えるので決め球としての有効性は下がってくると考えられます。なのでもう少し球速を抑えることができれば空振りの増えるボールになってると思います。

森本:ここまでいいスプリットの解説をしてもらいましたが、投げ方についても伺いたいと思います。

写真13:シュート系のスプリットのリリース

森本:まずこちらの投手はシュート系のスプリットで落差の大きい投手になります。

神事:まずはリリース時の人差し指に注目をしていただきたいです。人差し指がボールの縫い目にかかっているという所と最後に縫い目にかけてリリースをしている事がわかります。ストレート自体はややシュートしているという解説を以前しましたが、ストレートの真下に落とそうと思うとスプリットもややシュートさせる事が空振りを取る上では必要になってきます。スプリットは抜くというイメージがある中で指をかけて少しシュートさせる事が重要なテクニックになってきます。

森本:もう1人リリースを見ていきたいと思います。

写真14:制球に苦しんでいるスプリット

森本:こちらの投手はボールに落差はあるが制球に苦しんでいて試合でなかなか使えないという課題があります。

神事:これを見ると指に縫い目があまりかかっていない状態でいわゆる抜けているボールになっています。抜けているからいいボールだと思いがちですが抜けているがゆえにコントロールがしづらい事があります。ボールの縫い目に指をかけるとリリースの瞬間に力を加えられるので低めにも投げやすいですし、リリースも安定します。抜けてしまうことでリリースが安定しなくなり球速もでない事になって、遅くて緩くシュートもしないスプリットになります。なので、抜けてはいるが試合ではなかなか使えないボールになっています。

森本:ちなみに先ほどトップスピンのスプリットの話がありましたが投げ方にはどのような特徴がありますか?

写真15:トップスピンのリリースの特徴

神事:これに関しては、人差し指でどのように押し込むかが重要になってきます。通常では指がかかりきっていないところでリリースをしてしまいますが、もう1段階人差し指で持つような感覚でボールの後ろ側をリリースすることでトップスピンがかかってくれます。

森本:ここまで空振りの奪いやすいスプリットの投げ方であったりデータを見ての紹介をしていただきましたが、1番空振りが奪えるボールなのでスプリットばかり投げればいいと思いますがどうなんですか?

神事:初球スプリット、2球目スプリット、3球目スプリット、4球目スプリット

森本:それが1番空振りが奪えますよね?

神事:それではフォアボールになってしまいます。なのでこちらのデータをご覧ください。

写真16:カウント別のスイング割合

神事:カウントによって打者が振ってくるかの割合になります。赤になると振る、青になると振らないというデータになります。初球に関しては、ど真ん中になれば振ってきますがそれ以外はほとんど振らないという結果になります。なので初球にスプリットを投げてもほとんど振ってこないという事になります。カウント0-1になると振ってくるゾーンが増えてきますがそれでも低めには手を出さない。一方でカウント0-2になると低めを振るという傾向にあります。打者は三振しないようにゾーンを広げるという事が発生しますので、ようやくスプリットを投げるという条件が揃う事になります。ですので、スプリットは最強の球種ではありますが投げる場所とカウントは限定的でそこがスプリットの弱点になります。

森本:しかるべきタイミングで投げれば最強だが、それをお膳立てするための他の球種が必要なんですね。

神事:よくあるのが、いいスプリットなのに打者が振ってくれないという事がありますがそれはカウントが浅い場合があります。なので、よく落ちるスプリットを持っているのであれば然るべきタイミングで投げれば空振りは奪えます。

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Baseball Geeks編集部