プロ野球

ポジション別OPSからみるチーム編成と育成

筒香のメジャー挑戦やバレンティンの移籍、注目のメジャーリーガーアダム・ジョーンズの加入など昨オフも多くの入退団があった。これらによってチームの得点力に大きな影響を及ぼすことは言うまでもない。
今回は、得点に大きく影響するOPSという指標を使って、ポジション別に分析を行なうことでチーム編成や育成について考察したい。
参考:打者の評価指標OPSとは!

打者を評価する指標「OPS」の重要性

OPSは打率や打点よりも得点と相関関係が強いことがわかっている。つまり、球団はOPSが高い選手を揃えることでより多くの得点を見込めるということである。

しかし、実際はそう簡単な話ではない。野球には9つのポジションがあり、オーダーを組む際には守備力も考慮しながらポジションの適性にあった選手を起用しなければならない。そのため、チームの打撃力と守備力のバランスを取るためには、単にOPSが高い選手だけを集めれば良いわけではないのである。

ポジション別OPSによるチーム編成の傾向と特徴

それでは、実際どのポジションにどれだけの得点源が配置されているのだろうか。リーグ別にポジション別OPSの一覧表を見比べ、それぞれの共通点、相違点を探っていく。

パ・リーグ:高OPSの指名打者・左翼手、低OPSの捕手・遊撃手

まずはパ・リーグについてみていく(表1)。
OPSは指名打者、左翼手の順に高かった。いわゆる打撃専門である指名打者は得点源として大きく期待されているからと予想できる。左翼手についても、パワーのある外国人選手や打線の主軸を任されるような選手が起用されることが多いポジションであるため、OPSの高さには納得である。
一方、OPSが低くかったのは遊撃手と捕手で、他のポジションと比較するとかなりの差がみられた。

表1 パ・リーグのポジション別OPS。指名打者のOPSが最も高い

セ・リーグ:パで下位だった右翼手が打撃型の傾向

続いてセ・リーグについてみていく(表2)。
左翼手、右翼手の順にOPSが高かった。右翼手はパ・リーグでは下から3番目に低かったものの、指名打者制がないセ・リーグではその分の得点源を右翼手に配置することで補っているのかもしれない。一方、捕手、遊撃手のOPSが低い点はパ・リーグと共通していた。守備負担の大きい、あるいは守備力が重要視されるポジションといえるだろう。

表2 セ・リーグのポジション別OPS。パ・リーグとは違い、右翼手のOPSも高い

得点力に差がつきやすいポジション

指名打者、左翼手、右翼手のようにポジションのOPSの平均値が高いということは、多くの球団がこれらのポジションに強打者を起用していることを意味する。すなわち、ここにどんなに打撃が良い選手を配置・補強したとしても他球団とは差をつけにくいということである。

一方、捕手や遊撃手のようにOPSの平均値が低いポジションもある。守備面での貢献も大きく、得点力が見込めない選手であっても起用しなければならないというチーム事情もあるのかもしれない。
ただし、先述したポジションとは逆に、OPSの平均値が低いポジションに強打者を配置することはチームにとって大きなアドバンテージとなる。実際、昨季パ・リーグを制した西武は球界を代表する打者である森を捕手として、セ・リーグを制した巨人は坂本を遊撃手として起用することで、得点力で他球団を圧倒していた。

他球団と差をつける今後の編成・育成方針

球団は、より多くのポジションに他球団よりOPSが高い選手を配置することが理想である。しかし、それは簡単な話ではない。
ではどのように他球団と差別化していくべきであろうか?

2016年に「得点力で差をつけやすポジション」として紹介した二塁手のOPSは、今回のデータでは上昇していた。同記事ではメジャーリーグで行われていた二塁手に強打者を配置する取り組みについても紹介していたが、日本球界でも同じような取り組みが行ったチームが増えたのかもしれない。
参考:ポジション別OPSからみる構成のヒント

つまり、今後は捕手や遊撃手のような守備面でも期待されるポジションをどのように活用していくかが、首脳陣の腕の見せ所になる。多少守備力には目をつむり打撃が良い選手を起用したり、強打者としてこれからの活躍が期待できる若手をこれらのポジションも守れる選手に育成していくことで他球団と差をつることができるだろう。

今回は、チーム編成の特徴とそこからわかるポジション別OPSの重要性、さらに今後の育成についても考察を進めた。
次回以降は、さらに掘り下げ各チームの特徴について言及していきたい。

Baseball Geeks 編集部